弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • SNSサイト
    個人
    2021年12月02日更新
    Instagram(インスタ)への投稿を削除依頼する方法とは?

    Instagram(インスタ)への投稿を削除依頼する方法とは?

    総務省が毎年更新して公開している「インターネットトラブル事例集」2021年版によると、「投稿から個人が特定されたことによる被害」として、SNSで画像をアップしたところ顔と背景から個人が特定されてしまいトラブルに巻き込まれる可能性があると説明しています。

    思いがけずSNS投稿から個人が特定されてしまうトラブルは、画像投稿に特化したSNSである「Instagram(インスタグラム・インスタ)」が舞台となるケースが少なくありません。

    本コラムでは、Instagramにおいて自分の顔がわかる画像を第三者に無断でアップされてしまった場合の対処法として、削除依頼の方法を弁護士が解説します。
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1、Instagramへの無断投稿! 削除はできるのか?

Instagramは世界最大のSNSであるFacebook(フェイスブック)の運営で知られるMeta Platforms, Inc.が提供している写真共有型SNSのひとつです。

Facebookをはじめとした従来のSNSは文章がメインで、文章の修飾や説明のために写真や画像が存在しているという位置づけでした。Instagramは画像投稿がメインという新しいかたちが受け入れられてユーザーが増大し、平成29年には写真映えする画像を投稿することを意味する「インスタ映え」が流行語大賞を獲得するなど話題を集めてきました。

若年層を中心に使われてきた「インスタ」という略称もすでに広く定着しており、国内のアクティブユーザー数は増加する一方ですが、同時にトラブルも増加しています。

ここでは、Instagramの利用規約を確認しながら、削除の基準や削除される可能性が高い投稿・低い投稿について解説していきましょう。

  1. (1)利用規約から削除の基準をチェック

    Instagramのヘルプセンターには「利用規約」が掲載されています。
    ここでは「Instagramで禁止されている行為」として、次のような行為が掲げられています。

    • 他人へのなりすまし、不正確な情報提供
    • 不正・違法・誤解を招く・詐欺的な行為
    • 不正なアカウント作成や不正なアクセス
    • アカウントの譲渡・販売など
    • 個人情報や秘密情報の投稿
    • 知的財産など他人の権利を侵害する行為


    「無断で自分の顔が映った画像をアップされてしまった」というトラブルにおいては、ここで挙げた「知的財産など他人の権利を侵害する行為」に該当するかどうかが重要なポイントとなります。

  2. (2)削除の可能性が高い投稿

    被写体の許可を受けず、無断で撮影・投稿された画像は「肖像権」を侵害しているものと考えられるでしょう。

    肖像権とは、無断で容姿などを撮影されたり、撮影された写真や画像を勝手に公表されたりしないように主張できる権利をいい、法律上では明記されていませんが、判例上でも認められている権利のひとつです。

    Instagramにおける画像投稿では、次に挙げる条件に合致している場合に肖像権侵害が成立する可能性があると考えられます。

    • 被写体が誰であるのかを判別できる程度に鮮明である
    • 被写体本人から撮影・公表の許可を受けていない


    つまり、被写体となった人物を中心に撮影された画像はもちろん、観光地やイベント会場などのように多数の人が集まる場所の様子を撮影した場合でもとくに被写体として目立つ画像であれば、この条件を満たす可能性があります。

    この考え方は、通常の画像投稿だけでなく、24時間以内に自動削除されるInstagram独自の「ストーリーズ」での画像・動画投稿も同様です。

    また、テロップなどのように文字情報を画像として加工した投稿や、投稿の本文である「キャプション」において、誹謗中傷の内容を公開した場合は名誉毀損にあたる可能性があります。

    名誉毀損は刑法第230条に規定されている犯罪行為なので、画像やキャプションによって他人の社会的評価を失墜させる内容が投稿された場合は削除の対象となりえます。

    さらに、他人が撮影・作成した画像を無断で流用して投稿する行為は著作権侵害にあたるとして削除される可能性は高いでしょう。

  3. (3)削除の可能性が低い投稿

    次の状況に合致する投稿であれば、無断で自分が写っている画像を投稿されても削除の可能性は低いでしょう。

    • 人物の特定ができない程度の画像である
    • 不特定多数の人が集まる場所で、群衆に混じって写り込んだ程度である


    投稿された画像が後ろ姿や顔面を除いた身体の一部であれば、実質的に人物の特定は困難なので肖像権侵害にはあたらないと考えるのが一般的です。

    イベント会場などのように不特定多数が集まる場所で、中心となる被写体の背景として偶然にも写り込んでしまった場合も、その場所へ自ら出向いているという点である程度の了承はあったとみなされてしまい、肖像権侵害は認められにくくなります。

    また、Instagramの投稿を別のアプリケーションを利用して他のユーザーの投稿をシェアする「リポスト」「リグラム」は、Instagramが運営しているサービスではありません。

    リポストなどで肖像権侵害・名誉毀損などの被害が発生している場合は、Instagramではなく各運営者に削除を依頼する場合もあります。

2、Instagramへ削除を依頼する方法

Instagramへ削除を依頼する場合は「何を削除したいのか」によって対応が変わります。

  1. (1)画像の削除を依頼したい

    画像の削除は、相手の投稿画面から依頼します。
    投稿画面に表示されている「…」から「報告する」または「利用者を報告」を選ぶと報告理由の選択画面に移ります。

    ここで「不適切である」を選択すると「知的財産権の侵害」「いじめまたは嫌がらせ」「虚偽の情報」などの項目が表示されるので、それぞれの項目ごとに用意された質問に答えたのちに報告を送信すれば削除依頼は完了です。

  2. (2)タグ付けを削除してもらいたい

    投稿者が投稿した画像や動画に関連するアカウントをひも付けする機能として「タグ付け」があります。無断でタグ付けをされてしまい削除してもらいたい場合は、Instagramへの報告なしで削除可能です。

    投稿内に表示された自分のユーザーネームをタップすると表示される「投稿から自分を削除」を選択すれば、その投稿から自分のアカウントへのタグ付けが削除されます。

    タグ付けを削除したことが投稿者に通知されることはありません。

  3. (3)キャプションを削除してもらいたい

    キャプションとは、投稿画面の下部に表示される本文のことです。
    誹謗中傷など名誉毀損罪や侮辱罪といった犯罪にあたる可能性があるキャプションは、画像と同じく「報告する」「利用者を報告」から通報できます。

    「いじめまたは嫌がらせ」「虚偽の情報」を選択してInstagram運営者に通報し、権利侵害が認められれば削除されます。

3、投稿者を特定して損害賠償請求することは可能?

Instagramで画像の無断投稿や誹謗中傷のコメントを投稿される被害にあった場合は「相手を特定して責任を追及したい」と考えるでしょう。

しかし、ユーザーのホーム画面をみてもユーザーネームが確認できるだけで、投稿者自らがプロフィールを公開していない限り個人の特定はできません。

投稿者を特定して責任を追及する方法はあるのでしょうか?

  1. (1)Instagramの投稿者を特定する方法

    Instagramの運営者は、個別のユーザーに別のユーザーの個人情報を開示することは通常ありません。また、トラブルの相手となっているユーザーにダイレクトメッセージなどを使って連絡をとっても、個人情報を明かしてくれる可能性は限りなく低いでしょう。

    投稿者を特定するもっとも確実な方法は、弁護士に依頼して裁判所に「発信者情報開示請求」を申し立てることです。発信者情報開示請求が認められれば、裁判所の命令によって個人情報が開示されます。

  2. (2)発信者情報開示請求の流れ

    裁判所を通じた手続きとなる、発信者情報開示請求は2段階の請求によって行われます。

    Instagramの投稿者を特定する場合は、まずコンテンツプロバイダであるInstagram運営者に対してIPアドレスなどの情報開示を請求します。

    次に、開示を受けたIPアドレスなどの情報をもとに投稿者が利用しているインターネットプロバイダを特定し、インターネットプロバイダに対して契約者情報の開示を請求します。

    この2段階の請求によって、投稿者がどこの誰なのかが特定可能です。

  3. (3)損害賠償請求が認められるケース

    投稿者が特定できれば、無断で投稿された画像が広く拡散されてしまったことによって生じた精神的苦痛に対する慰謝料や、投稿によって生じた損害に対する賠償金の支払いを求めることが可能です。

    損害賠償を請求するには、相手に不法行為があったという事実や損害が生じていることを証明する必要があります。

    詳しい証拠を添えて裁判所に申し立てることになるため、インターネットの利用にまつわるトラブルの解決実績を豊富にもつ弁護士のサポートは必須でしょう。

4、Instagramへの削除依頼は弁護士に依頼すべき理由

Instagramに投稿された画像やキャプションの削除依頼は、弁護士に相談しましょう。

インターネットで検索すると削除代行業者・誹謗中傷対策業者などが数多くヒットしますが、弁護士資格をもたない業者は弁護士法に違反する「非弁行為」をはたらく悪質業者です。違法な業者からの削除依頼ではInstagram運営者が削除に応じてくれないおそれがあり、費用の無駄使いになるだけでなく、違法な業者に個人情報を渡す結果になる可能性が高いと考えられます。

  1. (1)削除の可能性が高まる

    Instagram運営者への削除依頼には、投稿が具体的にどのような権利侵害・違法行為にあたるのかを正確に判断して証拠をそろえる必要があります。

    Instagramへの削除依頼について解決実績を豊富にもつ弁護士なら利用規約を的確に理解しているので、どのような投稿が権利侵害・違法行為にあたるのかを正確に判断できるでしょう。

    的確に有効な証拠をそろえて削除の必要性を主張できるので、Instagram運営者が削除する可能性が高まります。

  2. (2)法的な対応も可能

    弁護士がInstagram運営者に削除依頼を代行しても応じてもらえなかった場合や、投稿者に対して損害賠償を請求するには、発信者情報開示請求など裁判所の手続きを利用して削除することになります。

    裁判所への申し立てには、難しい書類の作成や証拠収集が必要です。経験豊富な弁護士に法的な対応を一任することで、より確実に申し立てが認められるだけでなく手間も省けます。

  3. (3)投稿者からの連絡も一任できる

    Instagramにおける削除依頼として注意すべきポイントのひとつとして「投稿者に対する情報提供」が挙げられます。

    Instagramのヘルプセンターには、著作権侵害の申し立てによって投稿が削除される場合に、権利者の名前やメールアドレスなどの情報が提供されることが明示されています。投稿を削除されたユーザーから権利者に対して連絡が入る場合があり、ユーザー同士でのやり取りではトラブルに発展するおそれがあるのです。

    弁護士が権利者の代理人として申し立てを代行すれば、投稿者からの連絡ややり取りも弁護士が代行することになり、無用なトラブルを回避できます。自分の連絡先を投稿者に知られたくないと考えるなら、弁護士を代理人として削除を依頼するのが賢明です。

5、まとめ

Instagramは画像投稿がメインである楽しさと気軽さからユーザーが増加していますが、自分の容姿などを含んだ画像を無断で投稿されたなどのトラブルも絶えません。非常に拡散性が強いSNSであり、投稿された画像が悪用されてしまうおそれもあります。無断投稿や誹謗中傷などを含む投稿は、早急に削除を依頼して解決を目指しましょう。

Instagramにおける画像の無断投稿や誹謗中傷トラブルの解決はベリーベスト法律事務所にお任せください。インターネット利用にまつわるトラブルやSNSにおける削除依頼の解決実績を豊富にもつ専門チームの弁護士が全力でサポートします。

無断で顔写真を含む画像を投稿された、キャプションで誹謗中傷を受けたなどのトラブルにお困りなら、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2021年12月02日)の法律をもとに執筆しています

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