弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 発信者情報開示請求
    個人
    2021年08月17日更新
    5ちゃんねるの投稿者を特定するには? IPアドレス等開示請求を弁護士が解説

    5ちゃんねるの投稿者を特定するには? IPアドレス等開示請求を弁護士が解説

    5ちゃんねる(旧:2ちゃんねる)の誹謗中傷・名誉毀損的な書き込みにより、会社の評判に悪影響が出た場合、投稿者に対して損害賠償を請求することを検討したいところです。

    5ちゃんねるは匿名掲示板ですが、投稿者のIPアドレス、接続日時等を特定することができれば、投稿者の特定につながります。

    この記事では、5ちゃんねるの投稿者を特定する方法としてのIPアドレス等の開示請求と、IPアドレス等の特定後の流れについて解説します。
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1、投稿者を知りたいときはIPアドレス等の特定が必要

5ちゃんねるは匿名掲示板のため、書き込みの内容自体から投稿者の情報を知ることはできません。

そのため、5ちゃんねるの投稿者を特定するには、投稿に用いられた端末のIPアドレス等を特定する必要があります

  1. (1)IPアドレス等により投稿に使用された端末を特定可能

    IPアドレス等は、PCやスマートフォンなど、インターネットに接続するそれぞれの端末を識別するために用いられるものです。端末一台につき、ひとつのIPアドレスが割り当てられるため、インターネット上の住所に例えられることもしばしばあります。

    投稿に用いられた端末のIPアドレス等を特定することができれば、問題となっている投稿がどの端末から行われたかということを知ることができます。

    個人が所有するPCやスマートフォンからの書き込みであれば、端末の所有者が投稿者である可能性が非常に高いといえるでしょう。そのため、IPアドレス等は投稿者の特定につながる非常に有力な情報となります

2、5ちゃんねるの管理者にIPアドレス等を開示してもらう方法

5ちゃんねるの管理者に対してIPアドレス等の開示を求める方法について、具体的に見ていきましょう。

  1. (1)発信者情報開示請求を行う

    インターネット上の投稿などによって被害を受けた場合、プロバイダ責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)4条1項に基づき、投稿者に関する一定の情報開示を請求することができます

    これを「発信者情報開示請求」といいます。

    発信者情報開示請求をするには、以下の要件をいずれも満たすことが必要です。

    • ① 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき
    • ② 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき
  2. (2)5ちゃんねるに対する開示請求には、裁判上の仮処分決定が必要

    発信者情報開示請求は、本来であれば裁判外での請求によっても行うことができます。
    これは「任意開示」と呼ばれています。

    しかし5ちゃんねる側は、IPアドレス等の接続情報について、警察や裁判所からの要請がある場合以外には、任意開示には応じないという方針を明らかにしています。

    そのため、5ちゃんねるに対して発信者情報開示請求を行うためには、裁判所に対して仮処分の申立てを行わなくてはなりません

    発信者情報開示の仮処分申立ての詳しい流れについては、「法的手段による削除対応(2)発信者情報開示請求【投稿者を特定する】」をご覧ください。

  3. (3)IPアドレス等には保存期間があることに注意

    なお、5ちゃんねる側には、投稿と紐づくIPアドレス等を保存しておく法的な義務はありません。実際には、投稿から一定期間はIPアドレス等の情報が保存されていますが、ある程度長期間が経過すると削除されてしまうことが多いようです。

    そのため、IPアドレス等の開示を請求する際には、迅速な対応が必要になります

3、IPアドレス等を特定した後の流れ

投稿者のIPアドレス等を特定することができた後の流れについて解説します。

  1. (1)経由プロバイダに対して投稿者の個人情報の開示を請求する

    IPアドレス等を特定したら、次はそのIPアドレス等から投稿者の個人情報を割り出す必要があります。

    IPアドレス等は、インターネット接続業者が回線契約に基づいて利用者に割り当てているものです。このインターネット接続業者を「経由プロバイダ」といいます。

    経由プロバイダの業者には、たとえば、OCNやYahoo!BB、So-net等のプロバイダや、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクモバイルなどの所謂携帯のキャリア会社が該当します。

    経由プロバイダに対しても、5ちゃんねるなどのコンテンツプロバイダ同様、発信者情報開示請求により、投稿者の氏名や住所の開示を請求しなくてはなりません。

    任意開示に応じてくれるかどうかは経由プロバイダによって異なりますが、多くの場合は発信者情報開示請求訴訟による必要があるでしょう。

    また、発信者情報開示請求訴訟の結果が出るまでには、通常数か月から半年以上かかります。そして、多くの経由プロバイダで、IPアドレス等のアクセスログの保存期間は3か月から6か月程度しか保存していないため、発信者情報開示請求訴訟の結果を待っていては、経由プロバイダの保有するアクセスログが削除されてしまい、発信者の特定が不可能になるおそれがあります。
    そこで、発信者情報開示請求訴訟に先立って、経由プロバイダに対して、任意でログの保存を求めたり、裁判所に発信者情報消去禁止仮処分を申し立てたりすることで、アクセスログの保存を図ることが有効です

  2. (2)損害賠償請求訴訟を提起する

    任意開示、または発信者情報開示請求訴訟の結果、投稿者の氏名や住所などの個人情報を特定することができたら、実際に損害賠償を請求するための訴訟を裁判所に提起しましょう。

    5ちゃんねるへの誹謗中傷・名誉毀損の書き込みの場合には、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償を請求することになります。

    訴訟では、以下のことなどを証拠により立証することが必要です。

    • 問題の投稿が被告によって行われたこと
    • 投稿が会社の名誉を毀損する違法なものであること
    • 投稿によって会社に損害が発生したこと


    どのような証拠が必要になるかは事案によって異なりますので、弁護士と相談しながら準備を進めましょう。

  3. (3)判決または和解により損害賠償金を支払ってもらう

    訴訟において原告である会社の言い分が認められると、被告である投稿者に対して損害賠償金の支払いが命ずる判決が言い渡されます。この判決が確定すると、会社は投稿者から損害賠償金の支払いを受けることが可能です。

    また、訴訟の途中の段階で、原告・被告間で和解が成立した場合、和解の内容に従って、和解金(損害賠償金)の支払いを受けられます。

4、IPアドレス等の開示請求は弁護士へ相談

5ちゃんねるの投稿によって会社が損害を受けたときに、IPアドレス等の開示請求などを検討する際には、ぜひ弁護士にご相談ください。

  1. (1)ノウハウをいかしてスピーディに投稿者を特定できる

    プロバイダ側では、投稿から一定期間が経過するとIPアドレス等、発信者の特定のために必要な情報を削除してしまいます。
    このIPアドレス等の情報が削除されてしまうと、開示請求は事実上不可能になってしまいます。
    したがって、削除がされる前にIPアドレス等の開示請求などを行う必要があり、迅速な対応が必要です

    ベリーベスト法律事務所の弁護士は、インターネット上の誹謗中傷的な投稿に関して、IPアドレス等の開示請求を含めた各手続きについての豊富なノウハウを有しています。ご依頼から短期間で迅速にIPアドレス等の開示請求を行うことが可能です。

  2. (2)損害賠償請求訴訟までトータルでのサポートを受けられる

    投稿者に対して損害賠償を請求するためには、最終的には損害賠償請求訴訟を提起しなくてはなりません。

    早い段階でベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談をいただければ、損害賠償請求訴訟に至るまでのすべての手続きについて、トータルでのサポートをご提供いたします。

    すべての手続きをワンストップでベリーベスト法律事務所にお任せいただくことにより、時間的・精神的負担は大きく軽減されることと存じます。

5、まとめ

近年、インターネット上の情報は爆発的な拡散力をもつようになりました。もし事実無根の投稿による被害に遭ってしまった場合には、投稿者に対して厳正かつ早急に対処することが必要です

特に、投稿者の特定に必要なIPアドレス等の特定については、保存期限との関係で迅速に行う必要があります。5ちゃんねるなど、インターネット上での誹謗中傷にお困りの際には、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

※記事は公開日時点(2021年08月17日)の法律をもとに執筆しています

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