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    個人
    2020年05月25日
    ツイッターで名誉毀損されたら! 可能な法的対応について弁護士が解説
    ツイッターで名誉毀損されたら! 可能な法的対応について弁護士が解説
    リアルタイムで気軽に情報を流したり、受け取ったりするツールとして、ツイッターとはとても便利なものです。しかし、この利点は場合によってはデメリットにもなりえます。ツイッター上で、匿名の相手から名誉毀損や誹謗中傷を受けてしまえば、非常に大きな悩みになることは間違いありません。特に事業を営む方にとっては、誹謗中傷によって、業績に大きな影響を受けてしまう危険性もあります。

    そこで本コラムでは、ツイッターで名誉毀損や誹謗中傷を受けたときに取るべき法的対応について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、ツイッターで名誉を傷つけられたときに問える罪

民法上の名誉とは、「社会的名誉」または「外部的名誉」と呼ばれており、人がその人格的価値について社会から受ける社会的・客観的な評価を意味します。名誉は人が社会の中で生きるうえで人格的生存の基盤のひとつでもあるわけですから、法的に保護されるべき権利・利益と考えられているのです。それは、たとえ店舗や事業者などの法人であっても保護されるべき権利であることに変わりありません。

民法上、名誉を毀損された方は、相手に対して、不法な行為であることを理由に、損害賠償及び原状回復措置の請求が可能です(民法第710条、同法第723条)。
また、刑法上は、刑法第230条によって「名誉毀損罪」が設けられており、他人の名誉を棄損した場合、3年以下の懲役(もしくは禁錮)または50万円以下の罰金に処せられます。
具体的には、「公然と(不特定又は多数の人が知ることができる状態にすること)」「事実を摘示し」「人の名誉を毀損」する行為が名誉毀損罪に当たります。(ただし、公共の利害に関する事実について、公益を図る目的で事実を摘示し、かつ、摘示した事実が真実の場合、名誉棄損罪は成立しません)

ツイッターへの他人を誹謗中傷するような書き込みは、名誉毀損罪に該当する可能性があります。もし有罪になれば、刑法上、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処されるとともに、民事上も、損害賠償責任を負うこととなります。

さらに、具体的な事実を摘示しなくても、デマなどを用いて他人の名誉を傷つけたり侮辱したりする書き込みをした場合、名誉毀損罪のほか刑法第231条で定める「侮辱罪」、および刑法第233条で定める「信用毀損罪」に問われる可能性があります。これらの罪が成立すると、侮辱罪であれば「拘留または科料」、信用毀損罪であれば「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が刑として科されることがあります。

このように、他人の名誉を毀損した人は、民事上および刑事上の責任を問われる可能性があります。そして、刑事上問われる責任は決して軽いとはいえません。

なお、ツイッター上で名誉毀損を受けた際に、ハンドルネームなどを使用していて本名が明かされていない場合であっても、表現全体から誰を指すかが特定できる場合には、名誉毀損と判断されることがあります。

2、名誉毀損が認められた民事裁判事例

以下では、ツイッターによる名誉毀損が争われた裁判例をご紹介します。

  1. (1)ツイートが名誉毀損にあたると認められた事件

    原告であるフリーライターのA氏は、ツイッターへの書き込みによって名誉を毀損され、侮辱されたとして投稿者である被告Bに対して550万円の損害賠償を求める訴訟を提起しました。大阪地方裁判所は原告の請求を一部認容、原告についての書き込みが当人の社会的信用を低下させるものであり、名誉毀損または侮辱が認められるとし、平成28年9月、被告に77万円の支払いを命じる判決を出し、控訴審もこの判断を維持しました。(大阪地方裁判所平成28年9月27日判決・大阪高等裁判所平成29年6月19日)

  2. (2)リツイートによる損害賠償請求事件

    前大阪府知事であるA氏は、ツイッターに投稿された自身の言動について事実と異なる内容のツイートをリツイート(後に削除)したことにより、名誉を傷つけられたとしてジャーナリストのB氏を相手取って慰謝料110万円を求める損害賠償を求める訴訟を提起しました。

    B氏がテレビや雑誌で活動する著名なジャーナリストであったこと、B氏のツイッターには18万人ものフォロワーがいたことから、B氏は社会的影響力が高いと判断されました。その結果、B氏のリツイートは、一般人とは異なり、拡散力、信用力が大きいものと考えられることなどから、令和元年9月、被告のB氏に33万円の損害賠償を命じる判決が出ています(大阪地方裁判所令和元年9月12日判決)。

3、「いいね」やリツイートした人も罪に問える?

前項でご紹介したケースにもみられるとおり、他人の名誉を毀損するツイッターに賛同する意思をもってリツイートした方に対しても、損害賠償請求が可能となるケースがあります。
では、特定のツイートに対して、「いいね」した場合にも名誉棄損があったといえるでしょうか。
「いいね」の場合は、リツイートの場合と異なり、具体的な事実がツイッター上に投稿される訳ではありません。もっとも、社会的に大きな影響力を持つ人物が、人種差別発言など人の名誉を明確に侵害するツイートに対して「いいね」をしたような場合、裁判例が判断したように、本件元ツイートの内容に賛同する旨の意思を示す表現行為がなされたとして、侮辱行為(名誉棄損行為)に当たると判断される可能性がないとは言い切れません。
今後の裁判所による判断の蓄積を待つことになりますが、皆さんも、リツイートするときや「いいね」をするときは、その投稿内容についてご注意ください。

4、ツイッターで名誉毀損をされた場合の法的対応とは?

それでは、ツイッターで名誉毀損をされた場合にとるべき法的対応のステップをご紹介しましょう。
ご自身で加害者とやり取りをしようとした結果、事態が悪化してしまうケースは少なくありません。状況を見て、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

  1. (1)証拠を集める

    ツイッターで受けた名誉毀損について、加害者を特定したり、加害者に対して損害賠償請求したりすることまで視野に入れる場合は、万全な証拠集めが必要です。
    ツイートのURLを保存しておくだけでは、ツイートが削除された場合に、どのような投稿がされていたのわからなくなってしまう可能性があります。ツイートされた画面をプリントアウトしたり写真を撮っておいたりするとよいでしょう。
    なお、この場合には、URLや投稿日時などを含めて記録に残すようにしましょう。

  2. (2)削除依頼をする

    投稿の削除を希望する場合には、直接、投稿を行った者に対してDMやメンションで削除請求を行うことが考えられます。
    しかし、悪意がある相手であれば、直接交渉しようとすることで事態が悪化してしまう可能性も十分考えられます。それどころか、削除依頼をした内容自体をさらに晒されてしまう危険もあります。このような場合には、直接加害者と交渉することは避け、まずは裁判外でTwitter社に対して、対象の投稿を削除するよう請求をした方がよいでしょう。
    裁判外でTwitter社に対する削除請求が認められなかった場合には、投稿記事削除仮処分の申し立てをおこないます。

  3. (3)加害者を特定する

    ツイッターで受けた名誉毀損の加害者に対して損害賠償請求をするためには、まず投稿した相手を特定する必要があります。
    ツイッターの投稿者が誰であるのかがプロフィールや投稿内容などからでは特定できない場合、まず、東京地方裁判所に「発信者情報開示の仮処分」を申し立てます。
    この申し立てが認められ、IPアドレスやタイムスタンプが開示され、投稿者が利用しているアクセスプロバイダが特定できた場合には、そのアクセスプロバイダ対して、「発信者情報開示請求訴訟」を提起し、IPアドレスやタイムスタンプを用いて、投稿者の情報開示を請求します。
    この訴えが認められると、アクセスプロバイダは投稿者の氏名・住所・連絡先などを開示します。

  4. (4)損害賠償請求をする

    加害者が特定できたら、加害者に対し、名誉毀損に基づき損害賠償と原状回復措置を請求します。まずは内容証明郵便などを用いて慰謝料を請求し、その後の話し合いでも加害者が賠償等に応じない場合は、民事訴訟を提起することになります。

  5. (5)刑事告訴する

    名誉毀損罪は告訴がないと公訴ができない「親告罪」です。まずは被害の状況を示す具体的な証拠をそろえて所管の警察署に赴き刑事告訴したい旨を伝え、今後の具体的な手続きについて相談してください。
    もっとも、相手方の特定が出来ておらず、一般的な誹謗中傷に留まる場合、弁護士が同行することなく警察へ告訴状を持っていったとしても、告訴が受理されないことが多い、という問題があります。

5、早めに弁護士への相談を

ツイッターで受けた名誉毀損について対応をご検討の際は、インターネット上のトラブル解決に経験と実績を持つ弁護士に相談することをおすすめします。弁護士はあなたの代理人として、削除請求や加害者の情報開示に関するTwitter社との交渉、さらには損害賠償と原状回復措置を請求する民事訴訟や刑事訴訟に関する手続きも可能です。

弁護士に任せておくことであなたは本業に専念できることはもちろんのこと、早期のトラブル解決が期待できるでしょう。

6、まとめ

ツイッターで受けた名誉毀損は、場合によっては個人の生活を壊したり、事業そのものに支障を来たしかねません。できるかぎり早期に名誉回復することで解決を図りたいものです。そのとき、弁護士があなたの心強いパートナーとなります。ひとりで行動するよりも弁護士に依頼したほうが、より良い結果が期待できます。

ベリーベスト法律事務所の弁護士は、名誉毀損の被害者となった事業者にとって最良の結果となるように尽力します。ぜひお気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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