削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
「みんしゅう」とは楽天株式会社が運営する「みんなの就職活動日記」という口コミサイトの愛称/略称です。就職活動中の学生を中心に令和3年9月時点で約54万人が登録し、累計1438万件以上もの企業情報の交換が活発に行われています。
会員登録したユーザーが匿名で就職活動の様子や志望動機などを投稿し、情報共有などが活発に行われています。実際に就職したOB・OGからの書き込みもあり、会社の内部から見た実態なども投稿されているため、就活生にとっては重要な情報源のひとつといえるでしょう。
特に内定者がどのような面接に挑んだかの体験記は、参考になる情報として広く参照されているようです。ただし匿名で投稿できるため、赤裸々な体験が書き込まれる一方、うそや大げさな情報である可能性も少なくありません。企業にとってはもちろん、個人にとっても、メリットがある一方で、デメリットにもなりえるでしょう。
「みんしゅう」の利用規約には、以下のように禁止事項が明記されています。
削除しなければならないような誹謗中傷などの書き込みを「みんしゅう」に行ってしまった場合、「みんしゅう」のブラックリストに登録される可能性があります。ブラックリストとは利用規約やガイドラインに違反するなどの書き込みを行う人物が「みんしゅう」に投稿することを不可能にする、「みんしゅう」側の機能のことです。
誹謗中傷でなくとも、個人情報や個人の特定につながるような書き込みも、禁止されています。個人情報とは、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどです。こういった書き込みは、上記(2)の「他者の個人情報や他者に属する著作物を、当該人物の許可なく、みん就への掲載その他の方法により公表または第三者に送付、伝達もしくは開示する行為」や上記(7)の「他の利用者を不快・不安にさせる行為」に該当する可能性が高いでしょう。企業側の社名や面接担当者などの氏名を出すことも禁止されています。
また、利用者が自分の個人情報を書き込みすることも、第三者に悪用されるおそれがあるので禁止されています。
もしも自社の誹謗中傷が「みんしゅう」に書き込まれているとしたら、どのようなリスクが考えられるでしょうか。
「みんしゅう」で印象の悪い情報が書き込まれると、学生の間で悪評がたちまち拡散してしまいかねません。
面接官がセクハラやパワハラ的な発言をした、圧迫面接をされたなどという書き込みによって、就活生の間でその企業の印象が悪くなってしまうと、応募数が減ってしまう、内定辞退が増えるなどの事態に陥る可能性があるでしょう。
また「みんしゅう」は、一般の方も会員登録さえすれば自由に閲覧できます。自社の名前を各種検索エンジンで検索した結果、「みんしゅう」に書き込まれた誹謗中傷が、検索結果1ページ目などの上位に表示されるという事態もありえるでしょう。
その影響で、企業イメージの悪化、ひいては売り上げの減少など、採用活動にとどまらない大きな問題となる可能性があります。事実ならまだしも、虚偽の情報や誹謗中傷を書き込まれた場合、企業側としては看過できない事態といえるのではないでしょうか。
匿名サイトではありますが、従業員の身元が特定される可能性もあります。
内定者や採用過程の学生による個人情報や個人を特定できる情報の取り扱われ方には気をつけなければいけません。
本来、あってはならないことですが、ライバル企業や、悪意のある人物が、わざと悪評を書き込みしているケースが少なからずあるようです。学生や一般人など社外の人間からは、書き込みが虚偽であるかどうかを判断するのは難しいでしょう。
場合によっては書き込みの削除だけでなく、悪質な書き込みを行った者の正体を突き止め、損害賠償請求を行う必要に迫られるかもしれません。
では具体的に、どのように削除依頼をすればよいのでしょうか。
みんしゅうのサイト内で右上に表示されている「お問い合わせ」や「ご意見・ご要望」をクリックすれば、「掲示板書き込み削除のご依頼は」と示すURLが記載されたページに飛ぶことができます。まずはこのフォームに従って、誹謗中傷の書き込みの削除申請をしてみましょう。
「削除依頼について」と記載されているとおり、フォームは社団法人テレコムサービス協会が発表するガイドラインに沿っています。本来は書面による記名押印が必要となるものですが、迅速に対応するためにメールフォームでの受付を行っていることが明記されています。
所属や名前等の連絡先に関する情報と、削除を依頼したい書き込みについて、掲示板の名前や書き込み者のニックネーム、そして削除の理由等の記入が求められます。削除してもらいたい投稿がある場合は、フォームの内容をすべて記載する必要があるでしょう。
フォームからの削除依頼は手軽にできる上、削除依頼に関して費用がかかりません。運営側の対応次第では、早ければ数日で対応してくれることもあります。
他方、みんしゅうでは、「掲示板書き込みガイドライン」において「企業側にとってはネガティブな情報ともとれる実体験談は掲載していきたいと考えています。」と明記しています。したがって、運営側が削除すべき書き込みであると判断しなかった場合は、削除されずそのまま残ることになるでしょう。
前述の通り、みんしゅうの運営側で内部の基準に従って書き込みを削除しないと判断したものは、削除申請を受け入れてくれません。
そのような場合は、裁判所に仮処分を申し立てることになるのが一般的です。
通常の訴訟で判決が出るまでには、非常に長い時間がかかります。この場合、争いのある権利関係(今回においては悪質な書き込み)は結論が出るまで放置されることになります。書き込みがそのままの状態であれば、その間も当該書き込みを閲覧され続け、その情報がより拡散されてしまいます。
このような状況を避けるため、一定の要件の下、通常の裁判よりも早く裁判所の判断を出してもらうことができる手続きが仮処分です。
「仮」とあるとおり、仮処分は簡易な手続きであって確定的な判断ではありません。原則として、仮処分について裁判所の判断が出され、一応の目的が達成できた後でも、通常の裁判手続きを経て改めて裁判所の判断(判決)を出してもらう必要があります。もっとも、現実には、仮処分手続の中で、裁判所が削除を認める旨の決定を発すれば、多くの場合において、相手方は裁判所の判断を尊重して削除に応じるため、その後の手続きは不要になります。
また、削除だけでなく、悪質な書き込みを行った人物に対して損害賠償請求を行うことも考えられます。
この場合には、みんしゅうを管理する楽天株式会社やみんしゅうのサイトにアクセスするまでに経由したプロバイダに対して、発信者情報開示請求(仮処分や訴訟)を行い、誹謗中傷するような書き込みを行った人物の住所や氏名などの情報の開示を求めます。その上で、これによって書き込みを行った者が特定できたら、損害賠償請求を行う旨を通知したり、訴訟を提起したりするなどして、生じた損害の賠償を求めましょう。
「みんしゅう」への誹謗中傷や風評被害の書き込みがあったとき、弁護士に削除対応を依頼するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
まずは弁護士名義で削除依頼をすることができます。弁護士が関与していると知らせることで、削除依頼が法的に適切な要望であることを運営会社に伝えることができるでしょう。
企業の担当者など個人が慌てて削除依頼したときよりも、サイト運営側の対応がスムーズになったというケースが多々あります。一度は担当者が申請しても満足な対応が得られなかったというときは、インターネット上の誹謗中傷などに対応した経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
また、いざ仮処分申立や訴訟となったときには、法律の知識がない状態で立ち向かうのは難しいものです。特に、本来の業務をこなしながら裁判所に通うことは非常に負担が大きいことは間違いありません。
そこで、弁護士に対応を一任することをおすすめします。みんしゅうへの誹謗中傷書き込みを削除するとともに、炎上を回避するための知見が豊富な弁護士であれば、あなたの代わりにスピード感ある対応を行います。本業に影響を及ぼさずに必要な手続きを迅速に進めることができるでしょう。
さらには、繰り返し行われる誹謗中傷の書き込みに悩まされているときは、損害賠償請求を視野に入れた対応も可能です。
これまで述べたように、書き込みの削除やその後の損害賠償請求を行うことは、自動的に行われるものではなく、何度も、事情の説明や手続きを行うことが求められます。
ウェブフォームの削除依頼においても、削除すべき理由等を適切に記載することが要求されますし、削除や情報開示を裁判所に求めるためにも、その内容が正当であることを、適切に説明(主張)する必要があります。
これらの説明等を適切に行い、削除や損害賠償請求等の目的を実現するためには、やはり経験豊富な弁護士に依頼するのが一番だといえるでしょう。
「みんしゅう」に事実無根の書き込みや、誹謗中傷の書き込みをされてしまうと、少なからず悪影響を受けることになりえます。もちろん、「みんしゅう」以外にも、就活支援サイトや口コミサイトが日々生まれている今、書き込み内容を気にしなければならないのはみんしゅうだけに限りません。
ネット上における、誹謗中傷や風評被害を書き込まれる案件は、今後も増えてくるでしょう。企業イメージを落とすような投稿にお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所で相談してください。
書き込み削除対応や、仮処分申立など、企業価値を守るための対策を数多く経験してきた弁護士が迅速に対応します。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。
※記事は公開日時点(2021年09月21日)の法律をもとに執筆しています