弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 口コミ投稿
    法人
    更新日:2026年05月20日 公開日:2025年03月10日
    口コミが事実でも名誉毀損で訴えることは可能? 名誉回復の方法

    口コミが事実でも名誉毀損で訴えることは可能? 名誉回復の方法

    Googleマップなどをはじめとするインターネット上の口コミは、店舗や施設の利用者から生の声が寄せられる点が魅力です。口コミによって人気に火が付くことは少なくありません。しかし、なかには誹謗中傷など、ひどい内容の口コミを書かれてしまうケースがあります。

    口コミの内容が仮に真実であったとしても、人格攻撃などの不当な目的を有している場合には、刑事上・民事上の名誉毀損が成立する可能性があります。もしインターネット上で、あまりにもひどい内容の口コミを発見したら、速やかに弁護士に相談しましょう。ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、事実の口コミでも名誉毀損になる?|違法になるケースとは

  1. (1)事実の口コミでも問題になるケースがある

    口コミの内容が真実であっても、その内容や表現方法によっては、名誉毀損などの法的問題になる場合があります。

    誹謗中傷の口コミについては、刑法上の「名誉毀損罪」が成立する可能性があります(刑法第230条第1項)。しかし、口コミの内容が真実である場合には、名誉毀損罪によって処罰するのは難しいのが実情です

    一方で、成立要件が非常に厳しい刑法上の名誉毀損罪に比べると、民法上の(名誉毀損による)不法行為(民法第709条)は、もう少し広い範囲で認められる可能性があります。

  2. (2)公共性・公益性などがあれば、違法性が否定される場合がある

    名誉毀損であるとして特定の言動を処罰することは、表現の自由に対する制約にあたります

    表現の自由の制約は必要最小限度に抑えるべきという考え方により、以下の要件をすべて満たす場合には、刑法上の名誉毀損罪としての違法性が阻却されます(「公共の利害に関する場合の特例」。刑法第230条の2第1項)。

    • ①摘示された事実が公共の利害に関するものであること
    • ②事実の摘示の目的が、専ら公益を図ることにあったと認められること
    • ③その事実が真実であることの証明があったこと

    インターネット上の口コミは、他のユーザーの参考となる情報である限り、「公共の利害」と「公益目的」の要件を満たすものと考えられます。

    そのうえで、口コミの内容が真実であった場合には、名誉毀損罪は成立しません

    また、民法上の不法行為(名誉毀損)の場合、問題の投稿が事実の摘示にあたるとき、以下の3つの要件を満たす場合、違法性がないと判断されます。

    ●当該表現が事実の摘示にあたる場合

    • ①摘示された事実が公共の利害に関するものであること
    • ②事実の摘示の目的が、専ら公益を図ることにあったと認められること
    • ③その事実が真実であることの証明があったこと、または加害者において、その事実が真実であると信じる相当の理由があったこと

    このように、口コミの内容が真実である場合には、民法上の不法行為責任を追及できる可能性は低いと言わざるを得ません。

  3. (3)口コミが「意見・論評」の場合でも違法になることがある

    刑法上の名誉毀損罪の対象は、あくまでも「事実」を摘示した場合に限られます。意見や論評のみを内容とした口コミは、名誉毀損罪の対象にはならない点に注意が必要です。

    一方、民法上の名誉毀損による不法行為は、刑法上の名誉毀損罪とは異なり、「事実の摘示」が必須要件とはされていません。そのため、意見や論評のみを内容とする口コミについても、違法に被害者の権利を侵害して損害を与えたものと評価される場合には、不法行為が成立する余地があります

    ●当該表現が意見・論評の表明にあたる場合(最三小判平成9年9月9日判時1618号52頁)
    以下の4つの要件を満たす場合には、違法性がないと判断されます。

    • ①摘示された事実が公共の利害に関するものであること
    • ②事実の摘示の目的が、専ら公益を図ることにあったと認められること
    • ③意見・論評の前提としている事実が、重要な部分において真実だと証明があったこと、または加害者において、その事実が真実であると信じる相当の理由があったこと
    • ④人身攻撃に及ぶなど、意見・論評としての域を逸れたものでないこと

    インターネット上の口コミの場合、その多くは意見・論評の表明にあたるものと考えられます。したがって、口コミの内容が真実であったとしても、人身攻撃に及ぶなど、意見・論評としての域を逸脱している場合には、名誉毀損の不法行為は成立する可能性があります

    もっとも、真実を内容とする口コミについては、民法上の不法行為に基づく責任を追及することは困難であるのが実情です。

2、ひどい口コミを見つけたらどうする?|削除請求と投稿者特定の流れ

  1. (1)まずは証拠を確保する

    そうは言っても、オーナーや従業員に対する個人攻撃にあたるような誹謗中傷は、その内容が真実であったとしても、許されるものではありません。名誉毀損による責任追及が難しい場合であっても、その口コミを削除し、ビジネスへの影響を少なくすることが大切です。

    ひどい口コミを発見したら、まずはその内容をスクリーンショットなどで保存しておきましょう。証拠を集めておくことが、のちのちの手続きでも大変重要になります

  2. (2)削除請求を行う

    誹謗中傷の口コミによる風評被害を防ぐためには、その口コミを削除することが先決です

    まずは投稿者やサイト管理者に対して、直接口コミ削除の要請を行います。しかし、投稿者やサイト管理者が、その口コミの削除要請にすぐ応じてくれるとは限りません。

    直接の削除要請が奏功しない場合には、裁判所に対して投稿削除の仮処分申立てを行い、強制的な口コミの削除を求めます。できるだけ早期に削除を実現させることで、拡散されてしまうなど、さらなる事態の悪化を回避することができるでしょう。

    法的な知識がないまま対応してしまうと、速やかに削除してもらえないことがあるだけでなく、さらなる炎上を招いてしまうことがあります。弁護士に対応を相談することで、法的な根拠を持って削除してもらう、もしくは真摯にコメントを返すなど、名誉回復に向けた対応をとることが可能となります。

  3. (3)投稿者が不明な場合は発信者情報開示請求

    誹謗中傷の口コミによって損害を被っている場合には、加害者である投稿者を特定できれば、損害賠償を請求できます。また、実際に受けた損害の回復などだけでなく、謝罪文の掲載を求めるなど、名誉回復に向けた対応も可能となるでしょう。

    しかし、匿名掲示板などへの書き込みは、一見して投稿者が誰だかわかりません。たとえあなた自身に心当たりがあったとしても、その方が書きこんだとは限らないため、必ず法的な手続きを経て特定する必要があります。

    具体的には、プロバイダ責任制限法(正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」)に基づき、「発信者情報開示請求」(プロバイダ責任制限法第5条)や「発信者情報開示命令」(プロバイダ責任制限法第8条)を行うことになります。これら手続きを通じて、サイト管理者などに対し投稿者の個人情報の開示を求めたり、裁判所に対し発信者情報開示の仮処分申立てを行ったりすれば、最終的に投稿者を特定できる可能性が出てきます。

    ただし、この手続きは申請すれば無条件に認められるものではありません。プロバイダ責任制限法第5条では、発信者情報開示にあたって、少なくとも同条1号及び2号の条件を満たす必要がある旨定められています。

    その条件とは、

    • その情報がネット上に流れることにより、請求者の権利が侵害されていることが明らかであるとき
    • 請求者が損害賠償をするために必要である場合や、情報開示を受ける正当な理由があるとき

    です。

    実際に、この条件を理由に発信者情報開示請求が認められなかった事例もあります。

    ●転職サイトへの投稿について発信者情報開示請求がなされた2022年の事例(令和4年(ワ)第10554号)
    本件では、裁判所が問題となった投稿を検討し、「この投稿で会社の社会的な評価が下がったと評価することはできない」として原告の発信者情報開示請求は認められませんでした。
    つまり、先ほど述べた「請求者の権利が侵害されていることが明らかであるとき」には当たらないため、発信者情報開示請求で求められる条件を満たしておらず、請求は認められないと判断されたのです。

    また、サイト管理者やインターネット接続事業者は、一定期間が経過すると投稿者に関する情報を削除してしまうことがあります。そのため、誹謗中傷の口コミに気づいた場合には、可能な限り迅速に弁護士へご相談ください。早期に相談することで、できる対応方法の選択肢が増え、相手の特定などもスムーズに解決できる可能性を高めることができます。

    なお、プロバイダ等が権利侵害投稿に付随する発信者情報を保有していない場合などには、これとは別に同条3号に定められた条件を満たすことを立証することで、SNS等のアカウント作成時やログイン時の通信情報等の開示を求めることができます。

  4. (4)損害賠償請求や謝罪請求を行う

    投稿者が特定できた段階で、内容証明郵便の送付や訴訟を通じて、投稿者に対する損害賠償や、謝罪の要求などを行います。
    内容証明郵便や訴訟資料の作成・訴訟手続きにおける期日対応などは、すべて弁護士が代行します。被害を受けた方自身が相手側と直接対応する必要はありません。

    誹謗中傷の口コミ削除・投稿者に対する損害賠償請求、名誉回復については、弁護士を信頼してお任せください。

3、刑法上の名誉毀損罪|成立要件

刑法上の名誉毀損罪は、以下のすべての要件を満たす場合に成立します。

<名誉毀損罪の成立要件>
①公然と発言したこと
不特定または多数の人に伝わる場所での、発言であることが必要です。
インターネット上の口コミが「公然と」の要件に該当することは、特に問題なく認められます。

②事実を摘示したこと
単なる侮辱にとどまらず、何らかの事実を摘示した発言であることが必要です。
なお、事実の摘示がなく、単なる侮辱にとどまる場合には刑法第231条により「侮辱罪」が成立します。

③他人の名誉を毀損したこと
他人の社会的評価が下がるような言動であることが必要です。
なお、名誉毀損に類似する刑罰として、「信用毀損罪」という刑罰もあります。虚偽の情報を不特定多数に伝えた場合には、この罪が適用される場合があるため、悩まれるときは弁護士に相談するとよいでしょう。

4、まとめ

投稿された口コミが真実である場合、名誉毀損などの法的責任を追及することは難しいケースが多いです。

それでも、オーナーや従業員の個人名を出して人格攻撃をするような内容の場合には、名誉毀損等が成立する余地もありますので、一度弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします

ベリーベスト法律事務所では、誹謗中傷の口コミ削除や、投稿者に対する損害賠償請求のご相談を随時承っております。
削除や損害賠償請求を行うだけでなく、さらなる炎上を回避するため、事業者側がどのような対応ができるかなど、名誉回復に向けたアドバイスも可能です。誹謗中傷の口コミ被害に遭った店舗・施設経営者の方は、お早めにご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※記事は公開日時点(2025年03月10日)の法律をもとに執筆しています

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