削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
ニコニコ動画は、国内ではYouTubeに次ぐ人気を誇る動画共有サイトです。まずは「ニコニコ動画とはどのようなサイトなのか」について確認しておきましょう。
ニコニコ動画を運営しているのは、インターネット総合エンタテインメント企業の株式会社ドワンゴです。
ニコニコ動画の運営をはじめ、イベントの企画運営、ゲーム・音楽配信サービス、VR、教育サービスなど、幅広い事業を展開しています。
ニコニコ動画は、2006年にサービスを開始しました。動画閲覧は無料ですが、コメントの投稿などには会員登録が必要です。
ただし、多くのユーザーが動画閲覧だけを目的とするのではなく、コメントの投稿によってほかのユーザーと交流する目的を持っているため、会員登録数は2020年6月時点で8,017万人にのぼります。
総務省が公開している「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、ニコニコ動画の利用率は全年代平均で14.5%でした。YouTubeの平均利用率が85.2%なので、動画共有サービスとしては歴然とした差がありますが、注目すべきは年代別の利用率です。
ニコニコ動画の年代別利用率をみると、10代で26.8%、20代で28.2%となっており、若年層の約3割はニコニコ動画のユーザーであることがわかります。
このような傾向があらわれる原因としては、そもそもニコニコ動画に投稿される動画の傾向がサブカルチャー的な要素をメインとしていたからだと考えられます。また、若年層には人気の高い「ゲーム実況」のジャンルが充実していることも要因でしょう。
ニコニコ動画に特定の個人を誹謗中傷する内容の動画が投稿されていたり、既存の映像作品や楽曲が無断でアップロードされていることなどが発覚すれば、管理者に対して削除を依頼することになるでしょう。
投稿された動画が削除される条件や削除を依頼する方法を解説します。
ニコニコ動画に投稿された動画の削除が認められるのは、利用規約にあたる「niconico規約」に違反している動画、名誉権・プライバシー権・肖像権などの人格権を侵害している動画、法律で差止請求権が認められている著作権などを侵害している動画などに限られます。
これは「誰もが自由に表現活動ができるプラットフォーム」を目指しているという特性から、運営側による規制を最小限にとどめるためです。ただし、憲法で保障されている表現の自由も、その行使が無制限に認められる権利ではありません。
「ニコニコ活動ガイドライン」には、第3項で「コンテンツによる表現の自由は無制限ではありません」、第4項では「他者の表現を妨害することは認めません」と規定されています。
ニコニコ活動ガイドラインの第3項・第4項に違反する行為は、niconico規約の違反となり、削除の対象です。
またniconico規約に定められていない行為であっても、その動画によって人格権などが侵害されていると認められる場合には、削除を求めることができます。
削除が認められる動画とはどのようなものなのかを考えるにあたって参考となるのが、ニコニコ活動ガイドライン第3項に定められている「ニコニコの自主判断で削除する場合のあるコンテンツ」です。
また、著作権などをもつ権利者の申請によって削除された動画の情報をもとに「動画を削除した権利者一覧」が整備されており、このリストによって各権利者のスタンスがわかります。
たとえば、ある権利者は一切の利用を禁じている一方で、ほかの権利者のなかにはある程度の二次利用を許容している場合があります。ニコニコ動画がもつサブカルチャー的な性格を考慮して、宣伝効果などを狙った権利者も少なからず存在していることを意味しているといえるでしょう。
動画の削除は、動画視聴ページの「動画通報」をクリック・タップして、通報フォームから依頼します。
通報フォームには、次の項目を入力します。
フォームに必要な項目を入力して送信すると、管理者側が内容を確認したうえで削除の要否を検討します。
このように、通報フォームからの削除請求の場合、動画を削除するかどうかは管理者側の判断に委ねることになります。
公開されている動画が、niconico規約のどの部分に違反されているのかや、どのような権利を侵害されているのかを、可能な限り具体的かつ分かりやすく記載する必要があります。
ニコニコ動画がYouTubeをはじめとしたほかの動画共有サービスと一線を画するのが「コメント機能」です。
ユーザー同士の交流や、閲覧者が動画に参加している感覚を味わうことができるのが最大の魅力で、コメント機能なしにニコニコ動画は成り立たないといってもよいでしょう。
ただし、コメント機能を利用した誹謗中傷や荒らし行為も存在するため、削除の方法を知っておく必要があります。
ニコニコ動画の再生画面には、ユーザーが自由にコメントを投稿でき、投稿されたコメントは字幕となって画面の右から左へ3~4秒程度でスクロールします。
YouTubeなどが動画全体に対するコメントを送信できるだけの機能しかないところ、ニコニコ動画では動画のある部分を特定してコメントを流すことができるので、実況感覚でコメント投稿が楽しめます。
コメントが集中して画面を埋め尽くす「弾幕」と呼ばれる状態も、ある意味ではニコニコ動画の醍醐味でもあるでしょう。
コメントは、投稿者と閲覧者をつなぐコミュニケーションツールである一方で、誹謗中傷にあたるコメントや個人情報を含むプライバシーを侵害するコメント、動画本編を邪魔する目的で故意に弾幕を張る行為などが問題となります。
自分が投稿した動画のコメントを削除したい場合は、動画の視聴ページから投稿者用メニューの「NG・通報」または「コメント/タグ通報(動画投稿者専用)」をクリックします。
なお、視聴動画のコメントの削除依頼も同様に「コメント/タグ通報」からアクセスします。
以前はニコニコ動画公式の「コメント削除依頼板」から削除依頼が可能でしたが、現在はフォームからの通報のみになっているので注意が必要です。
コメントの削除についても、動画の削除と同様に、niconico規約に違反しているかや人格権などを侵害しているかによって削除の要否が判断されます。
公開されているコメントが、niconico規約のどの部分に違反されているのかや、どのような権利を侵害されているのかを、可能な限り具体的かつ分かりやすく記載する必要があります。
ニコニコ動画に名誉権や著作権などを侵害する動画が投稿されていたり、誹謗中傷やプライバシー権などを侵害するコメントが投稿されていると気づいたら、弁護士への相談をお勧めします。
動画やコメントの削除は、原則として投稿者が依頼するものですが、削除の基準や方法がわからない、対象となる動画の本数が多くて自分では対処できないといったケースもあるでしょう。
弁護士に相談すれば、あなたの代理人としてニコニコ動画に対して削除依頼が可能です。
弁護士が代理人として説明を尽くすことで削除される可能性が高まるでしょう。
削除依頼を受けてもニコニコ動画の管理者が「削除には対応しない」という姿勢をみせたら、法的な手段を用いて解決するしかありません。
削除依頼に応じてもらえなかった場合でも、裁判所での仮処分手続きによって削除命令が得られる可能性があります。個人で仮処分手続きをとるのは非常に煩雑で専門的な知識が必要なため、法律問題の専門家である弁護士に一任することをお勧めします。
動画が投稿されたことで実際に損害が発生している場合は、投稿者を特定したうえで損害賠償請求の訴えを起こすことも視野に入れておく必要があるでしょう。
投稿者は、裁判所での発信者情報開示請求という手続きを用いることで特定できる可能性があります。
ニコニコ動画に保存されているIPアドレスなどの開示を受けて投稿者が利用した通信事業者を特定し、通信事業者に対して契約者情報の開示を受けるという二段階の手続きを経て、投稿者を特定します。投稿者の住所・氏名などが判明すれば、弁護士が代理人となって損害賠償を請求します。
これらの手続きを個人で対応するのは難しいので、弁護士に一任するのがお勧めです。
ニコニコ動画は、大手の映像制作会社やアーティストなどが配信する動画よりも、個人のユーザーによる作品や技術の発信が好まれる動画共有サービスです。
映像作品や楽曲の二次利用が広く許される傾向はあるものの、自らが制作した著作物が無断で公開されていたり、特定の個人を誹謗中傷する内容の動画やコメントが公開されている場合は、削除請求・発信者情報開示請求・損害賠償請求といった措置を講じる必要があるでしょう。
ニコニコ動画に投稿された動画やコメントを削除したいとお悩みなら、ベリーベスト法律事務所にお任せください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。
※記事は公開日時点(2021年10月11日)の法律をもとに執筆しています