弁護士コラム

この記事の
監修者
荻原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 名誉毀損
    法人
    2021年10月04日更新
    病院が口コミなどで誹謗中傷を受けたとき、行うべき対応と法的措置
    病院が口コミなどで誹謗中傷を受けたとき、行うべき対応と法的措置
    新型コロナウイルス感染症の蔓延を受けて、医療機関や医療従事者の方への誹謗中傷が社会問題化しています。全国の自治体でも人権への配慮などを呼び掛けるとともに、コロナ関連の誹謗中傷に対応する相談窓口の設置が進んでいるようです。

    コロナ関連に限らず、医療機関にとって信用は、病院経営における非常に重要な要素といえます。Googleマップ(グーグルマップ)をはじめ、インターネット上にある口コミサイトや掲示板など、に、「医療ミスがあった」、「患者に怒鳴る」、「あの病院には行かない方がいい」など、望まない書き込みをされてしまったときは、どのように対応すべきなのでしょうか。本コラムでは、病院がネットで誹謗中傷された場合の法的対応について解説します。
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1、ネットで誹謗中傷を受けたときすぐに行うべきこと

  1. (1)法的に問題となる誹謗中傷とは

    誹謗中傷というと、根拠のない悪口を言いふらすこと、というイメージをお持ちかもしれません。

    しかし、法的に問題になる誹謗中傷は、真実でない事実を多人数の人が認識できる状態に置くことや、個人的な意見であっても、相手の尊厳や信用を大きく傷つける悪口である場合には、誹謗中傷にあたり得るといえます。

    あなたが経営する病院や職員が誹謗中傷を受けたとき、場合によっては、名誉毀損罪など刑法に基づいて罪を問えることがあります。また、民事上の不法行為にあたるとして、損害賠償請求も可能となることもあるでしょう。

    しかし、告訴するにせよ、民事訴訟を提起するにしろ、証拠が求められることになります。

  2. (2)証拠を押さえる

    インターネットのサイトへの書き込みは、書き込みをした本人が簡単に削除できることが多いものです。法的措置を執ろうと思ったときにその記載が削除されているというケースがしばしば起こります。どこにどのような誹謗中傷投稿をされたのかがわからなければ、警察や、弁護士であっても対応が難しくなってしまうのです。

    したがって、相手に削除を求める前に、「誹謗中傷を受けたという証拠を保全すること」が最初にすべきことになります。

    具体的な証拠を保全する方法としては、たとえば、誹謗中傷に該当する投稿内容をスクリーンショットなどで保存することが考えられます。このときに重要なのは、当該投稿のURL、書き込まれた日時がわかるような形式で保存することです。

    何を証拠としてよいかわからないときは、誹謗中傷の投稿を発見したタイミングですぐに弁護士に相談してください。弁護士であれば、証拠確保のサポートから削除請求、損害賠償請求まで対応可能です。

  3. (3)該当投稿の削除

    インターネットに誹謗中傷を書かれた場合、速やかに投稿を削除してもらうほうがよいでしょう。なぜなら、たとえ事実でなくても、誹謗中傷投稿がSNSやミラーサイトなどを通じて拡散されてしまう可能性があるためです。拡散された後に事実内容を否定したとしても、一度受けた損害を回復させるためには、非常に大きな労力を費やす必要があります。

    特に、個人情報が流布されているような場合には、少しでも早く削除してもらうよう働きかけていくのがよいでしょう。

    なお、問題となる投稿を発見した後、返信機能などを利用して、感情的に反論を行うことは避けましょう。それが原因で、より炎上し、さらに事態が悪化するおそれがあるためです。

2、病院が誹謗中傷被害を受けたときにとれる法的対応

  1. (1)名誉毀損罪など刑事責任の追及

    前述のとおり、病院に対する誹謗中傷についても内容がひどく、違法性が高い場合には、刑事責任を問い得るため、捜査機関に働きかけることが検討できます。

    名誉毀損(きそん)罪(刑法第230条)の保護対象は、個人だけではありません。法人であっても、保護対象となります。したがって、公然と事実を摘示して病院の名誉を毀損する投稿を行ったものに対して名誉毀損罪が成立する可能性があります。名誉毀損罪となった場合、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金となります。

    また、偽計業務妨害罪や信用毀損罪(刑法第233条)が成立する可能性もあります。偽計業務妨害罪とは、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の業務を妨害する行為をした場合に成立します。具体的事実とともに「この病院は医療ミスが多い」といった虚偽の情報をネットに書き込むことで業務に支障が出るおそれが認められる場合は、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。さらに、「あの病院は倒産しそうだ」などと経済的な信用を毀損する誹謗中傷をした場合には、信用毀損罪が成立する可能性もあるのです。

    偽計業務妨害罪や信用毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

  2. (2)損害賠償請求など民事責任の追及

    誹謗中傷行為は民法上の不法行為に該当し得ます。そのため、刑事責任の他に、民事責任の追及として、損害賠償を請求することができる可能性があります。民事上の名誉毀損は刑事上の名誉毀損罪とは別の要件が求められますので、刑法犯として罪を問われない場合であっても、民事上は責任を問うことができる可能性があります。

    なお、誹謗中傷行為に対して損害賠償請求を行うためには、相手を特定し、書面などで通知する必要があります。相手が通知を無視するなど、要求に応じない場合には、裁判所に訴えを提起することになります。

    損害賠償請求については時効があります。具体的には、損害および加害者を知ったときから3年以内であり、かつ、不法行為のときから 20 年以内に請求する必要があります。

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3、誹謗中傷を行うサイトや投稿を削除する方法

  1. (1)口コミサイトの場合

    病院関連の口コミサイトでは、病院自体の印象や、医師や看護師の対応などが書かれていることが多い傾向があります。病院を初めて訪れる人にとってはとても有益な情報といえるでしょう。多くの方が利用しているからこそ、不当な書き込みがなされた場合には、病院経営にとって死活問題になりかねません。

    そのため、もし、事実に反するような書き込みを見つけた場合には、ホームページに設定されている「問題のある口コミを連絡する」や「削除申請フォーム」といった各サイトに用意されている機能により削除依頼をします。もし、そのような仕組みがない場合には、サイト運営者に削除してほしい旨を連絡することになります。

    適切な企業が運営しているサイトであれば、規約に沿った適切な理由を添えて連絡をすることによって削除してもらえるという運用がなされることがあります。

    ただ、削除依頼も法令に違反していることを主張する必要がありますので、運営サイトに連絡をしても削除対応をしてもらえないときは弁護士に相談してください。

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  2. (2)SNSで名誉毀損された場合

    FacebookやTwitterのように利用者が多いSNSの場合、通常、規約があるので、その規約に反していないかを確認する必要があります。規約に違反する書き込みであれば、証拠画像などを添付した上で、サイト管理者に連絡すれば削除してくれることがあります。

    こちらも「削除フォーム」や「不正な書き込み連絡」などがあれば、そこから連絡します。ない場合には、サイト管理者に規約に違反している投稿がある旨連絡して削除してもらうことになります。

    適切に情報を伝えていない場合、対応してもらえないケースは少なくないようです。また、法令違反に該当する旨の主張も必要になることがあります。こちらも、対応してもらえない場合には、弁護士に相談されるとよいでしょう。

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  3. (3)個人サイトで誹謗中傷されていた場合

    個人サイトの場合、サイトの運営者が投稿者なので、その人物次第ですが、サイト運営者に削除要請しても効果は期待できない場合もあります。

    そのような場合には、プロバイダ責任制限法に基づき「送信防止措置依頼書」を送付し、サーバー管理者や回線提供会社などに削除を要請することも方法のひとつとしてあります。

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  4. (4)法的手段による削除要請

    法的手段により削除する方法として、サイト管理者に対して、記事の削除を求める仮処分を申し立てることができます。

    裁判所から記事削除の仮処分命令が出れば、サイト管理者に記事を削除させることができるでしょう。また、発信者の情報を開示させる手続をとることも可能です。この場合、書き込まれた内容から情報発信者が特定できないことが通常なので、発信者情報開示の仮処分を申し立てることになるケースが一般的です。

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4、削除依頼や損害賠償請求を行う際、弁護士に依頼すべき理由

前述のとおり、削除依頼フォームなどが用意されているサイトなどであれば、経営者や院内担当者が直接削除依頼することが可能です。ただし、多くのサイトで削除規定が設けられているため、規約に沿った削除請求かどうかは改めて確認をする必要があります。

もし、削除フォームによる規約に基づいた削除依頼を行っても、誹謗中傷投稿を削除してもらえないときは、弁護士に削除請求を依頼したほうがよいでしょう。

なぜなら、被害者個人からの削除要請に応じないサイト等であっても弁護士からの削除依頼であれば応じるケースがあるためです。第三者であり法律の専門家である弁護士からの削除要請であれば、即時に対応してもらえる可能性を高めることができます。また、法令に違反している主張を、弁護士が論理的な文章にした上で、管理者等に送信することで、削除してもらえる可能性が高まります。

また、プロバイダ責任制限法に基づく、プロバイダに対する発信者情報の開示請求については、厳格な要件が定められています。開示請求に必要な要件に該当することを申立書という書面で明らかにしなければなりません。多忙な中、調べながら対応することは多くの医療機関で困難でしょう。弁護士に誹謗中傷投稿への対応を依頼すれば、開示請求に必要な書面の作成も委任できます。

病院に対する誹謗中傷は、病院の信用を損ねる可能性が高く、病院経営者や勤務している方々にとっては頭の痛い問題です。弁護士に依頼することで書類の作成から裁判所や相手との交渉を全て任せることができるので、日々懸命に医療に従事していらっしゃる医療従事者の方々や病院経営者の方々が、病院経営や診療に専念することができます。

弁護士に対応を依頼することで、誹謗中傷投稿の削除から損害賠償請求、刑事告訴の対応まで委任することも可能です。誹謗中傷を受けたことによる損害を最小限にとどめるためにも、早期に相談することをおすすめします。

5、まとめ

インターネットの普及により、誰でも情報を発信することができるようになりました。表面上匿名で、かつ簡単に投稿できることから、確実に顔や名前が相手に伝わるときには口にしないような過激な表現や、過剰に攻撃的な内容の投稿をする方が、残念ながら存在するようです。

口コミサイトなどであれば、その性質上、忌憚のない意見が多く、広く意見を求めるというサイトの性質から、多少厳しいコメントが書かれていても内容によっては削除されないこともあります。しかし、明確な誹謗中傷や事実に反する内容や虚偽の内容が書かれている場合には毅然とした対応が求められます。削除要請をしなければ、それが事実のように受け止められてしまう可能性があるからです。

早期解決を目指すのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士であれば、削除依頼などの対応を委任できるため、ただでさえ忙しい病院経営の時間を割くことなく対応していくことが可能となります。

あなたの病院がネット上で誹謗中傷を受けてしまったときは、ネット上の削除対応と損害賠償請求についての知見があるベリーベスト法律事務所にご相談ください。適切な対応で、あなたの病院が受ける損害を最小限に抑えられるよう、力を尽くします。

この記事の監修者
荻原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2020年12月22日)の法律をもとに執筆しています

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