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弁護士コラム

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第一東京弁護士会
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    法人
    2021年05月07日更新

    Googleマイビジネスに悪質なクチコミ…削除依頼の方法と対策は?

    日本国内における検索エンジン市場シェアを調べると、令和2年10月の時点で、デスクトップ・モバイルともに「Google」が第1位となっています。そのシェアはデスクトップ・モバイルともに80%に近く、第2位のYahoo、第3位のbingを大きく引き離しているのです。
    Googleはインターネット検索の結果に圧倒的な影響を与え続けています。そのため、検索結果やマップにビジネス情報が表示される「Googleマイビジネス」の広告効果も、多大なものとなっているのです。
    逆にいえば、ひとたびGoogleマイビジネスにネガティブなクチコミが掲載されてしまったときに生じるマイナスの影響も深刻なものである、ということになります。
    経営上のリスクにもなるようなネガティブなクチコミを投稿された場合には、削除請求を検討するべきでしょう。

    本コラムでは、Googleマイビジネスに悪意のあるクチコミや誹謗中傷を書き込まれた場合に削除を求める方法について、ITトラブルの解決実績を持つ、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。
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1、Googleマイビジネス(Googleマップ)のクチコミ機能とは?

検索エンジン市場において強大なシェアをもつGoogleの力を利用した広告・集客向けのサービスであるGoogleマイビジネスについて、概要を解説いたします。

  1. (1)Googleマイビジネスとは?

    Googleマイビジネスとは、自分が運営する会社・店舗・事務所などの情報を登録することで、Google検索やGoogleマップなどのGoogleの各種サービス上にてその情報を表示できるサービスとなります。
    Google検索画面では右側に、Googleマップでは左側に、検索した会社などの情報が表示されるものがそれです。

    ビジネスオーナーは、店舗住所、営業日や営業時間、ホームページのURLといった基本情報、店舗写真などをGoogleマイビジネスに掲載することができます。
    また、イベント情報やクーポンなどの情報も発信することもでき、さらに検索数や閲覧数といった情報分析も可能なサービスとなっています。

    これらのサービスはすべて無料で利用することができるため、昨今では数多くのビジネスオーナーがGoogleマイビジネスを活用しているのです。

  2. (2)「クチコミ機能」とは?

    Googleマイビジネスのなかでも特に重要な機能が、「クチコミ機能」です。
    クチコミ機能とは、Googleアカウントをもつ一般ユーザーが自由にコメントを投稿することのできる機能のことです。ユーザーは店舗や会社に5段階で評価を付けることができ、ユーザーの評価を集計した点数が、店舗や会社の情報に「星」の記号で表示されます。
    また、ビジネスオーナーはクチコミに対して返信を行うことが可能であるため、利用者とビジネスオーナーが交流することもできるサービスとなっています。

  3. (3)Googleマップとクチコミの連携

    Googleマイビジネスに登録された店舗や会社は、「Google検索」の結果のページに情報や写真が表示されるだけでなく、「Googleマップ」にも位置情報などが表示されることになります。
    Googleマップの情報はビジネスオーナーではない第三者でも編集可能ですが、Googleマイビジネスに登録することで、正しい情報を掲載することが可能になるのです。

    そして、Googleマップには店舗情報だけでなくクチコミも表示されます
    そのため、たとえば外出中に「この付近でレストランを探したい」と考えた人がスマホでGoogleマップを起動した場合には、「どのレストランを選ぶか」を決定するうえで、Googleマップの情報が結果を大きく左右することになるでしょう。

    つまり、Googleマップに掲載されるクチコミは、お店や事業の集客に多大な影響を与える要素となるのです

2、お店がマイビジネスで低評価されてしまったときの対策とは?

先述したように、Googleマイビジネスではユーザーが店舗や会社に対して自由にクチコミを投稿することができ、5段階による評価を付けることもできます。
クチコミが高評価であれば、集客にプラスの影響が生じることが期待できます。しかし、もし低評価を付けられたりネガティブなクチコミを投稿されてしまったりしたら、その評価やクチコミを目にしただけで利用を避けられて、潜在的な顧客を逃してしまうおそれがあります

自分が経営している店舗や会社のGoogleマイビジネスに低評価が付けられたりネガティブなクチコミを投稿されてしまったりした場合の対策について、解説いたします。

  1. (1)「星一つ」だけの低評価が付いてしまったときの対策は?

    先述した通り、Googleマイビジネスではユーザーが5段階による評価を投稿できます。
    星の数が多いほど高評価となり、店舗情報には、総合評価として平均点が表示されます。

    場合によっては、嫌がらせやいたずらを目的としたユーザーや、ライバル店・ライバル会社の関係者などが、評価を下げる目的で不当に「星一つ」といった低評価を付ける可能性があるでしょう。
    しかし、クチコミがなく、ただ単に「星一つ」の評価だけを付けられた場合には、「不当」と断定することはできません。実際に忌憚のない判断をした結果として「星一つ」の評価を付けたユーザーと、区別を付けることができないからです。

    そのため、「低評価を付けられた」ことだけを理由にGoogleへ削除を申請しても、削除が認められる可能性はきわめて低いといえるでしょう。

    削除が認められない場合には、低評価に対抗するために、誠実な運営を行うことによって高評価を増やして、平均点を上げる、クチコミに対して誠意のこもった返信をする、などの方法が考えられます
    ただし、星評価を向上させるために社員や関係者のアカウントを利用して作為的に高評価を投稿するなど、不正な操作を行った場合には、Googleからペナルティを受けてしまうおそれがあります。
    ペナルティを受けてしまうと、アカウントの停止、検索順位の低下のほか、検索から完全に除外されてしまう「インデックス削除」が行われてしまう可能性もあります。検索結果に表示されないことによる、集客面でのマイナス効果は計り知れません。そのため、不正な操作は慎むべきでしょう

  2. (2)ネガティブなクチコミが付いてしまったときの対策は?

    ネガティブなクチコミを投稿されてしまった場合には、まず、その内容が正当な「批判」の範囲内なのか、それとも「理不尽な誹謗中傷」なのかを客観的に判断する必要があります。

    正当な批判である場合には、削除しようとすることは得策ではありません。
    Googleマイビジネスの返信機能を利用して、真摯な姿勢で丁寧にコメントを送信することで、相手からの理解を得て低評価が修正される可能性があります。
    クチコミに返信する際は、投稿者の主張を頭から否定するのではなく、不快な思いをさせてしまったことに対する謝罪や、店舗の今後の対応に誠実さを期待させる返信をしましょう。
    また、クチコミと返信はすべてのユーザーが閲覧可能であるため、ビジネスオーナーが誠実に対応していることが多くのユーザーたちに可視化されることで、クチコミや点数評価に左右されない集客効果が期待できるのです。

3、Googleマップのクチコミは削除依頼しても削除されない可能性がある?

Googleマイビジネスに投稿されたクチコミを削除する方法のひとつが、Googleに削除依頼を申請することです。
しかし、削除依頼を出しても、必ずしもクチコミが削除されるとは限らないのです。

  1. (1)マイビジネスの「投稿コンテンツに関するポリシー」とは?

    Googleマイビジネスに投稿されたクチコミが削除されるかどうかの判断基準は、Googleが定めた「投稿コンテンツに関するポリシー」に違反しているか否か、ということになります。
    具体的には、次に挙げるようなコンテンツが、ポリシー違反と判断されます。

    ● 関連性のないコンテンツ
    投稿先のビジネスと無関係なコンテンツや関連が明確でないものは、削除の対象となります。
    たとえば、飲食店に対して、店のサービスの内容とは関係のない経営者個人への属人的な不満を述べるようなクチコミ、ビジネスと無関係な政治的な主張は、削除されるでしょう

    ● スパムを含むコンテンツ
    投稿先に関係のないサイトへのリンクや有害なソフトウェアへのリンク、フィッシング詐欺などが含まれたコンテンツは、削除の対象となります。

    ● 不適切なコンテンツ
    嫌がらせ・人物や場所への中傷・卑猥や冒涜などを含むコンテンツも削除の対象です。

    ● プライバシーを侵害するコンテンツ
    個人の財務情報、身分証明書、公開されていない個人の連絡先などは削除されます。

    ● 規制対象・違法にあたるコンテンツ
    アルコールやギャンブルなどの禁止コンテンツのほか、児童の性的虐待、なりすましなどの不実表示は削除の対象となります。

    なお、上記のポリシーはクチコミを投稿するレビュアーだけでなく、ビジネスオーナーにも適用されます。
    悪意のあるクチコミに対してポリシーに違反した返信を送った場合には、ビジネスオーナーの側が削除・ペナルティの対象となってしまう可能性があるので、注意してください。

  2. (2)Googleが削除をしてくれない場合とは?

    ビジネスオーナーにとって不利益をもたらすクチコミ投稿であっても、Googleが定めたポリシーに違反していない限り、削除はされません。
    つまり、たとえビジネスオーナー側が「このクチコミは誹謗中傷にあたるものだ」と認識していても、Google側がポリシー違反にあたらないと判断すれば、削除されないのです。

    また、削除依頼がGoogleに認められた場合でも、即時に削除されるわけではありません。Googleマイビジネスのクチコミが削除されるまでには、長ければ数カ月の時間がかかります。
    そのため、削除依頼を申請した後にも、クチコミへの丁寧な返信を行うなどの対策を並行して続ける必要があるでしょう。

4、Googleマイビジネスのクチコミの削除は弁護士にも依頼できる?

客観的に見て誹謗中傷にあたるクチコミであっても、Googleのポリシーに違反しない限りは、削除されない可能性が高いといえます。
しかし、弁護士に依頼して法律的な手続きをとることで、ネガティブなクチコミを削除できる可能性があります

  1. (1)クチコミでの誹謗中傷は法律違反になる?

    誹謗中傷にあたるクチコミは、名誉毀損や名誉感情の侵害、プライバシー侵害などの民法上の不法行為にあたるほか、刑法第230条の「名誉毀損罪」や第231条の「侮辱罪」にあたる可能性があります。
    また、虚偽情報などによって会社や店舗の経済的な信用をおとしめた場合には、刑法第233条前段に定められている「信用毀損罪」が成立する可能性もあるでしょう。

    ネガティブなクチコミの内容によって権利侵害が発生していると認められた場合には、Googleが定めているポリシーに違反していなくても、裁判所の判断によって削除が命じられる可能性があります

    実際に、関東地方にある医療機関に対する誹謗中傷にあたるクチコミがGoogleマップに投稿された件で、裁判所がクチコミの削除を命じる判断をした事例もあります。

  2. (2)弁護士に相談するメリットとは?

    Googleマイビジネスに投稿されたクチコミについて、Google側は「ポジティブ・ネガティブを問わず、ユーザーが意見を共有し、それを参考にすることができる重要な手段だ」と広報しているようです。現に、裁判手続における主張で、Google側は、同趣旨のことを主張してきます。
    そのため、Google側としては、投稿された情報の削除は原則としては行いたくないと考えているのです。ネガティブなクチコミであっても、「Googleが定めたポリシーに違反しない」という判断が下されてしまったら、削除依頼が認められる可能性はきわめて低いでしょう

    弁護士に相談すれば、クチコミが削除される可能性を高められます。
    弁護士であれば、クチコミによって権利が侵害されており、裁判所が削除を命令する可能性があるのか、名誉毀損罪や侮辱罪といった犯罪にあたるのか、などを正確に判断することができます。
    そして、「法的手段をとれば、削除請求が認められる可能性がある」と判断した後には、裁判所への仮処分申立てをはじめとした法的手続き、疎明・立証など、様々な点で弁護士のサポートを得ることができるのです

    なお、インターネットで検索すると「削除代行業者」などが多く表示されますが、弁護士資格を持たない個人・業者が削除依頼を代行する行為は弁護士法によって禁止されている「非弁行為」にあたります。
    違法な削除依頼であると判断されてしまうと、Googleが削除依頼に応じてくれない可能性が、むしろ高まってしまいます。そのため、削除代行業者への依頼は行わず、弁護士に依頼するようにしましょう

5、まとめ

Googleは日本のインターネットユーザーの80%近くが利用している強力な検索エンジンです。
Googleの各サービスと連携した「Googleマイビジネス」を利用すれば高い広告効果と集客が期待できますが、低評価や悪意のあるクチコミが投稿されれば逆効果となり、店舗や会社の経営に重大な悪影響が生じてしまいます
誹謗中傷にあたるクチコミを投稿されてしまった場合、削除依頼がGoogleに認められなくても、法的な手段をとることで削除できる可能性があります

ネガティブなクチコミに悩まされている経営者の方は、削除対応の解決実績を持つベリーベスト法律事務所にまで、ぜひご相談ください。
ベリーベスト法律事務所の弁護士は、削除請求が法的に認められるかどうかの判断、実際に法的な手段をとる際の手続きなどの全面的なサポート、低評価・厳しい批判に対する対処法のアドバイスなど、多角的で柔軟なサービスを相談者さまにご提供いたします。

この記事の監修
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2021年05月07日)の法律をもとに執筆しています

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