弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 口コミ投稿
    法人
    2021年02月22日更新
    【企業担当者向け】電話帳ナビの悪評を削除依頼する方法を解説

    【企業担当者向け】電話帳ナビの悪評を削除依頼する方法を解説

    インターネットで電話番号に関する情報を検索できるサービスとして、電話帳ナビがあります。電話帳ナビで検索すると、電話をかけてきた電話番号がどの業者か、どのような口コミがあるかなどを知ることができます。

    電話帳ナビはユーザーにとっては便利なサービスですが、もし電話帳ナビに自分の会社の悪評を書き込まれてしまうと、それを閲覧したユーザーから信用できない会社であると判断され、悪評が広まったり電話をとってもらいにくくなったりする可能性があります。

    そこで今回は、電話帳ナビに会社の悪評を書き込まれてしまった場合に、電話帳ナビに対して削除依頼をする方法や、削除してもらえない場合にどのような対処法があるかなどを弁護士が解説します。
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1、電話帳ナビとは

電話帳ナビは、電話番号に関する情報をインターネットで検索できるサービスです。電話帳ナビのホームページで電話番号、名称、住所などを入力して検索すると、キーワードに関する電話番号、業者の名称、所在地、口コミなどが表示されます。

たとえば、電話帳ナビの検索窓に「A株式会社」と入力して検索すると、A株式会社の電話番号、所在地、ユーザーが投稿した口コミなどを知ることができます。

近年、会社にとってはユーザーの口コミが非常に重要となっています。会社の悪評を口コミとして書き込まれてしまうと、さまざまな弊害が生じるおそれがあるからです。

2、電話帳ナビに書き込まれた悪評を放置するリスク

電話帳ナビに書き込まれた悪評を放置すると、どのような弊害が生じる可能性があるかを解説します。

  1. (1)業績が悪化する可能性がある

    電話帳ナビに悪評を書き込まれると、ナビで会社の情報を閲覧した方に悪い印象を与えるおそれがあります。閲覧した方が書き込みの内容を覚えていたら、何らかの機会に電話帳ナビに書かれていた悪評を他の方に話す可能性もあります。

    書き込まれた悪評をきっかけに、会社にとってよくない評判が広がれば、業績の悪化や顧客離れにつながる危険性があります。

    注意点として、会社からみると都合の悪い書き込みであっても、ユーザーの視点からみると、単なる批評(個人の意見)としてのネガティブな口コミに過ぎない場合もあります。

    書き込みがいわれのない悪評か個人からの正当な批評かの明確な線引きは難しいところですが、(民事上の)名誉毀損に該当するか否かの要件の一つである、その書き込みが真実に基づいているかどうかが一つの目安になります。

    真実に基づいた書き込みであれば、批評としての口コミの範囲である可能性が高くなり、削除請求が認められる可能性は低くなるでしょう。一方で、書き込まれた内容が真実に基づかない場合は、正当な批評にはあたらず単なる誹謗中傷であり削除請求が認められる可能性が高くなります

  2. (2)営業電話が困難になる可能性がある

    電話帳ナビに悪評を書き込まれると、それを見たユーザーから良くない業者であると判断され、営業電話に出てもらえなくなる可能性があります。

    また、電話帳ナビはインターネットのホームページだけでなく、スマートフォン用のアプリも提供しています。

    かかってきた電話番号が電話帳ナビに登録されている場合、電話番号がどの業者か、その業者にどの程度の危険度があるかなどをユーザーに通知します。ユーザーはアプリを使用して着信拒否の設定をすることもできます。

    電話帳ナビに悪評を書き込まれると、アプリに危険度が高い業者であると判定されてしまう可能性があり、それを見たユーザーから営業電話をとってもらいにくくなる可能性があります。

    また、固定電話で受けた着信をスマートフォンに転送する機能を使用していると、固定電話に電話をかけたとしても結局スマートフォンに電話が転送され、結果として、携帯電話にかけた場合と同様、電話をとってもらいにくくなることがあります。

3、電話帳ナビの書き込みの削除依頼をする方法

電話帳ナビに書き込みの削除を依頼する方法を解説します。

  1. (1)問い合わせフォームから連絡する

    電話帳ナビに直接削除を依頼するには、電話帳ナビのホームページにある「お問い合わせフォーム」から申請します。

    会社に関する書き込みの削除を依頼する場合、「お問い合わせ区分」は事業者を選択し、事業者名や連絡先の電話番号、メールアドレスなどを入力します。

    具体的な削除依頼の内容については、「お問い合わせ内容」の欄に2000文字以内で入力します。

    記載すべき内容としては、書き込みを削除してほしい旨の申請であること、どの書き込みを削除してほしいのか、書き込みによってどのような権利侵害を受けているのかなどを具体的に記載する必要があります

  2. (2)電話帳ナビの削除ポリシー

    電話帳ナビがどのような場合に電話番号や書き込みを削除するか、削除行為をどのように捉えているかなどは、ホームページにある「サイト利用規約」に規定されています。

    サイト利用規約は電話帳ナビの管理者(運営会社)が定めているもので、電話帳ナビのサービスを利用する際の条件を規定しています。電話帳ナビを利用するにあたっては、利用規約に同意する必要がある旨が記載されています。

    サイト利用規約には、口コミに関する免責や個人情報の取り扱いなどが規定されており、規約の第5条に削除権限についての規定があります。

    サイト利用規約の削除権限の内容は、以下のとおりです。

    • 電話帳ナビの運営会社は、以下に該当する場合には、投稿情報が違法かどうか、規約に違反しているかどうかにかかわらず、投稿情報の削除や公開範囲の変更などを行うことができる
    • 公的機関または専門家(国、地方公共団体、弁護士など)から、投稿情報について違法性、公序良俗違反、他人の権利を侵害するなどの指摘や意見表明があった場合
    • 権利者と称する者から、投稿情報が自分の権利を侵害する旨の申告があった場合
    • 投稿情報や投稿者がサイト利用規約に違反する場合
    • その他、運営会社が適当と考えた場合
    • 上記の点は、運営会社が投稿情報を削除しなければならない義務を規定したものではなく、措置をとるかどうか、どのような内容の措置をとるかは運営会社の裁量によるものとする
  3. (3)削除するかどうかは電話帳ナビの判断

    サイト利用規約に照らせば、電話番号や書き込みを削除するかどうかは電話帳ナビ(運営会社)の判断によります。

    規定された事由に該当する場合でも、削除などの措置をとるどうか、どのような措置をとるかは運営会社の裁量であると規定されています。

    そのため、会社の悪評を電話帳ナビに書き込まれた場合、問い合わせフォームから申請をしても書き込みが必ず削除されるとは限りません

    削除請求をした結果、運営会社が書き込みを削除してくれれば問題はありませんが、請求をしても削除してくれない場合は、次の方法を検討する必要があります。

  4. (4)削除してくれない場合は弁護士に依頼する

    削除申請をしても電話帳ナビが書き込みを削除してくれない場合は、インターネット上の権利侵害に知見のある弁護士に相談するのがおすすめです。

    弁護士に依頼すれば、電話帳ナビの運営会社に削除請求をする際に、どのような権利侵害が生じているかなど法的な根拠とともに法律の専門家ではない運営会社にも侵害の内容がわかりやすく記載してもらえます。

    弁護士からの請求は、サイト利用規約の削除権限における「公的機関または専門家から、投稿情報について違法性、公序良俗違反、他人の権利を侵害するなどの指摘や意見表明があった場合」に該当するため、削除に応じてもらいやすくなる可能性があります。

    もし削除請求をしても電話帳ナビが削除に応じない場合には、削除を実現するための法的手続を弁護士に任せることもできます。

    なお、弁護士以外の代行業者が削除請求などの交渉を行うことは、弁護士法で禁止されている非弁行為に該当する可能性があります。トラブル防止の観点からは、削除請求を依頼する場合は当初から弁護士に依頼するのがおすすめです。

4、電話帳ナビに悪評を書きこんだ投稿者を訴えたい場合

電話帳ナビに悪評を書き込んだ相手に対して、法的な責任を追及する方法を解説します。

  1. (1)まずは相手を特定する必要がある

    電話帳ナビに悪評を書き込んだ発信者に対して、法的手段を講じて責任を追及したい場合、まずは発信者が誰であるかを特定する必要があります。

    プロバイダなどに直接情報の開示を請求する方法もありますが、個人情報保護の関係から開示される可能性は低いため、裁判所の手続を利用して発信者の情報の開示を求めるのが一般的です。

    具体的な方法としては、まず裁判所に発信者情報開示の仮処分を申し立てて、悪評が書き込まれたサイトの運営会社などに対して、悪評を書き込んだ発信者のIPアドレスの開示を求めます。

    裁判所が申し立てを認めて仮処分の命令が出ると、通常はサイトの運営会社などから発信者のIPアドレスなどが開示されます。開示されたIPアドレスなどからは、発信者が使用したプロバイダを知ることができます。

    次に、発信者が使用したプロバイダを相手として、裁判という形で発信者情報開示請求訴訟を提訴します。裁判において請求に理由があると認められれば勝訴判決がでます。勝訴判決が確定した場合、プロバイダから発信者(厳密にいえば、使用されたプロバイダの契約者)の情報が開示されます。

    プロバイダが開示した発信者情報から、電話帳ナビに悪評を書き込んだ発信者の氏名や住所等を知ることができます。

    発信者を特定するために必要な一連の手続きは、非常に複雑で専門的であり、さまざまな要件を的確に立証する必要があります。インターネットの法律問題に知見のある弁護士に相談するのがおすすめです。

  2. (2)相手を特定した場合にできること

    発信者の氏名や住所がわかれば、その情報をもとに法的な責任を追及できます。責任を追及する主な方法は、刑事告訴をすることと、損害賠償を請求することです。

    刑事告訴とは、犯罪の被害者が捜査機関に犯罪事実を申告し、処罰を求めることです。電話帳ナビなどに会社の悪評を書き込むことは名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪などの犯罪に該当する可能性があります。

    どのような犯罪に該当するかは書き込みの内容や態様によって異なるため、刑事告訴手続を検討したい場合は弁護士に相談するのがおすすめです。

    次に、相手の氏名や住所がわかっていれば、悪評を書き込んだことの民事上の責任として、損害賠償を請求することができます。相手が請求に応じて任意に支払えばあまり手間はかかりませんが、相手が応じない場合は民事訴訟を検討することになります。

    事案にもよりますが、インターネットに悪評を書き込む行為に認められる損害賠償の金額は、あまり高額にならないのが一般的です。手間と費用をかけて裁判を起こすべきケースかなど、詳しくは弁護士に相談して検討するのがおすすめです。

5、まとめ

電話帳ナビは登録されている業者の電話番号、名称、口コミなどを検索できるインターネットのサービスで、電話をかけてきた発信元の情報を提供するアプリもあります。

電話帳ナビに悪評を書き込まれると、会社の業績の悪化や営業電話をかけにくくなるなどの弊害が生じる可能性があります。

書き込みの削除を電話帳ナビに申請することができますが、弁護士に相談すると、削除が認められやすくなる可能性があるだけでなく、投稿した相手を特定して法的措置をとることを検討しやすくなるメリットもあります。

電話帳ナビに悪評を書きこまれてお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。インターネットに関する法律問題に知見のある弁護士が、問題の解決に向けて迅速に対応いたします。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※記事は公開日時点(2021年02月22日)の法律をもとに執筆しています

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