弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
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    個人
    2024年12月16日更新
    デジタルタトゥーのリスクとは? 消すなら弁護士へ相談を!

    デジタルタトゥーのリスクとは? 消すなら弁護士へ相談を!

    インターネット上での投稿や書き込みは、一度拡散されてしまうと簡単には消すことができません。これは一種の入れ墨のようなものであることから「デジタルタトゥー」と呼ばれています。

    デジタルタトゥーとして過去の投稿や書き込みが残ってしまうと、さまざまな不利益が生じてしまいますので、デジタルタトゥーの削除など適切な対応をとる必要があります。

    今回は、デジタルタトゥーのリスクと消す方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、デジタルタトゥーのリスクとは

デジタルタトゥーとはどのようなものなのでしょうか。また、デジタルタトゥーが残ってしまうとどのような影響が生じるのでしょうか。

  1. (1)デジタルタトゥーとは

    デジタルタトゥーとはネット上の投稿や書き込みが半永久的に残ってしまう状態を指す言葉です。一度入れると消すことが困難な入れ墨(タトゥー)に例えて、「デジタルタトゥー」と呼ばれています。

    デジタルタトゥーにあたるものとしては、以下のものが挙げられます。

    • 個人情報(住所・氏名、顔写真など)
    • 誹謗中傷の投稿
    • いたずらや悪ふざけの投稿(SNS上に投稿した画像や動画が炎上するケース)
    • リベンジポルノ
    • 逮捕歴や犯罪歴
  2. (2)デジタルタトゥーの影響

    デジタルタトゥーが残ってしまうと、以下のような悪影響が生じてしまいます。

    ① 就職活動への影響
    昨今、就職活動をする際には、企業でも応募者のSNSなどをチェックする傾向にあります。インターネットで応募者の情報をチェックした際に、デジタルタトゥーが見つかってしまうと、一緒に仕事をするにはふさわしくない人間だと判断され、採用を見送られてしまうこともあるでしょう。

    ② 事業活動への影響
    自ら事業展開をしている場合でも、デジタルタトゥーにより不利益を被る可能性があります。たとえば、商談がまとまりかけていたところ、取引先が過去のインターネット上の記事を見つけてしまったため、商談がダメになってしまうケースや商品の宣伝をしようとSNSで発信しても、デジタルタトゥーの影響により誹謗中傷のコメントばかり付くというケースがあります。

    ③ 交際や結婚への影響
    リベンジポルノや逮捕歴・前科に関するデジタルタトゥーは、将来の異性との交際や結婚の際に悪影響が生じてしまいます。
    当事者同士は納得していても、結婚ということになれば相手の家族から猛烈な反対にあう可能性もあります。デジタルタトゥーの存在は、決してポジティブな要素としては捉えられませんので注意が必要です。

2、デジタルタトゥーは消すことができる! その消し方とは

デジタルタトゥーが残ってしまった場合、その後の生活や人生に与える影響は少ないものではありません。しかし、デジタルタトゥーは、消すことができます。以下では、デジタルタトゥーの消し方について説明します。

  1. (1)第三者のブログ記事を消す方法

    第三者のブログで誹謗中傷されたり、個人情報が掲載されたりしまった場合には、第三者のブログ記事の削除を求めていくことになります。ブログ記事の削除方法は、対象となるブログサービスごとに異なってきますが、一般的には、以下のような方法で削除を求めることができます。

    • ブログ管理人に対してブログ記事の削除依頼をする
    • ブログサービスの運営会社に対して送信防止措置依頼をする
    • 裁判所に削除の仮処分の申立て又は訴訟提起を行う
  2. (2)誹謗中傷のコメントを消す方法

    ご自身のブログ記事のコメントで誹謗中傷された場合には、以下のような対応が考えられます。

    • 管理人権限により誹謗中傷コメントを削除する
    • ブログ記事のコメントを承認制にする
    • ブログ記事にコメントができないように設定する


    ご自身のブログであれば、管理人権限でコメントを削除することができますので、悪質なコメントを見つけたときは早めに削除するようにしましょう。また、誹謗中傷を受けた場合には、誹謗中傷をした人を訴えることもできます。これについては、3章で詳しく説明します。

  3. (3)サジェストを消す方法

    Googleなど検索エンジンで、ご自身の名前などを入力すると、検索候補の単語が自動的に表示されます。このような検索候補を表示する機能を「サジェスト」といいます。
    最近では、「オープンコンプリート」とも呼ばれます。

    サジェストは、検索エンジンの利用者が実際に入力した単語を蓄積し、多く検索された単語を関連表示してくれます。非常に便利な機能ですが、デジタルタトゥーが残っているとサジェストにネガティブな単語が表示されることもあります。

    このようなネガティブなサジェストが見つかった場合には、以下のような方法で削除することができます。

    • ネガティブな単語を含む記事の削除をする、もしくは削除依頼をする
    • 検索画面の「不適切な検索候補の報告」から申請する
    • 裁判所に削除の仮処分の申立て又は訴訟提起を行う

3、特定班を訴えることはできる?

SNSやネットで炎上した場合、個人情報を特定する、いわゆる「特定班」に個人情報を暴かれることがあります。その場合、実際の生活に及ぼす影響がより大きくなるでしょう。こういった場合、特定をした「特定班」を訴えることはできるのでしょうか。

  1. (1)特定班とは

    特定班とは、ネット上の情報を用いて、個人名や住所、家族構成などの個人情報を特定する人々のことをいいます。

    インターネット上の投稿から個人を特定する方法には、発信者情報開示などの法的手続きがありますが、特定班は、そのような手続きではなく、SNSなどで投稿された内容、写真、動画、位置情報などから個人の特定を行います。

    特定班という名称にはなっていますが、組織が存在しているわけではなく、SNSやインターネットに詳しい人が興味本位で個人の特定を行っているのが実情です。特定班のなかには、1人あたり○○円など有料で個人の特定を行っている人もいるようです。

  2. (2)特定班を刑事・民事の両面で訴えることは可能

    特定班の行為は、インターネット上で公開されている情報をもとに、個人の特定をしているだけですので、特定行為自体が直ちに違法となるわけではありません。しかし、特定班による度が過ぎた行為があった場合には、違法と評価され、刑事または民事の両面で訴えることができる可能性があります。

    ① 刑事上違法となるケース
    特定班が個人を特定するために、個人の住居に忍び込んだ場合には、住居侵入罪が成立します。また、特定した個人情報をインターネット上で拡散し、誹謗中傷をした場合には、名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪が成立することがあります。

    ② 民事上違法となるケース
    特定班が特定した個人情報や本人の顔写真などを本人の同意なくインターネット上などで公開すると、肖像権やプライバシー権侵害にあたる可能性があります。このような違法な権利侵害を受けた場合には、特定班に対して、損害賠償請求などの民事上の責任追及をすることができます。
  3. (3)誹謗中傷した人も同じく刑事・民事の両面で訴えることは可能

    特定班だけでなく、SNSやブログなどで誹謗中傷をした人に対しても、刑事・民事の両面で訴えることができます

    SNSやブログなどでの誹謗中傷は、名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪などの犯罪に該当する可能性があります。加害者に対する刑事処分を希望する場合には、刑事告訴を検討するとよいでしょう。また、誹謗中傷により精神的苦痛を受けた場合には、加害者に対して、損害賠償請求も可能です。

4、デジタルタトゥー問題に弁護士ができること

2章3章でデジタルタトゥーの消し方や、デジタルタトゥーに加担した人への対処法を説明しました。
解説した方法のうち、いくつかはご自身で行うことも可能ですが、できれば弁護士に相談したほうが、よりスムーズに精神的なストレスなく解決できる可能性が高まります。

  1. (1)お客さまの状況によって、最適な方法が提案できる

    デジタルタトゥーの問題は、お客さまの状況によってどのように解決するべきかが異なってきます。デジタルタトゥーを削除してほしいという場合には、削除請求がメインになりますし、誹謗中傷をしている相手を訴えたいという場合には、発信者情報開示請求や損害賠償請求がメインになります。

    弁護士に相談をすれば、お客さまの状況に応じた最適な解決方法を提案してもらうことができます。まずは、弁護士にご相談ください。

  2. (2)裁判所での手続き、訴訟が代行できる

    デジタルタトゥーを削除しようと、サイト管理者に連絡しても削除に応じてくれない場合には、裁判所に削除の仮処分の申立てや訴訟提起を行うが必要になります。

    また、インターネット上で誹謗中傷をした相手を特定するためには、発信者情報開示請求という手続きが必要になり、これも発信者情報開命令の申立て、仮処分の申立てや訴訟提起などが必要です。

    弁護士は、法律の専門家ですので、このような法的手続きが必要な場合でも迅速かつ適切に対応可能です。ご自身で対応すると、手続き不備により失敗するケースもありますので、弁護士に任せるのが安心でしょう。

  3. (3)相手方との交渉も任せることができる

    誹謗中傷をした相手と交渉をするのは精神的にも大きな負担となります。弁護士に依頼すれば、相手との交渉もすべて任せることができますので、そのような負担は大幅に軽減されるでしょう。

    専門家である弁護士が交渉をすることにより、裁判などを申し立てる前に解決できる可能性も高くなります。

5、まとめ

デジタルタトゥーは、何も対処しなければ半永久的にインターネット上に残ってしまいます。そのままでは、日常生活や仕事にも悪影響が生じるおそれがありますので、早めに対処することが大切です。

しかし、デジタルタトゥーを消そうと自分で動くと、余計に問題が大きくなることがあります。デジタルタトゥーの削除をお考えの方は、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

※記事は公開日時点(2024年12月16日)の法律をもとに執筆しています

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