開示請求・口コミ削除
誹謗中傷の削除請求から開示請求対応まで
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弁護士コラム

開示請求にかかった費用は、相手に当然請求できるわけではありません。まずは、なぜこの費用が大きな負担になりやすいのかを確認していきましょう。
誹謗中傷の被害者が開示請求の費用を相手に請求したいと考えるのは、そもそも開示請求により投稿者を特定しなければ誹謗中傷に関する慰謝料の請求が難しいためです。
相手の氏名や住所を特定するには、投稿サイトやプロバイダに対して発信者情報開示請求あるいは発信者情報開示命令(以下まとめて「開示請求」といいます。)を行う必要があります。
しかし、開示請求は専門的な手続きであり個人で進めるのは困難なため、弁護士に依頼して進めるケースが一般的です。その結果、慰謝料として見込める金額よりも弁護士費用の負担が大きくなる「費用倒れ」のリスクが生じます。
被害者からすれば、誹謗中傷を受けたうえに投稿者を特定する費用まで負担するのは納得しにくいものです。そのため、開示請求にかかった費用を相手に請求できるのかどうかが問題になります。
開示請求にかかった弁護士費用は、「調査費用」として相手に請求できる可能性があります。
調査費用とは、損害賠償請求の相手を特定するために必要となる費用を指します。誹謗中傷の投稿は匿名で行われるケースが多く、開示請求をしなければ相手を特定するのは困難です。
したがって、被害回復のために必要な費用として、相手への請求が認められる場合があります。ただし、必ずしも全額が認められるわけではなく、認められる金額は裁判所の判断によって異なります。
裁判では、開示請求にかかった費用の一部または全額が損害として認められることがあります。以下では、実際に開示請求費用の請求が認められた裁判例を2つのケースにわけて見ていきましょう。
最高裁判所昭和44年2月27日判決では、不法行為に関する弁護士費用について、事案の内容や認められた損害額などを考慮し、「相当な範囲」で損害として認める考え方を示しました。
この判決は開示請求自体を扱ったものではありませんが、開示請求費用をどこまで相手に負担させるかを考えるうえで参考になります。つまり、実際に支払った費用のすべてではなく、裁判所が相当と判断した金額に限られる可能性があります。
東京地裁令和5年12月1日判決では、開示請求にかかった費用77万円のうち33万円が損害として認められました。裁判所は、投稿者を特定するために開示請求が必要だったことを踏まえつつ、金額については相当な範囲に限定したと考えられます。
一方で、開示請求にかかった費用の全額を損害として認めた裁判例もあります。
匿名投稿では、投稿者を特定しなければ慰謝料請求を進められません。そのため、開示請求費用が被害回復のために必要な費用と評価されることがあります。
東京高裁令和3年5月26日判決では、投稿者を特定するための調査費用88万5600円全額が損害として認められました。また、東京地裁令和5年12月7日判決でも、発信者情報開示に要した費用55万円全額が損害と認められています。
これらの裁判例では、開示請求の必要性や、費用が不相当に高額ではないことが重視されたと考えられます。
開示請求にかかった費用を相手に請求できるかは、裁判所が事案ごとに判断します。
全額が認められる場合もありますが、一部に限られる場合もあります。そのため、「開示請求費用は必ず全額回収できる」とは考えないほうがよいでしょう。
請求を認めてもらうには、開示請求が必要だったことや、費用の内訳が相当であることを示す必要があります。
開示請求の段階から、損害賠償請求まで見据えて準備を進めることが大切です。
開示請求を検討する際は、費用と期間の見通しを事前に確認しておくことが大切です。以下では、開示請求にかかる費用相場と期間について解説していきます。
裁判所を利用する際は、申立手数料として収入印紙が必要です。
発信者情報開示命令・提供命令・消去禁止命令の各申し立てでは、それぞれ1申し立てにつき1000円の手数料がかかります。郵便料については、申し立て時に相手方の数に応じたレターパックライトを予納し、必要な段階で所要額を納める扱いです。
また、従来型の手続きでログの保存などを求める場合には、仮処分を利用することがあります。仮処分では裁判所から担保金の供託を求められることがあり、金額は数十万円が目安です。
弁護士費用は、主に着手金・報酬金・実費に分かれます。
着手金は依頼時に支払う費用で、報酬金は開示に成功した場合などに支払う費用です。実費には、印紙代・郵券・交通費・資料取得費などが含まれます。
開示請求を弁護士に依頼する場合、総額の相場は50万円〜70万円程度です。ただし、投稿数が多い場合や海外法人が関係する場合は、さらに費用がかかる可能性があります。
開示請求にかかる期間は、手続きの種類によって異なります。
従来型の手続きとして、サイト管理者への仮処分やアクセスプロバイダへの発信者情報開示請求訴訟を順に進める場合、半年程度の期間が目安です。
一方で、令和4年10月1日に施行された発信者情報開示命令では従来型より一体的に手続きを進めやすくなったため、期間短縮が見込めます。
ただし、相手方の対応や裁判所の審理状況、投稿からの経過期間によっては長引く可能性もあるため注意が必要です。
誹謗中傷による開示請求や慰謝料請求は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すべき理由は、以下のとおりです。
弁護士に相談すれば、開示請求や慰謝料請求を進めた場合に、費用倒れになるリスクを事前に検討できます。
誹謗中傷の内容によっては、慰謝料の見込み額よりも、開示請求や訴訟にかかる費用のほうが高くなる可能性があります。そのため、投稿内容の悪質性・証拠の有無・相手を特定できる可能性を踏まえて判断することが大切です。
相談の段階で見通しを確認できれば、感情的に手続きを進めて後悔するリスクを軽減できます。
開示請求は、法律知識がないままひとりで進めるのは難しい手続きです。
投稿内容が名誉毀損やプライバシー侵害にあたることを、法的に整理して主張する必要があります。また、サイト管理者やプロバイダごとに対応が異なるため、必要書類や申し立ての方法も確認しなければなりません。
特に、投稿から時間がたつと、通信記録が削除され、相手方が特定できなくなるおそれがあります。必要に応じて早めの弁護士相談を検討しましょう。
開示請求の費用を相手に請求するには、その費用が必要かつ相当だったことを説明しなければなりません。
弁護士に依頼すれば、開示請求の段階から、損害賠償請求を見据えて資料を整理できます。また、慰謝料だけでなく、弁護士費用などの調査費用をどの範囲で請求するかについても検討できます。
開示請求と慰謝料請求を別々に考えるのではなく、弁護士に相談しながら全体の回収可能性を見極めることが大切です。
開示請求にかかった費用は、投稿者を特定するために必要な調査費用として、相手に請求できる可能性があります。
弁護士に依頼すれば、開示請求だけでなく、投稿者への損害賠償請求や示談交渉まで一括して任せられます。
時間がたつと誹謗中傷の投稿の通信記録が消えてしまうおそれがあるため、被害に気づいた時点で早めに対応することが大切です。
開示請求や慰謝料請求で悩んだときは、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。
※記事は公開日時点(2026年07月30日)の法律をもとに執筆しています


