弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 発信者情報開示請求
    個人
    2022年12月16日更新
    雑談たぬきの削除依頼・犯人を特定する方法は? 弁護士が詳しく解説

    雑談たぬきの削除依頼・犯人を特定する方法は? 弁護士が詳しく解説

    雑談たぬきに自分の根も葉もない噂が書き込まれていた……。もしそのような投稿を見つけてしまうと大変ショックですし、一刻も早く消したいと思うものです。また実生活に被害があれば、書き込んだ犯人に罪を償ってもらいたいと考えるのも、決して不思議なことではありません。

    この記事では、雑談たぬきに書き込まれた投稿の削除依頼の仕方と、誰が書いたのかを特定する方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
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1、雑談たぬきとは

雑談たぬきとは、V(ビジュアル)系バンドのファンたちが、V系バンド以外の雑談をするために設置された掲示板です。V系バンドに関する話をするV系初代たぬき(本家)から派生したものと言えるでしょう。

2、雑談たぬきで禁止されている書き込みは?

雑談たぬきは、2ちゃんねるや5ちゃんねる、爆サイなどと同様、多数の匿名ユーザーが自由にコミュニケーションを楽しめる掲示板です。

ですが、もちろん、ユーザーは何でも書き込んでいいわけではありません。雑談たぬきで禁止されている書き込みの種類をご紹介します。

  1. (1)雑談たぬきでの禁止されている書き込みは2種類

    雑談たぬきで禁止されている書き込みは、主に2種類あります。ひとつは出会いの募集や呼びかけを目的とするものです。雑談たぬきは、その名のとおり雑談を楽しむ掲示板であり、出会い系サイトのようには利用できません。

    もうひとつは、俗に言うパンピによる書き込みです。パンピとは、一般人の略称のことをさします。簡単に言えば、バンドに興味や関係のない方が投稿することが禁止されています。

  2. (2)V系初代たぬきで禁止されている書き込み

    本家のV系初代たぬきでは、より詳細に禁止行為にあたるものをあげています。V系初代たぬきは雑談たぬきの親元とも言える掲示板なので、雑談たぬきを利用する場合は、こちらのルールも守るべきでしょう。

    V系初代たぬきでは、たとえば18歳未満の方による書き込みや売春・買春を目的とする書き込みが禁止されています。また、人が写った写真や性的な画像のアップロード、アフィリエイトや宣伝を目的とする投稿、それ以外でも他人に迷惑をかけるような書き込みもNGとなっています。

    これらの書き込みは雑談たぬきの利用規約違反となりますので、運営では、もしこうした禁止行為が意図的に行われているのを発見したり、ほかのユーザーから削除依頼があったりした場合は、削除すると明示しています

3、悪質な書き込みは法律に違反する可能性がある?

前章では、雑談たぬき(およびV系初代たぬき)が、いくつかの書き込みを禁止していることをご説明しました。

一方で、人の名誉を傷つけたり、侮辱したりするような、いわゆる悪質な書き込みの中には、民事上または刑法上違法なものもあります。ありがちな例をいくつかあげ、それぞれどんな法律に抵触する可能性があるのか解説します。

  1. (1)根も葉もない噂を流されて周りの人からの信用を失ってしまった場合

    刑法第230条では、公然と事実を摘示したことで名誉を毀損した場合、その事実があったかどうかにかかわらず、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処するとされています(名誉棄損罪)。
    また、名誉毀損行為は民事上の不法行為にもあたり、投稿者は損害賠償責任を負います(民法709条、710条)。

    したがって、誰でも自由に閲覧ができる雑談たぬきで、根も葉もない噂をあたかも事実であるかのように書き込み、本人の名誉を傷つけた場合、投稿者は名誉毀損をしたものとして民事上・刑事上の責任を問われる可能性があります。

  2. (2)侮辱するような文言があった場合

    雑談たぬきで人を侮辱するような投稿をすると、侮辱罪に問われる可能性があります。刑法第231条には「公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する」と規定されているからです(ただし、令和4年7月6日以前の法定刑は拘留または科料)。なお、このとき事実の摘示があるかどうかは関係ありません。
    また、侮辱行為(名誉感情侵害)は民事上も違法であり、不法行為として損害賠償責任を負う可能性もあります。

  3. (3)業務に悪影響が生じた場合

    雑談たぬきの投稿によって、業務に損害が生じた場合、投稿者は信用毀損罪や業務妨害罪に問われる可能性もあります。

    刑法233条では、虚偽の風説を流布したり偽計を用いたりして、信用の毀損や業務の妨害が行われた場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処するとされています。

  4. (4)私生活上の情報が書き込まれた場合

    プライバシーの侵害は、刑法による罰則は定められてはいません。ですが、不法行為(権利を違法に侵害する行為)として、民事上の責任を負う可能性はありますし、名誉毀損と共にプライバシー侵害が行われているケースもあります。

4、雑談たぬきの書き込みを削除する方法は?

もし雑談たぬきに心ない書き込みをされてしまった場合、早めに削除することが重要となります。ネット上に公開された情報は、時間とともに広まる場合が多く、それに伴って被害も大きくなりやすいからです。以下で、削除方法をご紹介します。

  1. (1)雑談たぬきの管理者に削除依頼をする

    当該の投稿が雑談たぬきで禁止されている、もしそうでなくても法律に抵触している可能性が高いものと判断できる場合は、雑談たぬきの管理者に削除依頼をすることが考えられます。V系初代たぬきのルール内にも、「明らかに違法な行為を発見した場合は、通報のご協力をおねがいします」と書かれています(削除依頼の内容が外部に公開されることはありません)。

    削除依頼する場合は、「問い合わせ窓口」のページ内に表示されているメールアドレス宛に、その旨を連絡します

    メールには悪質な書き込みがあるページのURL、スレッド名、投稿番号、削除してほしい理由が必須です。「『スレッド名』(URL)にあります『○○○』(投稿番号)という投稿が、私に対する誹謗中傷(・プライバシー侵害等)にあたり、精神的な苦痛を与えるもののため削除をお願いいたします」という形で削除依頼の文面を作るといいでしょう。

    なお、問い合わせには、メール本文内にある管理用文字の削除をしたり、タイトルの『問い合わせ』の変更をしたりしてはいけないなどのルールもあります。送信ボタンを押す前に、注意事項をよく確認するようにしてください。

    また、削除が完了した際に運営者から連絡は来ないため、少なくとも対応期間中(3日~2週間)は、削除されたかどうか定期的にチェックする必要があります。

  2. (2)弁護士に対応を依頼する

    投稿の内容が禁止事項や法律に抵触しているか判断ができない、削除依頼をしたものの一向に投稿が消えない場合は、弁護士に依頼されることをおすすめします。弁護士であれば、当該の投稿内容がどの法律に違反しているのか的確に判断することが可能です。

    また弁護士が代わりに削除依頼すれば、雑談たぬきの管理者により強く事の重大さが伝わるので、早々に投稿が削除される可能性も高まりますし、法的措置を取ることで、より確実な対処を期待できます

5、誹謗中傷を行った犯人を特定する方法は?

管理者への削除依頼、あるいは弁護士のサポートで書き込みが削除されたとしても、すぐに心の傷が癒えなかったり、信用がなかなか回復しなかったりすることもあるでしょう。このときに、書き込みをした相手に損害賠償をしたい、厳しく処罰してもらいたいと考えるのは自然なことです。

ただ、民事訴訟等を起こして相手に損害賠償を求めるにしても、誹謗中傷を行った犯人が誰なのか、先に特定しなければいけません。

そこで必要となってくるのが発信者情報開示請求です。これはプロバイダ責任制限法にもとづく請求で、ネット上で心ない発言をした匿名の発信者や、誹謗中傷記事を書いた投稿者を特定する手段として用いられます。

流れとしては、まず雑談たぬきの運営に対して開示請求を行い、投稿者のIPアドレスを入手します。次に、そのIPアドレスを元に特定した経由プロバイダに対して、同様に開示請求を行います。これによって、投稿者の住所・氏名・メールアドレス等を知ることができます。

この発信者情報開示請求をするときは、まず裁判所で仮処分の手続きを行い、次に経由プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を提起して開示請求を行うのが一般的です。ただ、裁判所にこれらの請求が認められるためには、書き込みによって本当に被害を受けていることや、そう言える理由について、具体的な根拠・資料を元に主張しなければいけません。また、書き込みが違法でないと主張できるのはなぜか、なども説明する必要があります。

6、まとめ

雑談たぬきで悪質な書き込みを見つけた場合は、はやめに削除依頼するのが大切です。そこですぐに消してもらえるのであれば、それに越したことはありませんが、ある程度の期間が過ぎても消えないようでしたら、なるべく弁護士に相談されることをおすすめします

また、書き込みをした相手方を訴えたい場合は、まず本人の特定が必要です。しかし本文で見てきたように、発信者情報開示請求が認められるには専門的な知識がないと難しいものがあります。そのため、損害賠償請求や刑事告訴をしたい場合も、やはり弁護士に依頼するのがおすすめです

ベリーベスト法律事務所の弁護士は、いずれの方法にしても、専門的な知識をもってきちんとサポートいたします。どうかひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2022年12月16日)の法律をもとに執筆しています

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