弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 発信者情報開示請求
    法人
    2026年05月11日更新
    X(旧Twitter)に開示請求する方法と注意点【法人向け】

    X(旧Twitter)に開示請求する方法と注意点【法人向け】

    X(旧Twitter)では日々、誹謗中傷などの不適切な投稿が無数に投稿されています。Xにおける不適切な投稿の被害者となっているのは、個人だけに限りません。会社などの法人も、誹謗中傷や業務妨害といった被害を受けています。

    もし自社をターゲットとした不適切な投稿をX上で発見したら、発信者情報開示請求によって投稿者の特定を試みましょう。成功すれば、損害賠償請求や刑事告訴が検討できるようになります。

    本記事では、X上の不適切な投稿について発信者情報開示請求を行う方法や、開示が認められやすい投稿の内容、開示請求時の注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、X(旧Twitter)の投稿について開示請求をする方法・流れ

X上で自社に対する誹謗中傷や業務妨害などの投稿を見つけたら、発信者情報開示請求によって投稿者の特定を試みましょう。発信者情報開示請求の事前準備や方法など、手続き全体の流れを解説します。

  1. (1)誹謗中傷や業務妨害などに当たる投稿内容を保存する

    まずは、X上で発見した誹謗中傷や業務妨害を含む投稿の、投稿URLや本文が分かるスクリーンショットを保存し、後から特定できる状態で証拠を残しておくことが重要です

    発信者情報開示請求を行うためには、請求者の権利が侵害されていることを疎明する必要があります。投稿者によって投稿が削除されてしまうケースもあるので、すぐに投稿内容を記録化しておくべきです。

  2. (2)開示請求の実績が豊富な弁護士へ相談する

    発信者情報開示請求は、裁判所を通じた複雑な手続きによって行います。そのため、開示請求の実績が豊かな弁護士に依頼して、手続きを代行してもらうのが安心です。

    ベリーベスト法律事務所では多数の開示請求案件を取り扱っており、経験豊富な弁護士が数多く在籍しております。
    X上で誹謗中傷や業務妨害の投稿を見つけ、発信者情報開示請求をしたいと考えている方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

  3. (3)発信者情報開示請求をする

    証拠の確保などの事前準備が整ったら、発信者情報開示請求の手続きに着手します

    Xにおける誹謗中傷や業務妨害の投稿については、Xの運営会社や、投稿者が用いたインターネット回線の接続業者に対して発信者情報開示請求を行い、投稿者に関する情報の開示を求めます。

    発信者情報開示請求は、裁判所への申し立てによって行うのが一般的です。具体的には、以下の方法などが考えられます

    ① 運営会社に対する発信者情報開示請求により、投稿者の氏名や住所などの開示を受ける
    →実際には、Xの運営会社が投稿者の氏名・住所などの実名情報を直接保有しているケースは通常ありません。そのため、Xにおける開示請求では、実務上は②または③の手続きをとることが一般的です。

    ② 以下の2段階で手続きを行う(従来型の方法)
    (a)Xの運営会社に対する発信者情報開示請求により、投稿者のIPアドレスの開示を受ける
    (b)IPアドレスによって特定したインターネット回線の接続業者に対する発信者情報開示請求により、投稿者の氏名や住所などの開示を受ける
    →Xの運営会社が投稿者を特定し得る個人情報を保有していない場合でもとり得る方法ですが、手続きが2段階にわたるので長期間を要します。

    ③ 発信者情報開示命令を申し立てる(ワンストップ型の方法)
    →2022年10月1日に施行された改正プロバイダ責任制限法により創設され、2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法に引き継がれている手続です。
    Xの運営会社とインターネット回線の接続業者に対する発信者情報開示請求を一つの手続きで行うため、所要期間を短縮できます。


    どの方法によるべきか状況次第で異なるので、弁護士にアドバイスをお求めください

    裁判所が権利侵害の事実などを認めた場合は、Xの運営会社やインターネット回線の接続業者に対して発信者情報の開示を命じます。最終的には氏名や住所などが開示され、投稿者を特定できる可能性があります。

  4. (4)開示請求と並行して、削除請求を行うことが望ましい

    誹謗中傷や業務妨害の投稿は、放置されているだけでどんどん拡散し、自社の風評被害につながってしまうおそれがあります
    発信者情報開示請求だけではなく、それと並行して投稿の削除請求も行うことが望ましいです。削除請求についても、弁護士に相談すればサポートを受けられます。

2、開示請求後に可能となる法的措置

発信者情報開示請求によって投稿者を特定できたら、損害賠償請求や名指しでの刑事告訴ができるようになります。

  1. (1)損害賠償を請求する

    X上での誹謗中傷や業務妨害などによって損害を被った事業者は、投稿者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できます。

    まずは投稿者に連絡して、謝罪や解決金の支払いなどを求めてみましょう。投稿者から返信を受けたら、交渉して合意による解決を目指します。
    投稿者が損害賠償を拒否する場合は、訴訟(裁判)を提起することも考えられます。

  2. (2)名指しで刑事告訴をする

    刑事告訴とは、捜査機関に対して犯罪被害を申告して、犯人の処罰を求めることをいいます

    刑事告訴は被疑者不詳の段階でも可能ですが、被疑者を特定していれば名指しで刑事告訴をすることができ、捜査が開始される可能性が高まります。

    事業者(法人)に対する誹謗中傷や業務妨害については、以下の犯罪などが成立することがあります。警察官に相談したうえで、刑事告訴する罪名を決めてください

    • 名誉毀損罪(刑法第230条):公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させる
    • 侮辱罪(刑法第231条):事実を摘示せず、公然と人を侮辱する
    • 信用毀損罪(刑法第233条前段):虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の経済的信用を損なう
    • 偽計業務妨害罪(同条後段):虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の業務を妨害する
    • 威力業務妨害罪(刑法第234条):威力を用いて人の業務を妨害する

3、開示請求が認められやすいX(旧Twitter)の投稿内容は?

事業者(法人)に関するX上の投稿のうち、特に発信者情報開示請求が認められやすいと考えられるものを、例を挙げて紹介します。
実際に発信者情報開示請求が認められるかどうかは、具体的な投稿の内容によって異なるので、弁護士にご相談ください。

  1. (1)虚偽の口コミ・風評による信用毀損

    虚偽の情報(デマ)をばらまいて、事業者の信用をおとしめようとすることは明らかな不法行為であり、発信者情報開示請求が認められる可能性があります。

    (例)
    「あの店には暴力団が出入りしている」などとデマを投稿された。
  2. (2)営業秘密の漏えい

    製品の製造方法や顧客情報、今後の経営戦略などの営業秘密を勝手に広めることは不法行為に当たり、発信者情報開示請求が認められる可能性があります。

    (例)
    「○○社が3か月後にリリースする予定の商品」などと称して、未公開の商品画像が無断で投稿された。
  3. (3)私的な情報の無断開示・プライバシー権の侵害

    役員や従業員などの個人的な情報を無断で開示することは、法人ではなく、当該人物のプライバシー権の侵害に当たり、発信者情報開示請求が認められる可能性があります。

    (例)
    「○○社長の密会写真」などと称して、異性と一緒に写っている写真を勝手に投稿された。
  4. (4)公式アカウントを装う「なりすまし」

    会社や店舗の公式アカウントをかたって投稿する「なりすまし」は、対象となる会社や店舗の信用を毀損し、または業務を妨害する行為に当たるため、発信者情報開示請求が認められる可能性があります。

    (例)
    「○○社公式アカウント」などと称して、無関係の者が内部者を装いながら投稿をした。
  5. (5)業務妨害に当たる呼びかけ・脅迫

    根拠もないのに来店や利用の危険性などを呼びかけたり、店舗等の周辺で危害を加える旨などを脅迫したりする行為は業務妨害に当たり、発信者情報開示請求が認められる可能性があります。

    (例)
    「あの店には頻繁に暴力団が出入りしているので、カタギの人は行かない方がいい」などと呼びかける投稿をした。

4、開示請求が認められにくい投稿内容は?

X上に投稿されている内容の大半は、投稿者の個人的な意見や論評です。

表現の自由の観点から、単なる意見や論評にとどまる正当な投稿については、直ちに名誉毀損などの権利侵害(民法上の不法行為)が成立するとは限りません
また、具体的な事実を挙げた投稿であっても、その内容に公共性および公益目的があり、かつ事実が真実である(または真実と信じるにつき相当の理由がある)場合には、違法性が阻却され(法的に違法とはみなされず)、不法行為は成立しません。
発信者情報開示請求が認められるためには「権利の侵害が明らかであること」が条件となります。そのため、上記のように正当な意見・論評の範囲内であると判断される場合や、違法性が阻却されるケースでは、開示請求が認められない可能性が高い点に注意が必要です。

たとえば以下のような投稿は、原則として発信者情報開示請求が認められない可能性が高いと考えられます。

(例)
「あの店のカレーはレトルトのルーを使っている。安っぽい感じがして私はおいしいと思えない。」
※実際にレトルトのルーを使ったカレーを提供している場合

5、X(旧Twitter)の投稿について開示請求をするときの注意点

Xにおける誹謗中傷や業務妨害などの投稿について、投稿者を特定するための発信者情報開示請求を考えているときは、特に以下の2点にご注意ください。

  1. (1)可能な限り早く着手する

    一般的に、サイト管理者が特定の投稿に関するIPアドレスを保存している期間は3~6か月程度と短くなっています。保存期間が過ぎると、ログが消去されIPアドレスから投稿者をたどることができなくなってしまいます。

    また、発信者情報開示請求を行ってから、実際に投稿者を特定するまでにも4~9か月程度の期間がかかります。

    発信者情報開示請求に着手するタイミングは、早ければ早いに越したことはありません。弁護士と協力して迅速に準備を整え、可能な限り早く発信者情報開示請求を行いましょう。

  2. (2)費用が賠償金より高額になるケースもある

    発信者情報開示請求には1件当たり数十万円程度の費用がかかる一方で、成功して投稿者に損害賠償を請求しても、得られる賠償金額は数十万円から100万円程度にとどまります。

    場合によっては、費用の方が賠償金よりも高額の「赤字」となってしまうケースもあります。短期的な収支だけを考えるなら、発信者情報開示請求は決してよい選択肢ではありません。

    しかしながら、誹謗中傷や業務妨害などに対して毅然と対処し、その事実を外部に発信すれば、X上での自社に対する不適切な投稿は減る可能性があります。
    企業の規模や客層などによっては、中長期的に見てそのメリットが費用を上回るケースもあるでしょう

    発信者情報開示請求を行うかどうかは、中長期的な視点を持ちつつ、コストと放置するリスク(株価下落・ブランドイメージの毀損・売上や採用活動への影響など)を天秤にかけて判断すべきです。

    ベリーベスト法律事務所に発信者情報開示請求をご依頼いただく場合の費用は、こちらのページをご参照ください。

6、まとめ

X上での自社に対する誹謗中傷や業務妨害の投稿を放置すると、風評被害によって株価下落・ブランドイメージの毀損・売上や採用活動への影響などにつながりかねません。
中長期的に企業価値を維持するためには、発信者情報開示請求によって投稿者を特定し、損害賠償請求や刑事告訴によって厳しく対応することをご検討ください。

サイト管理者におけるログの保存期間が短いことなどを考慮すると、発信者情報開示請求にはできる限り早く着手しなければなりません。弁護士のサポートを受ければ、短期間でも適切に準備を整え、速やかに発信者情報開示請求を行うことができます。

ベリーベスト法律事務所は、発信者情報開示請求に関するご相談を随時受け付けております。X上での誹謗中傷や業務妨害にお悩みの事業者は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※記事は公開日時点(2026年05月11日)の法律をもとに執筆しています

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