削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
5ちゃんねるのような著名なインターネット掲示板に個人情報を晒されると、被害が大きくなりやすいと言えます。ここでは、利用者が5ちゃんねるに個人情報を書き込まれたときにどんなことが起こりうるのかについて考えていきましょう。
5ちゃんねるに個人情報を書き込まれると、その情報がほかのサイトに転載され、拡散されてしまうおそれがあります。特に5ちゃんねるの場合、ログ速やみみずん検索などの、いわゆる「コピーサイト」「ミラーサイト」と呼ばれるサイトがあるので、それらのサイトでも拡散される可能性があります。
書き込まれた個人情報に基づいたデマが流される可能性もあります。過去には、あおり運転の犯人の車に同乗していた女に似ていたために、無関係の女性がインターネット上で個人情報を晒され、デマを流された事件がありました。このように、容貌が似ている、名字が同じという理由だけでデマが流されることが実際に起こっているのです。
5ちゃんねるに掲載された個人情報をもとに、いたずら目的で電話や迷惑メール、郵便物が大量に送られてくることもありえるでしょう。ある事件の犯人の個人情報が晒された場合、本人の家や実家だけでなく、職場にクレームの電話や手紙が大量に届いたりするケースも起こりえます。
5ちゃんねるに個人情報が晒されていると、就職や転職、結婚などの重要なライフイベントにも影響することがあります。個人情報を使ったデマが流されていると、それを見た企業の人事担当者から選考で落とされたり、内定を取り消されたりするケースがありえます。また、婚約をしてもネット上でデマを見た相手の両親に結婚を反対されたり、婚約者から婚約を破棄されたりすることもありえるでしょう。
5ちゃんねるやSNSでは、偏った正義感のもとで個人情報を晒すケースが散見されます。しかし、個人情報を他人が勝手に晒すことは法律違反になりえます。どのような違法行為にあたるのでしょうか。
個人情報を晒すことはプライバシー権の侵害になることがあります。プライバシー権とは、私生活をみだりに公開されない権利のことです。プライバシー侵害と判断されうるのは、個人情報のほかに学校や勤務先に関する情報、病歴、結婚・離婚などの身分行為に関する情報などがあります。
「プライバシー侵害罪」のような刑法上の犯罪は存在しません。その代わり、プライバシー侵害は民法第709条の不法行為にあたるとして慰謝料や損害賠償が請求できる可能性があります。
悪意ある書き込みやデマとともに個人情報が晒された場合は、名誉毀損(きそん)にあたる可能性も考えられます。名誉毀損とは、公の場で具体的事実を摘示しながら他人の評価を貶めることを言います。
名誉毀損は刑法上の名誉毀損罪と同時に、民法上の不法行為も成立しえるため、刑事・民事の両面で相手方の責任を追及できる場合があります。
ただし、個人情報を晒しても違法にならないケースがあります。それは、当該表現行為について、正当な理由(違法性を阻却する事由)があるときです。
たとえば、晒された情報が「事実の公共性」「目的の公益性」「内容の真実性」のすべてにあてはまる場合、名誉毀損行為も違法と評価されません。事実の公共性とは公共の利害にかかわる情報のこと、目的の公益性とは投稿の目的が公益性をはかるためであること、内容の真実性とは投稿内容が真実であることを指します。たとえば「政治家Xが不倫スキャンダルを起こした」のような投稿は、事実であれば有権者の投票行動の参考になります。したがって、公共性・公益性があるとみなされることから、その内容が真実であれば、違法ではないと判断される可能性が高いでしょう。
5ちゃんねるに自分の個人情報が投稿されていないかどうかを確かめるには、「エゴサーチ(エゴサ)」を行います。エゴサーチとは、自分の名前をインターネット上で検索して自分に対する評価や評判などを調べる行為のことです。エゴサーチには、大きく分けて3つの方法があります。
5ちゃんねるでエゴサーチするには、5ちゃんねるのスレタイ検索を使う方法があります。「5ちゃんねるスレタイ検索」というウェブページがあり、そのページ上でキーワードが入れられるようになっています。そこに、自分の名前や(お店などを経営している方は)店舗名、ハンドルネーム、SNSのアカウント名などを入力して検索すると、自分の名前などが入ったスレッドを見つけることが可能です。
また、5ちゃんねるの過去ログを検索する方法もあります。過去ログとは、レスが1000件を超えてそれ以上書き込みができなくなったスレッドのことです。
5ちゃんねるには「過去ログ倉庫」や「ログ速@2ちゃんねる過去ログ検索」など過去ログを探せるサイトがあります。それらのサイトの検索窓にキーワードを入れることで、タイトル検索や全文検索ができるようになっています。
GoogleやYahoo!など一般的な検索エンジンを使って探す方法もあります。たとえば、検索エンジンの検索窓に自分の名前を入れ、後ろにスペースをあけて「site:5ch.net」と入力します。そうすれば、5ちゃんねる内に書かれている自分の名前を検索して、検索結果を表示してくれるのです。
自分の名前やハンドルネームだけでは検索に引っかからないときは、自分の名前とともに会社名や学校名などを追加するとエゴサーチの効率が上がります。
自分の名前などが書かれた記事やスレッドを見つけても、スレッドに対するレスの量が膨大であれば、自分のことがどのレスでどのように書かれているのか探すのが至難のわざです。
そこで、すべてのレスを表示させ、その状態で「Ctrl」と「F」キーを同時に押下すると、URLの下に小さな検索窓が出てきます。そこに自分の名前など検索したいキーワードを入れると、そのキーワードを含むところのみが色付きで表示されるので、効率よくエゴサーチすることができるのです。
5ちゃんねるでエゴサーチをした結果、自分の個人情報が晒されていると判明すれば、削除を依頼する必要があります。5ちゃんねるに対する削除依頼方法は3つあります。
5ちゃんねるでは、メールで投稿の削除が依頼できます。件名を「削除申し立て」とし、本文のところに削除してほしいスレッドのURLとレス番号、削除してほしい理由を明記します。削除してほしい理由は、法的根拠に基づいて論理的に書くことが必要です。必要事項を入力後、削除を希望する理由の根拠となる資料と身分証明書の写しを添付した上で、meiyokison@5ch.netまでメールを送付します。
5ちゃんねるには、「削除要請板」と「削除整理板」にそれぞれ削除依頼フォームも用意されています。個人情報が晒されている投稿を削除してほしい場合は、削除要請板の削除依頼フォームを使いましょう。ページの下部にフォームがあるので、個人であれば、削除区分の個人・一群、個人・二類、個人・三種のいずれかあてはまるものを選び、削除依頼の理由を記入して送信します。
上記2つの方法で削除に応じてもらえないときは、裁判所に仮処分を申し立てます。5ちゃんねるは、仮処分の決定を受けた削除依頼は受け付けるとの姿勢を示しているためです。メールでの削除依頼や、削除依頼フォームでの依頼は個人でもできますが、裁判所への仮処分申請は裁判所を介する手続きになるため、弁護士に依頼したほうがスムーズに行えるでしょう。
書き込みによって何らかの損失を受けている場合は、「発信者情報開示請求」と呼ばれる手続きで投稿者を特定した後に損害賠償や慰謝料を請求することができます。どのような流れで特定を行い、損害賠償請求を行うのでしょうか。
発信者情報開示請求とは、掲示板やSNSなどで誹謗中傷にあたる投稿をした人物に関する情報を開示するように、コンテンツプロバイダやインターネットサービスプロバイダに請求することです。開示請求できる情報は、発信者の氏名・名称や住所、メールアドレス、IPアドレス、タイムスタンプなど総務省令で定められています。
発信者情報開示請求は以下のような流れで行います。
①IPアドレス等の開示請求の仮処分の申し立て
5ちゃんねるは任意のIPアドレス等の開示請求には原則として応じないため、裁判所にIPアドレス開示請求の仮処分を申し立てます。
②プロバイダを特定する
IPアドレス等が開示されたら、開示された情報からプロバイダを特定します。
③アクセスログ保存要請をする
プロバイダにIPアドレスなどのアクセスログが削除されないよう、保存要請をします。任意で保存に応じてもらえない場合は発信者情報消去禁止の仮処分を申し立てます。
④発信者情報開示請求訴訟を行う
訴訟で発信者情報開示請求をします。訴訟の間にプロバイダから投稿者に対して情報を開示するかどうかの意見照会がなされます。
⑤投稿者の情報が開示される
裁判が結審して勝訴判決が出たら、ほとんどの場合プロバイダは素直に発信者情報の開示に応じてくれますので、情報を入手します。
特定後に損害賠償請求訴訟をするときは、以下のような流れで進みます。
①裁判外で交渉を行う
損害賠償請求をしたい旨の文書を内容証明郵便で相手方に送付する等して、任意交渉を試みます。
②損害賠償請求訴訟を申し立てる
相手方が支払いに応じない場合は、損害賠償請求訴訟を起こします。
③判決または和解
勝訴判決を得られれば相手方に損害賠償金の支払いが命じられますが、途中で和解することもあります。
発信者情報開示請求は、先述のとおり原則として訴訟で行わなければなりません。5ちゃんねるの場合は、IPアドレス開示請求の段階から原則として裁判所の仮処分を行わなければならないため、最初から弁護士に依頼したほうがよいと考えられます。
また、損害賠償請求も弁護士を通して行うことで、任意交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。すべての対応を個人で対応しようとすると、トラブルがより大きくなる懸念があります。一人で抱え込まず、弁護士に依頼するほうが得策であると言えます。
5ちゃんねるで自分の個人情報が晒されているのを見つけたら、エゴサーチして他のスレッドなどに転載されていないか、入念な確認が必要です。個人情報がさまざまな場所に晒され、誹謗中傷の的になっている場合には、削除だけでなく投稿者を特定して損害賠償請求も検討したほうがよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所には5ちゃんねるへ行われた書き込みの削除や投稿者特定に対応した経験を持つ弁護士が在籍しております。お困りの際はお気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。
※記事は公開日時点(2021年08月30日)の法律をもとに執筆しています