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弁護士コラム
官報とは、行政機関の休日を除き毎日、独立行政法人国立印刷局が発行している、国の公告文書です。一部143円(税込)で販売され、インターネット版官報であれば直近30日分の官報情報(本紙、号外、政府調達など)は誰でも無料で閲覧できます。
官報には、主に以下のような情報が掲載されています。
なお、破産情報については、裁判所の公告に含まれています。破産手続きを開始した個人・団体・法人の住所、氏名(団体名)、手続き決定の年月日時などが掲載されています(破産法32条)。
官報の破産者情報を細かくチェックしているであろうと予想されるのは、区や市役所の税務担当者、ブラックリストなどを作る信用情報機関、闇金業者などです。
官報は1日あたり30ページ程度から、多い日は100ページ近くに達することもあり、容易に目を通せる分量ではありません。
一般的に、官報には著作権がないと解釈されています。しかし、インターネット版官報の利用注意事項によると、インターネット版官報は、官報をもとに、国立印刷局が編集・作成したものであり、その範囲内で著作権が発生する余地があると表明しています。
また、インターネット版官報のサイト利用にあたって、以下の行為を禁じています。
したがって、官報の情報を流用しているサイトは、これらの規定に反している可能性があります。
なお、官報のサイトでも転載しているサイトについて注意喚起が行われていますし、令和2年7月には破産者情報サイトに停止命令が出されました。しかし、いまだに過去の情報を閲覧させるため、有料会員登録を促すサイトもあるようです。本当に官報に掲載された情報が必要なのであれば、国立印刷局が提供している「官報情報検索サービス」を利用したほうが正しい情報を得られることは間違いありません。
先述の通り、官報にはさまざまな情報が掲載されています。裁判所からの通告をはじめとした個人情報を本人の許可なく二次利用していた場合、どのような罪に問うことができるでしょうか。
官報に掲載された情報を二次利用により広く知らしめることは、刑法第230条の名誉毀損(きそん)罪にあたる可能性があります。
名誉毀損とは、人の社会的地位または評価を低下させる危険を生じさせることをいいます。現実に人の社会的地位や評価が低下したことは必要ありません。誤解しやすいのですが、「その人が起こした本当のことであれば、名誉毀損ではない」と考える人は少なくありません。しかしながら、たとえ本当のことであっても、要件を満たせば名誉毀損に該当する可能性があります。
名誉毀損罪に問われて有罪になれば、「3年以下の懲役(もしくは禁錮)」または「50万円以下の罰金」という刑罰が科されます。
ただし、刑法第230条の2に「公共の利害に関する場合の特例」が設けられているため、当該行為が公共の利害に関する事実にあたり、かつ、その目的がもっぱら公益を図ることにあると判断された場合に、真実であることの証明があったときは、免責されるケースもあります。
もちろん、官報などに一度掲載された情報であったとしても、掲載終了後もインターネット上において何ら合理的な目的なく永続的に掲載するケースでは、公益目的は認められず、免責されない可能性があります。
官報に一度掲載された破産情報について、インターネット上において永続的に掲載する行為は、破産の事実が公表されることに対する恐怖心を人々に抱かせ、借金を抱える人々に破産手続きの利用と人生のやり直しを躊躇させるものです。そればかりか、破産情報が広まることにより、勤務先を解雇される、債務者ご本人やそのご家族が偏見やいじめにあう危険があるなど、その行為に何ら公益目的は認められません。そのため、このような行為は、名誉毀損と評価され、免責されない可能性が高いといえます。
そのほか、個人情報の掲載が名誉毀損にあたるかどうかは、弁護士に問い合わせてみることをおすすめします。
自己破産などの個人情報を官報の二次利用で掲載された場合、名誉権の侵害以外に、プライバシーの侵害に該当する可能性もあるでしょう。
プライバシー権とは、私的な生活をみだりに公開されない、または自己の情報をコントロールするという権利であるとされています。自分が破産したということと、その氏名住所があわせて広く知られてしまうことにより、個人情報の本人が安心して生活する権利を侵害されたと主張することもできるでしょう。
この場合、民法第709条、第710条に基づき、不法行為であるとして損害賠償請求や慰謝料請求ができる可能性があります。
官報に掲載された破産者情報を転載した冒頭のケースでは、個人情報保護法に違反する恐れもあります。
個人情報保護法は、個人情報取扱業者(Webサイトやブログを運営する個人も、該当することがあります)に対して、個人情報の利用目的の公表又は本人への通知を義務付けています(同法第18条第1項)。
また、個人事業取扱事業者が、個人データを第三者に提供する場合には、原則として本人の同意を得なければならないことも義務付けています(同法第23条第1項)。
破産者情報を転載した冒頭のウェブサイトは、このような規制に違反しており、政府の個人情報保護委員会がサイトを閉鎖するよう運営者に行政指導したとする報道もありました。
インターネット上で一度拡散してしまった情報は、インターネット上から完全に削除することは不可能に近いといえます。そのため、何よりも先に、情報がインターネット上で拡散する前に、掲載されてしまった情報を削除する必要があります。
しかし、その後、相手を特定して損害賠償請求などを行う場合は、必ず投稿日時やURLなどを含めたスクリーンショットなどを事前に保存し、証拠をおさえておく必要があります。そのうえで、削除依頼を出すのが基本的な対処方法です。
ご自身で削除依頼を出したにもかかわらず、速やかに情報を削除してもらえないときなどは、インターネット上の誹謗中傷記事の削除に知見がある弁護士に依頼して、削除請求を行うことをおすすめします。
それでも対処がなされない場合、弁護士であれば、サイト運営者の使用しているレンタルサーバーや通信事業者に対して削除請求や運営者の情報開示請求を行い、別の対応をすることもできます。
損害賠償請求をするとしても、個人で訴訟を起こすのは大変手間も時間もかかります。また、適切な対応を行えないときは、さらなる炎上を誘ってしまう可能性も考えられます。そして、法律の知識がなければ妥当な被害額の算出も難しいものです。
削除請求事件の経験が豊富な弁護士であれば、今後の法的措置の予告を含めた削除請求の依頼をすぐにサイト運営者に送ることができます。また、弁護士名義の削除請求となれば、サイト運営者も迅速に対応される可能性が高まります。
迅速に結果を得るためには、どのような切り口で訴えることが有効かは、弁護士に相談することをおすすめします。
官報に掲載された個人情報を、永続的に閲覧できるようにされることは、大きな不利益となりえます。官報に限らず、個人情報がインターネット上に掲載されてしまったときは、ベリーベスト法律事務所へ相談してください。すでに掲載されてしまった個人情報を削除する方法から、損害賠償などの法的手段にいたるまで、状況に応じて適切なアドバイスとサポートを行います。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。
※記事は公開日時点(2021年08月26日)の法律をもとに執筆しています