弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 口コミ投稿
    法人
    2021年01月28日更新
    美容医療の口コミ広場に誹謗中傷の口コミが! 削除することはできる?

    美容医療の口コミ広場に誹謗中傷の口コミが! 削除することはできる?

    近年、美容整形や美容脱毛などの美容医療は非常に身近なものとなり、美容医療専門の掲示板「美容医療の口コミ広場」なども登場しました。

    このような掲示板への口コミには建設的な内容のものもありますが、中には悪意のある誹謗中傷もあります。特定の美容医療クリニックや医者を、名指しでけなす口コミも珍しくありません。

    こうした誹謗中傷の口コミを放置すると、世間から真実とはかけ離れたイメージを持たれかねません。そのため、美容医療クリニックの経営者としては、こうした誹謗中傷の口コミに対して厳正に対処する必要があります。

    本コラムでは、「美容医療の口コミ広場」に書き込まれた美容医療クリニックへの誹謗中傷について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が、対処法を解説します。
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1、美容医療と誹謗中傷

美容医療が世間一般に普及していることに伴い、美容医療クリニックの経営者には誹謗中傷への対策がますます求められるようになっています。

  1. (1)美容医療はオープンに

    美容整形や美容脱毛などの美容医療は、以前は利用していることを他人に知られたくないと考える人が多く、利用するとしてもこっそり通うというケースがほとんどでした。

    しかし、近年では美容医療を利用して美しさを手に入れることに対して、抵抗感が薄れる傾向にあります。
    それを表すかのように、SNS上では「整形垢」と呼ばれる、実際に美容整形を行った人が体験談や写真などをアップするアカウントが、数多く登場しています。さらに、整形垢の投稿を見たSNSのユーザーが美容医療を実際に受けてみるなどの循環も生じており、美容医療の普及に一役買っている状況です。

    このように、美容医療は世間的に見ても既にオープンなものになっており、今後もその傾向が継続する可能性は高いといえるでしょう。

  2. (2)SNSや口コミサイトにおけるトラブル

    美容医療が一般化するにつれて、SNSや口コミサイトへの美容医療関係の投稿も増加しています。

    特に、これから美容医療にチャレンジしようとする人にとっては、良い美容医療クリニックを見つけるために、美容医療クリニックの口コミ情報は重宝するでしょう。

    口コミは、ユーザーの生の声をそのまま投稿するものなので、その内容はさまざまです。美容医療クリニックを褒める内容だけでなく、批判的な内容も当然存在します。建設的な批判であれば、甘んじて受け入れて施術・接客などの改善につなげるべきかもしれません。しかし、中には悪意のある誹謗中傷としかとれないような内容の口コミも存在します。

    このような誹謗中傷の書き込みは、放置すると美容医療クリニックの評判を落としてしまうため、速やかに削除に向けて動く必要があるでしょう。

2、リアルな口コミが投稿される?「美容医療の口コミ広場」とは

美容医療に関する口コミサイトの中で、有名なサイトのひとつに「美容医療の口コミ広場」があります。

  1. (1)美容医療クリニックに関する口コミサイト

    「美容医療の口コミ広場」は、美容医療クリニックに関する口コミサイトです。
    2020年9月現在で12万件を超える口コミが投稿されており、美容医療クリニックをこれから利用しようとする多くのユーザーが、口コミを参考にして美容医療クリニックを選択しています。

  2. (2)実際に施術を受けた人のみが口コミを投稿できる

    「美容医療の口コミ広場」の口コミレポートは誰でも投稿できるわけではなく、実際の施術を受けた人のみ投稿できるシステムになっています(なお、「参考レポート」は誰でも投稿できます。)。そのため、単なる匿名掲示板などよりも、信ぴょう性の高い口コミが投稿されているだろうと考えることができます。

3、「美容医療の口コミ広場」の誹謗中傷の口コミを削除する方法

先述したように「美容医療の口コミ広場」は、美容医療関係のサイトの中では信頼性の高いサイトといえます。しかし、サイト管理者が常時口コミの内容を監視しているわけではないので、口コミの中には誹謗中傷に当たる内容のものが混じってしまうこともしばしばあります。

「美容医療の口コミ広場」で、経営する美容クリニックに対して誹謗中傷の書き込みを発見した場合には、サイト運営会社に対して削除請求を行いましょう。

  1. (1)「美容医療の口コミ広場」が削除対象とする口コミ

    削除対象となるのは、「美容医療の口コミ広場」の利用規約に反する口コミや、その他倫理的に不適切であるとサイト管理者が判断した口コミです。

    「美容医療の口コミ広場」の利用規約第7条では、サイト利用者に対する禁止事項が定められています。
    禁止事項には、「他の利用者、第三者に対する誹謗中傷、名誉毀損を目的とする行為」が含まれているため、誹謗中傷の口コミは利用規約違反として削除対象になる可能性が高いです。

  2. (2)「美容医療の口コミ広場」の削除ガイドライン

    「美容医療の口コミ広場」の口コミ削除に関する考え方は、同サイトの削除ガイドラインにおいて記載されています。

    削除ガイドラインでは、個人を特定できる誹謗中傷については、原則として削除の対象であると明記されています。
    一方で、企業などの法人の名誉または信用を毀損する表現行為については、自主的削除の要否判断ができないケースが多いため、必ずしも削除に至らない場合があるとしています。

    具体的な例で考えると、例えば医師の個人的な人間関係や性格などを批判する内容の口コミは、利用規約・削除ガイドライン違反として削除される可能性が高いでしょう。
    一方で、法人である美容医療クリニック自体を批判する内容の口コミは、サイト管理者による自主的な削除を期待できない場合があります。

  3. (3)削除申請はフォームから

    「美容医療の口コミ広場」の口コミについての削除要請は、専用のフォームが用意されており、フォーム以外の方法では削除依頼に対応してもらえません。

    フォーム上に必要事項を入力した上で送信すれば、削除申請は完了です。
    削除申請を行う際には、理由とともに、利用規約や削除ガイドラインの違反する規定についても詳細に記載しましょう。

4、削除申請をしても誹謗中傷の口コミが削除されなかった場合

「美容医療の口コミ広場」のサイト管理者に対して削除申請をしても、自主的な削除が行われなかった場合は、裁判所を通じた手続きにより対処する必要があります。

  1. (1)裁判所に対して投稿記事削除の仮処分を申し立てる

    誹謗中傷の口コミを削除するためには、裁判所に対して投稿記事削除の仮処分を申し立てましょう。

    通常の訴訟では結論が出るまでに時間を要し、その間違法な状態が続いてしまうことから、仮ではあるものの、比較的早期に結論の出る手続を利用し、暫定的に求めている結果と同じ状態(投稿記事の削除)を実現させる必要があります。このような手続が仮処分であり、投稿記事の削除を求める場合に通常選択されます。
    美容医療クリニックが誹謗中傷の口コミの被害を受けた場合は、名誉権の侵害を根拠として、サイト管理者に対する投稿記事削除の仮処分を求めることができます。

    仮処分の手続きでは、名誉権侵害の事実を資料によって疎明する必要があります。
    口コミの記載されたページをスクリーンショットなどによって保存して、証拠化しておきましょう。

  2. (2)投稿者を特定する方法は?

    口コミの削除だけでなく、投稿者を特定して損害賠償を求めることが考えられます。

    投稿者を特定するためには、裁判所を通じて、「美容医療の口コミ広場」のサイト管理者や、経由プロバイダーに対して発信者情報開示請求を行います。
    裁判所において正当な理由があると判断されると、投稿者を特定するために必要な、投稿に関する情報が開示されます。

  3. (3)法的措置をとる場合は弁護士に相談を

    裁判所を通じた口コミの削除や、投稿者を特定した上で損害賠償請求を行いたい場合には、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

    弁護士は、誹謗中傷の書き込みに対して、書き込みの内容や被害の状況などから、被害者の方の名誉を回復するために必要な法律上の措置を迅速に進めることが可能です。

5、まとめ

SNSやインターネットコンテンツの影響力がますます大きくなる中、誹謗中傷に対して厳正な対応を行う動きが社会的にも加速しています。
美容医療クリニック経営者の方は、病院の信用や名誉を守るためにも誹謗中傷には厳しい態度で臨むべきだといえるでしょう。

インターネット上の誹謗中傷に悩まされている場合は、ベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。弁護士が、解決に向けて全力でサポートします。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2021年01月28日)の法律をもとに執筆しています

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