削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
転職サイトは数多く存在しますが、そのなかにおける「転職会議」の特徴を解説いたします。
「転職会議」は、転職を希望する人が候補先の企業を調べる際に利用することを目的として、多数の企業に関する口コミ情報を掲載しているWebサイトであり、近年急速に利用者数を伸ばしています。
「転職会議」の運営元は「株式会社リブセンス」というIT企業です。
また、「転職会議」には各企業の求人情報も掲載されています。そのため、口コミと求人情報を同時に検討して総合的な判断をおこないやすい点も、転職志望者にとっての「転職会議」のメリットとなっています。
他の転職サイトと比べた「転職会議」の特徴としては、口コミの件数が多いこと、その口コミの内容が細かいカテゴリーに分かれており転職志望者が知りたい情報を調べやすいこと、情報量が非常に豊富であるということが挙げられます。
2021年5月現在で、「転職会議」に口コミが登録されている企業数は17万社を超えています。
また、「転職会議」の口コミは、内容ごとにカテゴリー分けされており、そのカテゴリーも多数そろえられています。
たとえば、以下のようなカテゴリーがあります。
そのため数多くの転職志望者が利用しており、採用をおこなう企業にとっても重要なWebサイトになっているのです。
「転職会議」のような影響力の大きなメディアに自社の誹謗中傷が書かれてしまうと、人材採用のみならず売り上げにも影響が出て、経営悪化につながるおそれがあります。
そのため、誹謗中傷が書かれた口コミを発見したら、速やかに対処する必要があります。
いわゆる「ネットリテラシー」の重要性が指摘されていますが、実際にサイトを閲覧している間はそのことを失念してしまうこともあるでしょう。Webサイトに書かれている情報について常に根拠を確認したり、「この情報は信頼できるものか?」と判断したりしながら読みすすめる人のほうが珍しいと考えられます。
たとえ事実無根の情報であったとしても、その情報が掲載されている限りは、一定数以上のユーザーがその情報を鵜呑みにして「この情報は正しい」と判断してしまうことは避けられないものです。
そのため、自社に対する誹謗中傷が含まれた口コミを多くの人の目に触れてしまう状態を放置することは、会社のイメージを下げる事態につながるリスクがあります。
また、誹謗中傷が含まれた口コミを閲覧した転職志望者がその情報を友人や知人に伝えたり、SNSで情報が尾ひれをつけて拡散されたりするなどして、風評被害が際限なく広がってしまうおそれもあります。
風評被害は、企業の商品やサービスなどの売り上げの減少をもたらして、経営悪化に直結する可能性もある、深刻なリスク要因です。
そのため、誹謗中傷が含まれた口コミは放置せず、適切な対応をおこなうことが必要となるのです。
「転職会議」を閲覧するユーザーの大半は、いま働いている職場からの転職を検討していると考えられます。そして、転職会議で自社のページが閲覧されたということは、少なからず自社への転職を検討している潜在的な応募者だともいえます。
そのため、転職会議に自社に対する誹謗中傷を書かれることは、潜在的な採用候補者を失うことにつながります。本来なら採用することができていたかもしれない優秀な人材が、誹謗中傷を含んだ口コミを目にして自社に対する悪印象を抱いてしまい、応募の意思を失う場合があるからです。
優秀な採用候補者が応募をしなくなると、採用活動の効果も減少してしまいます。いくら求人広告を出しても、広告料に見合う効果が得られなくなってしまうのです。そのため、誹謗中傷への対策は、企業の経営者だけでなく人事担当者にとっても非常に重要なことだといえるでしょう。
「転職会議」に掲載された誹謗中傷の口コミを削除する方法としては、以下の二つが一般的です。
①「転職会議」の運営元である株式会社リブセンスに対して直接口コミの削除を求める
② 法的手段を通じて口コミの削除を求める
運営会社に口コミの削除を求める方法について、流れと注意点を解説いたします。
「転職会議」には、ユーザーが口コミを投稿する際に遵守すべき「口コミ投稿ガイドライン」が設けられています。
同ガイドラインでは、以下の内容の投稿が削除対象とされています。
事実無根の誹謗中傷を含んだ投稿は、「誹謗中傷を意図した投稿」として、削除対象に該当するものと考えられるでしょう。
株式会社リブセンスに誹謗中傷の口コミの削除依頼を申請する場合には、「転職会議」に設置されている問い合わせフォームを利用することになります。
削除依頼をする際には、問題となっている投稿を特定したうえで、「なぜその投稿が誹謗中傷であるか」を詳しく説明する必要があります。
この点は、自社で行うことも可能ですが、弁護士が依頼を受けたうえで代理人として対応することも可能です。
なお、削除依頼を受け付ける専用の問い合わせフォームは設置されていませんので、対応してもらえるまでにある程度時間がかかるでしょう。
「転職会議」では、ユーザーが投稿した口コミについて、運営による目視での確認がおこなわれています。つまり、サイト内に投稿されている口コミは、すでに運営による確認が済んでいるものです。いちど運営が確認して「問題ない」と判断された口コミであるため、削除依頼の申請をしても、運営側が自らの判断を変更して削除する可能性は高くないでしょう。
誹謗中傷の口コミを削除したい場合だけでなく、誹謗中傷の内容が悪質であることから投稿者を特定したい場合には、弁護士に依頼して法的な手続をとるのがよいでしょう。
上述した問い合わせフォームからの削除申請を行っても必ず削除されるとはとは限りません。投稿者の情報について開示請求を行うことも、法制度上は裁判外でも行えますが、一般的には裁判手続きによらなければ開示してくれることはほとんどありません。
投稿の内容が誹謗中傷にあたると客観的に示せる場合には、裁判所に判断をあおぐ法的手続きによって、投稿の削除や発信者情報開示請求が実現できる可能性があります。
裁判所に申し立てをおこなうことは個人でも可能ですが、申立書類の作成や「投稿の内容が誹謗中傷であること」の証明には法的知識が必要となります。そのため、弁護士に依頼して申し立てをおこなうことが一般的です。
誹謗中傷の口コミを投稿された被害者が取り得る法的手段は、主に、以下の二つとなります。
① 削除請求の仮処分申請
裁判所には、投稿された口コミの削除請求の仮処分を申し立てることができます(民事保全法第23条第2項)。
基本的に、削除請求の仮処分を申し立てるためには、以下のような理由を裁判所に対して示す必要があります。
② 発信者情報開示請求の仮処分/訴訟
誹謗中傷の含まれた口コミにより損害が発生してしまった場合には、口コミの投稿者に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
損害賠償を請求するためには、投稿者の個人情報を特定する必要があります。Webサイトの運営元には、プロバイダ責任第4条第1項に基づいて、発信者情報開示請求をおこなうことが可能です。
発信者情報開示請求をおこなう際には、裁判所に仮処分を申し立て、その後訴訟を提起することになります。削除請求の場合と同じく、発信者情報開示請求にも、認められるための要件が複数存在します。たとえば、以下のような要件です。
投稿削除の必要性や、発信者情報の開示を求める理由が正当であることを裁判所に示すためには、法的知識が必要となります。そのため、裁判手続を選択する場合には、通常は弁護士が代理人として対応します。
転職を志望する人の大半は、転職サイトに書かれている情報を見て、応募先を決定します。そのため、転職サイトに投稿される情報は、採用活動の成否を左右するほどの重要性を持ちます。
誹謗中傷の含まれた口コミが転職サイトに投稿されると、本来なら応募していたはずの優秀な人材が逃げていき、採用活動の効果が激減する結果につながるおそれがあります。また、風評被害によって企業の商品やサービスの売り上げにも影響が出て、業績悪化につながるおそれもあるのです。
法的な手段を用いて削除することが可能な投稿とは、「誹謗中傷」の含まれた投稿等法的に削除や発信者情報開示請求が認められるべき正当な理由がある場合に限ります。たとえ自社にとって不都合な内容であったとしても、その内容が真実であり、かつ、その内容を公開することが他の転職を志望する人にとって有益、有用な情報であるといえる場合には、投稿を削除することは困難でしょう。そのような場合には、求人広告を出して会社のプラスイメージを広めるなど、ポジティブな広報によってネガティブな投稿の悪影響を打ち消すことが必要になります。
しかし、投稿の内容が真実に基づかない誹謗中傷である場合は、その投稿を放置してしまうことで深刻な悪影響がもたらされるリスクがあります。誹謗中傷に対しては、法的な手段を用いて、運営元に対する削除請求や投稿者情報開示請求をおこなうなど、適切に対応する必要があります。
「転職会議」やそのほかの転職サイトに誹謗中傷を投稿されてしまった会社の経営者や人事担当者の方は、ぜひ、ベリーベスト法律事務所にまでご相談ください。投稿削除や発信者情報開示請求の仮処分の申し立ての経験ある弁護士が、ご相談を承ります。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。
※記事は公開日時点(2021年06月15日)の法律をもとに執筆しています