削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
5ちゃんねるに書き込みをした犯人を特定するメリットをご紹介します。
5ちゃんねるに悪口を書き込んだ犯人を特定すると、それ以降の悪質な書き込みを抑止する効果が期待できます。
詳しくは後述しますが、書き込みをした犯人を特定する手続きの過程で、書き込みをされた会社が開示請求を行っていることは、書き込みをした側に伝わります。
開示請求をしていることが相手に伝わると、悪口を書き込まれた会社が犯人を特定するために本気で動いている、と相手が危機感を抱く可能性が高くなります。
自分の身元が特定されてまで、なお悪口の投稿をするのは通常は考えにくいところです。そのため、相手の情報が完全に開示されない段階でも、少なくともそれ以上の悪口が投稿されなくなる効果が期待できます。
開示請求の段階で相手の行為が止まらなかった場合でも、相手の身元を特定して法的な責任を追及すれば、悪口を書き込む行為をやめる可能性は高くなります。
会社等について悪口を書き込んだ場合、内容によっては名誉毀損罪、侮辱罪、業務妨害罪などの犯罪に該当する可能性があります。
悪質な書き込みについては警察に被害届を出すこともできますが、インターネットに悪口を書き込まれるケースは少なくないこともあり、相手の身元がほとんどわからない段階では警察の捜査も消極的になる場合があります。
この点、書き込みをした相手の氏名や住所などの情報を特定できれば、警察も捜査がしやすくなります。相手を特定したうえで警察に相談することで、熱心な捜査や検挙などが期待できる可能性があります。
インターネットに会社等の悪口を書き込むことは、その会社等に対する不法行為となる可能性があります。不法行為に対しては民事上の責任として損害賠償を請求することができますが、相手を訴えるには原則として氏名や住所を特定する必要があります。
悪口を書き込んだ相手を特定することができれば、民事事件で訴えることが可能になります。
また、悪口を書き込んだ相手を特定した結果、その会社等に勤める従業員だった場合は、会社等の名誉の侵害や営業上の秘密を漏えいするような書き込みに対して、懲戒処分を検討することができます。
悪口を書き込んだ犯人を特定するための前提となる知識として、発信者情報開示請求の仕組みとIPアドレスについて解説していきます。
発信者情報開示請求とは、インターネットで他人や法人を誹謗中傷するような表現を行った発信者について、その発信者が利用しているプロバイダに対して発信者情報を開示するように要求する制度です。プロバイダ責任制限法という法律の第4条に基づくものです。
開示の対象となる発信者情報とは、発信者の氏名、住所、IPアドレス、メールアドレス、投稿した日時などです。プロバイダが開示請求に応じた場合、発信者情報が請求者に開示されます。
発信者情報開示請求によってインターネットに悪口を書き込んだ相手の発信者情報が開示されれば、相手を特定することが可能になります。
発信者情報開示制度は民事上の請求権として規定されているため、制度上は裁判手続によらなくても開示することが可能です。これは任意開示と呼ばれます。
もっとも、任意開示に応じるかどうかはあくまでプロバイダ側の任意であることに加えて、プロバイダとしては発信者の個人情報を保護する必要性もあるため、実際には部外者の要請に対して開示に応じるケースは非常に少ないのが実際のところです。
そのため、発信者情報開示制度を用いて発信者情報を開示してもらうには、裁判所に申し立てて裁判手続を経るのが一般的です。
プロバイダ責任制限法第4条に基づく開示の要件は、以下のとおりです。
● 特定電気通信による情報の流通
特定電気通信とは、「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信」と定義されています。インターネット上のウェブサイトで行う、誰もが閲覧可能な情報発信のことです。
● 自己の権利を侵害されたとする者
発信者情報開示の請求権者のことで、自然人だけでなく法人や権利能力なき社団なども含まれます。
● 権利が侵害されたことが明らかであること
権利を侵害された事実とそれに加えて違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことを意味します。
● 正当な理由の存在
開示請求者が発信者情報を取得する合理的な必要性があることです。正当な理由が認められるのは、発信者に削除を要請するため、民事上の損害賠償請求権に必要であるため、刑事告訴などの法的手段をとるにあたって本人を特定する必要性がある場合などです。
● 「開示関係役務提供者」に該当すること
開示請求の相手方についての要件です。例えば、サーバーを提供している者、電子掲示板を管理している者、インターネットサービスプロバイダなどが該当します。
● 「発信者情報」に該当すること
総務省令で定められた、開示の請求となる発信者情報のことです。氏名、住所、メールアドレス、IPアドレス、IPアドレスと組み合わされたポート番号、携帯端末のインターネット接続サービス利用者識別番号、SIMカード識別番号、発信時間が挙げられています。
● 「保有」の要件
プロバイダなどの開示関係役務提供者が、開示の対象について開示する権限を有することを意味します。
発信者情報開示は基本的に悪口を書き込んだ相手が使用したプロバイダに対して請求するため、相手がどのプロバイダを使用したかを把握する必要があります。そのための手がかりになるのがIPアドレスです。
IPアドレスはパソコンやスマートフォンなどのネットワークに接続する機器に割り当てられる数字で、ネットワーク上の機器を識別するために用いられます。
IPアドレスはネットワークにおける住所や電話番号のようなもので、IPアドレスがあることで相手を間違えないようにデータの送受信などが可能になります。
相手のIPアドレスがわかれば国や地域、使用されたプロバイダなどを識別することができます。そのため、悪口を書き込んだ相手を特定するには、まず相手のIPアドレスを知ることが必要です。
5ちゃんねるに悪口を書き込んだ犯人を特定する方法を、手続きの流れに沿って解説していきます。
プロバイダに発信者情報の開示を請求するためには、まず悪口を書き込んだ発信者のプロバイダを知る必要があります。発信者のIPアドレスがわかれば、そこから発信者のプロバイダを知ることができます。
発信者のIPアドレスを知るには、まず5ちゃんねるの運営会社に対してIPアドレスの開示請求を行う方法が考えられます。
もっとも、5ちゃんねるは警察や裁判所からの要請など以外では、取得した接続情報などを流用しないというスタンスをとっているため、5ちゃんねるに直接依頼しても、IPアドレスの開示がされる可能性はほとんどありません。
そのため、裁判所に申し立てて仮処分を請求するのが一般的な方法です。請求が認められれば、裁判所から仮処分の命令が出て5ちゃんねるが発信者のIPアドレスを開示してきます。
発信者のIPアドレスが開示されれば、IPアドレスの情報から発信者が利用しているプロバイダ(インターネットサービスプロバイダ・ISP)を知ることができます。そこで、次に、プロバイダに対して発信者情報開示請求を行います。
発信者情報開示請求は裁判外でも行うことができますが、任意開示に応じるかどうかはプロバイダ側の判断です。プロバイダ側の弁護士が裁判なしで応じる場合もありますし、開示を拒否する場合もあります。
プロバイダが任意開示を拒否した場合は、民事裁判という形で発信者情報開示請求を行います。申立てを認めてもらうには、開示請求の要件を満たしていることを適格に立証する必要があります。
IPアドレスの開示請求においても発信者情報開示請求においても、裁判所を介して請求する場合は手続が複雑かつ専門的になります。手続きについて知見のある弁護士に依頼するのがおすすめです。
主張が認められてプロバイダから発信者情報が開示されれば、氏名や住所などから悪口を書き込んだ相手を特定することができます。
犯人を特定したあとにどのような対応ができるかをご紹介します。
インターネットの掲示板に会社の悪口を書き込むことは、以下のような犯罪に該当する可能性があります。
書き込まれた内容が上記のような犯罪を構成する可能性がある場合、刑事告訴をすることができます。刑事告訴とは、犯罪の被害者が警察や検察官などの捜査機関に犯罪事実を申告し、処罰を求める手続のことです。
悪口を書き込んだ犯人が特定されていなくても刑事告訴をすることはできますが、相手の氏名や住所が特定されていれば捜査や逮捕がスムーズに進みます。また、相手を処罰したいという被害者の意欲が高いことを捜査機関に示すことができます。
刑事告訴が受理された場合、犯人が逮捕されたり、起訴され、最終的には有罪判決が出て刑事罰が科されたりする可能性があります。
相手の氏名や住所を特定できたら、悪口を書き込んだことに対する損害賠償請求を行うことができます。請求自体は代理人がいなくても行うことができますが、弁護士が代理人になれば相手が危機感を抱いて応じやすくなる可能性があります。
相手が請求を認めて任意に支払う場合は早期の解決が期待できますが、支払いを拒否するのであれば民事訴訟を起こして裁判で決着をつける方法があります。
裁判は判決が確定するまでに手間と時間がかかるのが一般的です。また、インターネット上に悪口を書き込む行為に対する損害賠償の金額は、基本的にそれほど高額にはなりません。
判決によって得られる可能性がある金額と裁判にかかる費用を比較すると、長期間の裁判を起こして損害賠償を請求する金銭的なメリットはあまり高くありません。
また、双方が合意して裁判の途中で和解をする方法もあります。
いずれにせよ、裁判を起こす必要性が高いのは、金額の多い少ないは別として、相手に責任を追及したいという場合などです。
5ちゃんねるに悪口を書き込んだ相手を特定することは、それ以降の悪質な書き込みを抑止できる可能性がある、民事上の損害賠償請求や犯罪としての刑事告訴に役立つなどのメリットがあります。
相手を特定するためには、5ちゃんねるの運営会社にIPアドレスを開示してもらった後、IPアドレスから割り出したプロバイダに対して発信者情報開示請求を行います。
どちらも相手側が任意で開示に応じる可能性は高くないため、裁判所に仮処分や訴訟を申し立てて開示を請求するのが一般的な方法ですが、複雑かつ専門的な手続に対応するためには専門家である弁護士の力が重要です。
5ちゃんねるに悪口を書き込まれて対応に苦心している担当者の方は、ぜひベリーベスト法律事務所にご相談ください。どのような法的措置をとれるかなど、経験豊富な弁護士が適切なアドバイスをいたします。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。
※記事は公開日時点(2022年12月16日)の法律をもとに執筆しています