削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
5ちゃんねる(2ちゃんねる)の利用者がデマや誹謗中傷の被害を受けたときに、書き込みを削除するにはどうすればよいのでしょうか。ここではその方法を見ていきましょう。なお、5ちゃんねると2ちゃんねるの削除申請の方法には、少々違いがありますので、その点ご注意ください。
5ちゃんねる(2ちゃんねる)の書き込みを削除する方法は主に4つあります。
ここでひとつ注意点があります。削除申請をフォーム等で申請することはできますが、①政治家などの一部個人や②法人・団体・公的機関などに対する書き込みについて、放置すると明言されているものがあります。
たとえば、
①個人については、
「政治家・芸能人・プロ活動している人物・有罪判決の出た犯罪者」について、「公開されているもの・情報価値があるもの・公益性があるもの」などのカキコミは原則として削除しないとされています。
また、「著作物、創作物、活動を販売または提供して対価を得ている人物」について、「公開されたインターネットサイト・全国的マスメディア・電話帳で確認できる」など隠されていない情報に関するカキコミは削除しないとされています。
②法人・団体・公的機関などについては、
カテゴリによって扱いは違うようですが、削除依頼があっても「原則放置」とされています。
5ちゃんねるの書き込み削除は、2ちゃんねると異なり、メールで依頼ができます。
メールで依頼ができる内容は以下のようなものです。
メールには以下の内容を記載して、meiyokison@5ch.netまで送付します。
件名 | 削除申し立て |
---|---|
内容 |
|
また、削除依頼フォームを利用する方法もあります。フォームは削除要請板と削除整理板の2か所にあり、個人情報、誹謗中傷、差別・蔑視や裁判所による削除命令を得たなどの内容は前者、それ以外の内容は後者で受け付けてもらえます。
もっとも、この削除フォームというのは、削除依頼内容が削除スレッドに掲載され、それを見た削除人というボランティアが削除するというものです。
しかし、義務も責任もないと記載されており、また削除人がどのような人物なのか全くわかりません。
したがって、削除されるか不透明といわざるをえないでしょう。
※ここで特に注意していただきたいことがあります。
削除フォームからの削除依頼は、すべて公開されてしまいます。
5ちゃんねるも2ちゃんねるも、公開すると明言しています。
したがって、仮に削除フォームを利用するとしても、本名や住所などの個人情報や公開されたくない事項は記載しないことをおススメします。
<削除要請板の場合>
まず名前・部署/役職、法人名/団体名を入力し、対象区分を選択します。次に、掲示板アドレスに対象となる掲示板のアドレスを、削除対象アドレスには削除してほしいスレッドのURLとレス番号を入力しましょう。法人や団体で以前にも削除依頼をしている場合は「既存依頼スレッド」も入力し、その下に法的根拠に基づいた削除理由を書き入れます。
<削除整理板の場合>
名前・メールアドレス(任意)・掲示板アドレスを入力して、スレッドごと削除してほしいのか、特定のレスのみ削除してほしいのか、削除対象区分を選択します。削除対象アドレスには、削除してほしいスレッドのURLを入力します。特定のレスを削除してほしい場合は、「http://*****(レス番号)」のようにURLの末尾にカッコ書きで入力しましょう。最後に、削除理由について、誰のどの権利がどのように侵害されているのか、法的根拠に基づいて記載します。
5ちゃんねるでは、表現の自由と削除の請求のバランスが取れ、リーガルマインドを持っている弁護士からの削除請求で、正当なものであれば削除対応するとされています。ベリーベスト法律事務所でも削除対応を実現した事例があります。削除掲示板などで情報を公開したくないとき、早期に削除してほしいときは、弁護士に相談したほうがよいでしょう。
メールや削除依頼フォームで依頼しても削除されないとき、もしくはメールや削除フォームを利用することなく、裁判所に仮処分を申し立てることできます。5ちゃんねるも2ちゃんねるも裁判所の決定には従う姿勢を示しているため、仮処分決定を得ればスムーズに削除してもらえる可能性が高くなるのです。
5ちゃんねるの場合は、裁判所から出た、仮処分の決定正本のPDFを添付して、スレッドのURLやレス番号など必要事項を明記の上、meiyokison@5ch.netにメールしましょう。
2ちゃんねるの場合は、決定正本のPDFを国内の有料サーバーにアップして、削除要請板の削除理由にURLを書き込んだうえで、削除依頼をします。
5ちゃんねる(2ちゃんねる)に書き込まれたことで、何らかの被害を生じているときは、投稿者を特定したうえで法的措置を取ることも考えたほうがよいでしょう。ここでは、投稿者を特定する流れについて解説します。
●5ちゃんねる(2ちゃんねる)に対し、IPアドレスを開示するよう、裁判所に仮処分を申し立てる
投稿者を特定するには、誹謗中傷が書き込まれたサイトの運営会社やサーバー管理者、そして投稿者の使用するプロバイダから、IPアドレスなどのアクセスログを得る必要があります。5ちゃんねる(2ちゃんねる)は裁判所の命令がなければ、原則としてIPアドレス等の開示請求には応じないと考えたほうがよいので、まずは裁判所に仮処分を申し立てます。
●開示されたIPアドレスをたどり、プロバイダを特定する
裁判所の仮処分決定が下り、IPアドレス等が開示されたら、IPアドレスからインターネットサービスプロバイダを割り出すwhoisなどのサービスを使って、インターネットサービスプロバイダを特定します。
インターネットサービスプロバイダを特定したら、同プロバイダに対して、発信者情報開示請求を起こします。発信者情報開示請求は、通常の民事訴訟の方式で行われます。そして、訴訟は原則としてプロバイダの所在地を管轄する地方裁判所に申し立てなければなりませんので、東京地方裁判所において裁判することが事実上多くなっています。
裁判所から発信者情報開示命令が出ると、プロバイダから投稿者の契約情報などが開示されます。
発信者の氏名や住所が開示されたら、そこからさらに損害賠償請求を検討してもよいでしょう。損害賠償請求する場合は、まず裁判外(任意)の交渉で行い、相手が交渉に応じなければ訴訟を起こすことになります。
損害賠償請求するには、自分あるいは自社に対する誹謗中傷の投稿が原因で、何らかの損害や不利益が生じていることが条件となります。たとえば、個人であれば就職予定だった会社に内定が取り消されたこと、取引先からの信用を失い仕事がなくなったなどが該当します。お店であれば客足が減って売り上げが落ちたことなどが該当します。
「投稿者の素性がわかったのだから、すぐにでも裁判を起こしたい」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは裁判ではなく直接相手との交渉を行うため、内容証明郵便などで損害賠償請求を行う旨の通知を相手に送付することを考えましょう。
相手が訴訟や刑事事件になることは避けたいと思えば、裁判外で交渉のほうが、訴訟よりも解決が早くなったり、場合によっては賠償金が多くなったりする可能性があるからです。また、裁判外の交渉から始めることで、相手方に十分な資力がない場合に、訴訟で勝訴しても賠償金が思うように相手方から取れず、かえって損をしてしまうリスクを防ぐこともできます。
この請求は個人でももちろん行えますが、相手に無視されてしまうということも考えられますので、弁護士へ依頼し、弁護士の名前で損害賠償請求を送ることをおすすめします。
相手が裁判外の交渉に応じなければ、損害賠償請求訴訟を起こします。訴訟では、損害が生じた事実のみならず、それを裏付ける証拠が必要です。内定取り消しや取引の打ち切りに遭ったならそれを示す文書、売り上げ減であれば確定申告書や売り上げ推移のデータなどを用意するとよいでしょう。
もっとも、カキコミの内容によってこのような損害が生じたこと、つまりカキコミと損害の間に因果関係があることを証明することは、容易ではありません。そのため、損害賠償請求を行う際も、弁護士に相談することが望ましいといえます。
書き込みの内容が悪質な場合は、損害賠償請求のほかに刑事告訴もできる可能性があります。誹謗中傷を受けた方から、『逮捕してもらえるのか?』と質問を受けることがよくありますが、逮捕は逃亡や証拠隠滅の危険性があるときなどに行われる特別な措置です。したがって、身柄を拘束しないまま取り調べが進む在宅事件となるケースが多いでしょう。もちろん、逮捕されなくても刑事告訴によりその罪を問うことは可能です。刑事告訴する場合は、どのような罪で訴えることができるのでしょうか。
ネット上で誹謗中傷された場合、名誉毀損にあたるケースが多く見られます。名誉毀損とは、事実かどうかに関わらず、具体的事実を言いながら公の場で相手の社会的評価をおとしめることをいいます。たとえば「レストラン○○では調理室でネズミが走り回っているらしい」は名誉毀損にあたります。
また、名誉毀損罪によく似た犯罪に「侮辱罪」があります。侮辱罪は具体的な事実を言わずに公の場で相手の社会的評価をおとしめることで、たとえば「○○はブスだ」などがこれにあたります。
名誉毀損罪が成立すれば3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。侮辱罪が成立した場合は、令和4年7月7日以降の書き込みの場合は1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられます。なお、令和4年7月6日以前に行われた書き込みの場合は、拘留または科料が適用されることになります。
信用毀損罪とは、ウソのウワサや情報を流して、他人の経済的信用を失わせた場合に成立する犯罪です。書き込みが信用毀損罪に当たる場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
偽計業務妨害とは、他人をだまして他人の業務を妨害することを指します。たとえば、熊本地震の直後に「近くの動物園からライオンが逃げた」とTwitterで投稿し、動物園に問い合わせの電話が殺到した事件がありました。この事件で投稿者は偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されています。
一方、威力業務妨害とは、威力を用いて他人の業務を妨害することを指します。たとえば、「○○駅のホームに爆弾を仕掛けた」などと会員制交流サイト(SNS)に投稿し、警察が出動する騒ぎになるケースがこれに該当します。偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪ともに、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
削除請求自体は自分で行うことが可能です。しかし、自力で削除請求すると「削除する理由がない」と削除人に判断されて削除してもらえないばかりか、かえって炎上してしまうケースもあります。ベリーベスト法律事務所では、5ちゃんねる(2ちゃんねる)の削除請求の経験豊富な弁護士が在籍しております。誹謗中傷や個人情報がさらされてお困りの方は、すみやかにご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。
※記事は公開日時点(2022年12月16日)の法律をもとに執筆しています