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弁護士コラム
日常的に行われるスクショですが、改めてスクショとは何かを考えておきましょう。
スクショとは、「スマートフォンやタブレット端末の画面に表示されている内容をそのまま取り込んで画像データを作成すること」をいいます。これを法律上の用語でいうと、スクショは「複製」(著作権法2条1項15号)という行為に当たります。
複製は、個人や家庭内などで私的使用する場合には、原則として自由に行うことができます(著作権法30条1項)。ただし、たとえ私的使用の場合であっても、違法にアップロードされたコンテンツであることを知りながらスクショを行うことなどは禁止されており、違法となります(著作権法30条1項4号)。
複製は原則として自由に行えますが、複製した画像をSNSに投稿する場合は公衆送信にあたります。したがって、「引用」に該当するケースではない限り、著作権侵害に当たり得ます。
もっとも、著作物がスクショの中に小さく映り込んでいるに過ぎない場合には、著作権侵害に当たらないこともあります。著作権侵害について、法律上のルールを定めたものが著作権法30条の2です。この条文で禁止される違法な行為が行われている場合には、著作権侵害を主張することができます。
例えば、添付されたスクショと比べて自分の著作物の占める割合が大きい場合や、そのスクショの添付が正当な範囲内の場合には、著作権の侵害になりません。
著作権法30条の2は非常に長文で複雑な条文ですし、抽象的なルールですので、具体例も交えて表に整理します。
法律のルール | 許容(適法) | 禁止(違法) | |
---|---|---|---|
スクショ |
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SNSへの投稿 |
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このように、著作権法では、スクショの中の自分の著作物の割合や、スクショの利用が正当な範囲内かどうかという抽象的なルールしか定められていません。著作権侵害にあたるかどうかは、ケース・バイ・ケースなので、専門的な判断が必要となります。
そのため、自分の著作物が写り込んだスクショが、ご自身の同意なく、他人のSNS投稿に用いられていることを発見した場合には、著作権法に関する経験が豊富な弁護士への相談をおすすめします。
他人のSNSに投稿されたスクショにご自身の著作物が写り込んでいて、それが著作権侵害にあたる可能性がある場合には、次の4つの方法を検討することが考えられます。
ひとつは、あえて放置するという方法です。
著作権侵害を理由として法的な対応をとるには、後述のとおり、手間や負担がかかりますし、訴訟など裁判所を利用した専門的な手続きが必要となります。結果、弁護士に依頼することとなり、弁護士費用もかかることは間違いありません。
そのため、著作権侵害の程度が大きくなく、ご自身にとって気にならない場合や、著作権侵害が常習的でなく1回きりであるような場合には、あえて放置するという方法を選択することが考えられます。特に著作物侵害に当たるかどうか微妙なケースでは、裁判をしたとしても著作物侵害と判断してもらえないこともあるので、放置すればそのようなリスクを回避できます。
次に、ご自身の著作物が写り込んだスクショがSNSに投稿されている場合に、当該著作物を削除すること(ご自身の著作物の使用を差し止めること)を請求する方法を選択することが考えられます。これは、著作権法112条に基づく法的な対応です。
削除請求はさらに2つに分かれ、すでに著作権侵害をした者に対するその侵害の停止の請求と、著作権侵害のおそれのある行為をする者に対する侵害の予防の請求という2つの方法があります。
なお、既に著作権が侵害されていて、これを放置しておくと著しい損害が生じる可能性があるなど緊急性がある場合には、訴訟という時間がかかる方法ではなく、削除請求に関する仮処分を申し立てる方法もあります。
本来はライセンス料を支払わなければご自身の著作物を使えないにもかかわらず、他人が勝手に当該著作物をスクショに写り込ませてSNSに投稿しているような場合には、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として。著作物使用料に相当する金額を損害として請求する方法が考えられます。
その他にも経済的な損害が生じている場合、それに関しても損害賠償請求することができます。
著作物使用料や損害賠償の金額は、著作権が侵害されていた期間に応じて具体的に算定する必要があります。そのため、まずは削除請求(使用の差止請求)を行い、著作権侵害を実際に停止させることが一般的です。
これらのほか、著作権侵害によって自分の著作者人格権が侵害された場合には、名誉を回復するための措置などを請求する方法もあります(著作権法第115条)。たとえば、新聞への謝罪広告の掲載などを求めることができます。
著作権を侵害した者は原則として10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金に処するとされています(著作権法第119条)。
法人については、その業務に関して侵害行為を行った場合、その実行行為者の処罰に加えて、業務主体たる法人にも罰金刑(原則として3億円以下の罰金)が科されるとする、いわゆる両罰規定があります(著作権法第124条)。
発信者を告訴することで刑事責任の追及が可能な場合もあります。
法的な対応をとるために必要な手順について解説します。投稿者の情報を各プロバイダが保存している期間は3か月程度と短い場合があるので、早急に対応する必要があります。
いずれの方法を選択する場合であっても、まずは、自分の著作物を含むスクショをSNSに投稿した者(自分の著作権を侵害する者)が誰であるかを明らかにしなければなりません。
発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法4条)に基づいて投稿者の氏名や住所を明らかにします。
発信者情報を開示するための手続は次のとおりです。基本的には2回~3回の裁判手続をとる必要があります(各プロバイダが任意に開示に応じてくれることは多くありませんので、裁判手続をとることが通常です。)。
発信者情報開示請求によって発信者の特定ができれば、次は、当該発信者に対し、ご自身の著作物の削除(使用の差止)を求める訴訟を提起することとなります。
また、すでに解説したとおり、放置しておくと著しい損害が生じる可能性がある場合など緊急性があるときには、訴訟に先立って著作権侵害の停止を求める仮処分を申し立てます。
こちらも、発信者情報開示請求によって発信者の特定ができれば、当該発信者に対し、著作物使用料等の損害賠償請求を求める訴訟を提起することとなります。
通常の損害賠償請求訴訟では、賠償を請求する側で損害額を立証しなければならないのですが、著作権法には損害額についての算定規定が設けられており(著作権法第114条)、著作権者からの損害賠償請求を容易にしています。
たとえば、ご自身の著作権が侵害され、それによって著作権を侵害する者が利益を受けている場合には、その利益の額が損害の額と推定されますので、これを根拠に損害額を算定することができます(著作権法114条2項)。
また、本来はライセンス料を支払わなければ著作物を使えないにもかかわらず、他人が勝手にご自身の著作物をスクショに写り込ませてSNSに投稿しているような場合には、ライセンス料相当額を損害額として請求することができます(著作権法114条3項)。この規定は、損害額の最低限を定めたもの考えられており、著作権侵害を行った者が「実際の損害額はこれより少額である」と主張したとしても、損害額を減額させることはできません。
以上からすれば、ご自身の著作物が写り込んでいるスクショがSNSに投稿されている場合で弁護士に対応を依頼したほうがよいのは、裁判手続をとる必要がある次の3つのケースであるといえるでしょう。
これらのケースではいずれも、発信者情報開示を行った上で、削除請求(使用の差止)、著作物使用料等の損害賠償、名誉回復等のための措置請求、刑事責任の追及という手続を行う必要があります。素早い対応と専門的な知識が要求されますので、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
自分の著作物を映し込んだスクショが他人のSNSに投稿されている場合、著作権侵害を主張できるかどうかは著作権法30条の2に違反するかどうかによって判断する必要があります。
そして、著作権侵害がある場合には、発信者情報開示請求、削除請求(使用の差止)、著作物使用料等の損害賠償請求、名誉回復等のための措置請求をするために裁判手続を利用する必要があります。
著作権法30条の2に違反するかどうかの判断、著作権侵害がある場合の裁判手続のいずれについても、専門的な知識が必要となりますので、弁護士への依頼をおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。
※記事は公開日時点(2022年04月19日)の法律をもとに執筆しています