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弁護士コラム

この記事の
監修者
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 口コミ投稿
    法人
    2022年06月09日更新

    Openwork(旧Vorkers)の口コミを削除依頼する方法

    「Openwork」は、会社で実際に働く従業員が、自社に関する口コミを投稿できる情報サイトです。

    Openworkの口コミは、多くの就職・転職活動をする方が参考にしています。そのため、事実に反する口コミや、誹謗中傷に当たる口コミが投稿された場合、掲載企業の評判に傷がついてしまうおそれがあります。

    もし自社についての悪質な口コミがOpenwork上に投稿された場合、速やかに弁護士にご相談のうえで、被害を最小限に食い止めるための対応策をご検討ください。

    今回は、Openwork上に投稿された事実無根・誹謗中傷の投稿を削除するために、必要な手続きや注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
初回相談60分無料

通話無料/平日9:30〜18:00

1、Openworkとは?

「Openwork」は、オープンワーク株式会社が運営する、就職・転職希望者向けの求人情報サイトです。
2007年から「Vorkers」という名称で転職サイトのサービスを提供していましたが、2019年5月23日より、現在の「Openwork」にサービス名称が変更されています。

Openworkの大きな特徴は、掲載企業で実際に働く従業員から、会社の評判に関する口コミが多数投稿されている点にあります(社員クチコミ)。
信ぴょう性のある従業員の生の声を聞くことで、外からではわからない会社の実態を知ることができるため、Openworkは就職・転職希望者の間で高い評価を得ています。

2、Openworkの口コミが削除される基準は?

Openworkに投稿される口コミは、投稿者によって自由に書き込まれており、基本的には運営会社のチェックを経ずにそのまま投稿されます
そのため、中には事実無根の口コミや、誹謗中傷の口コミが投稿されるケースもあるのが実情です。

Openworkでは、口コミの健全性を重視するポリシーを打ち出しています。
具体的には、以下のいずれかに該当する投稿は不適切と判断され、判明次第非掲載とする対応がとられています。

  • ① 掲載情報が明らかに投稿時の「事実と異なる」と判断できる場合
  • ② 掲載情報が明らかに「誹謗中傷に該当する表現を含む」と判断できる場合
  • ③ その他掲載内容が公序良俗に反すると判断できる場合


(参考:「お問合せ(貴社に関する掲載情報の削除依頼)」(Openwork)

上記の削除ポリシーに従い、Openworkは掲載企業からの削除依頼を受け付けています。

3、Openworkの口コミを削除する方法・手順

Openworkに投稿された悪質な口コミを削除する方法としては、Openworkに対して郵送で直接削除を依頼する方法と、裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる方法の2通りがあります。

  1. (1)Openworkに郵送で削除依頼を行う

    Openworkは、削除依頼を郵送のみによって受け付けています。
    メール・対面・電話などでの対応は受け付けていないので注意しましょう。

    Openworkに対する削除依頼は、以下の書類を同封した郵便物を、Openworkの事務局に郵送して行います。

    <Openworkに対する削除依頼の必要書類>

    • 侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書
    • 発行後3か月以内の印鑑登録証明書
    • 発行後3か月以内の会社の登記簿謄本(全部事項証明書)
    • 印鑑登録証明書と同じ印鑑(実印)による押印がなされた委任状(代理人申請の場合のみ)
    • 掲載内容が削除事由(事実と異なる、誹謗中傷に当たるなど)に該当することを明確に証明できる資料
  2. (2)裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる

    Openworkが削除依頼に応じない場合、裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる方法もあります。

    Openworkにおける事実無根・誹謗中傷等の投稿により、被害者である企業に著しい損害または急迫の危険が生じるおそれがあると認められた場合には、裁判所はOpenworkの運営会社に対して、投稿を削除すべき旨の仮処分命令を行います(民事保全法第23条第2項)。
    投稿削除の仮処分命令を受けた場合、Openworkとしても裁判所の判断を尊重し、投稿を削除する対応をとる可能性が高いと考えられます。

    投稿削除の仮処分を申し立てる場合、裁判所に対して以下の書類の提出が必要です。

    • 仮処分申立書(収入印紙を貼付)
    • 投稿内容を示す証拠書類
    • 投稿によって著しい損害または急迫の危険が生じるおそれがあることの証拠書類
    • その他の証拠書類
    • 郵券(書類の送達用)


    投稿削除の仮処分申立てを行うに当たって、手続きの流れや必要書類等についてわからないことがある場合は、弁護士にご相談ください。

4、Openworkに直接削除依頼をする場合の注意点

Openworkへの削除依頼は、必ず成功するわけではありません。
合理的な理由のない削除依頼を行うと、その旨がOpenworkのサイト上で公表される可能性があるので要注意です。

  1. (1)必ず削除されるわけではない|返信が来ない場合もある

    Openworkでは、投稿内容を中立的に審査するため、すべての削除依頼に応じるわけではありません
    口コミから受ける印象は読み手によって異なるため、事実無根・誹謗中傷であることを明確に認定することは難しく、Openworkが非掲載処置をとるに至らないことも考えられます。

    またOpenworkは、削除依頼の内容によっては返信できない場合があることを注意喚起しています。
    削除依頼に関する検討の進捗状況についても、個々の依頼者の問い合わせへの対応は行っていません。

    このように、Openworkに対して郵送で削除依頼を行っても、口コミが必ず削除されるわけではなく、また返信が来ないケースもあることに注意が必要です。

  2. (2)不正な削除依頼をした場合、サイト上で公表される可能性がある

    Openworkは、掲載情報が事実であるにもかかわらず、不正な理由により削除依頼が行われた場合、営業妨害と判断するケースがあることをうたっています。

    さらに、不正な理由により削除依頼が行われた場合には、企業名と削除依頼の内容をサイト上で掲載するケースもあるとされています

    Openworkのサイト上で企業名等を掲載することは、法的には名誉毀損等に該当する可能性があるため、実際に掲載措置がとられるケースはまれと考えられます。
    しかし、万が一企業名等の掲載が行われると、企業イメージが失墜しかねないので要注意です。

5、Openworkにおける誹謗中傷の口コミ投稿者を特定する方法は?

Openworkにおいて、自社に対する事実無根・誹謗中傷の口コミを発見した場合、投稿者に対する損害賠償請求を行うこともできます
しかし、Openworkは実名投稿ではないため、損害賠償請求等を行うに当たっては、口コミの投稿者を特定する必要があります。

口コミの投稿者を特定するには、発信者情報開示請求を申し立てることが考えられます。

発信者情報開示請求とは、インターネット上の投稿について、投稿者に関する情報の開示を請求する手続きです。
投稿によって自らの権利が侵害されており、投稿者に対する損害賠償請求の準備を行う場合に、発信者情報開示請求が認められています(プロバイダ責任制限法第4条第1項)。

まずOpenworkに対して発信者情報開示請求を行い、Openworkが保有している投稿者に対する情報の開示を受けます。
Openworkが投稿者の個人情報を保有していればその情報を、保有していなくてもIPアドレスの開示を受けることができるでしょう。
なお、開示の対象となる「発信者情報」は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令」という省令に列挙されているもののみです。

OpenworkからIPアドレスの開示を受けた場合は、そのIPアドレスを基に、投稿に用いられた端末のインターネット回線を特定します。
その後、インターネット接続業者に対して再度発信者情報開示請求を行えば、投稿に用いられた端末の所有者の個人情報を取得することが可能です。

ただし、投稿に用いられた端末の所有者が、投稿者とは別人の場合もあります(インターネットカフェの端末など)。
また、投稿者が公衆無線LANなどを利用している場合には、インターネット接続業者が投稿者の個人情報を保有していないため、発信者情報開示請求だけでは投稿者の個人情報にたどり着くことができません。

これらの場合には、投稿が行われたと思われる現場の防犯カメラ映像と照合するなど、別の方法と併用して投稿者を特定する必要があります。

なお、インターネット接続業者が保有する発信者情報には保存期間があり、その多くは3か月程度とされております。保存期間の過ぎた発信者情報は消去されてしまうことから、発信者情報開示請求を行う際には、なるべく速やかに弁護士に相談することが重要です。

6、Openworkの口コミ削除は弁護士にご相談を

Openworkに投稿された事実無根・誹謗中傷の口コミの削除は、Openworkに対する直接の削除依頼だけでは完了せず、裁判所に対する仮処分申立てを要するケースが多いです。
また、匿名投稿者を特定して損害賠償請求等を行う場合には、ほぼ確実に法的手続きの利用が必要になります。

弁護士にご依頼いただければ、悪質な口コミ情報による被害を最小限に食い止めるとともに、投稿者の特定および損害賠償請求等を通じて、迅速な被害回復を図って参ります

Openworkで自社に対する事実無根・誹謗中傷の口コミを発見した場合には、速やかに弁護士までご相談ください。

7、まとめ

Openwork上で自社に対する事実無根・誹謗中傷の投稿を発見したら、風評被害の拡大を防止するため、速やかに削除に向けた対応に着手しましょう。
Openworkに直接削除依頼をすることもできますが、Openwork側が応じてくれないケースもありますので、その場合は弁護士へのご相談をお勧めいたします。

ベリーベスト法律事務所は、インターネット上で誹謗中傷等に関する法律相談を随時受け付けております。
Openworkなどの口コミサイトで誹謗中傷等の被害に遭った個人・企業の方は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2022年06月09日)の法律をもとに執筆しています

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