弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 削除請求
    法人
    2022年11月02日更新
    キャリコネの口コミを削除することはできる? 削除の方法や基準を解説

    キャリコネの口コミを削除することはできる? 削除の方法や基準を解説

    「キャリコネ」は、企業の口コミ等が掲載されているWebサイトです。

    企業について社員や元社員の投稿した口コミ等が掲載されています、就職や転職を検討している人にとっては、有益な情報が得られる可能性があるサイトであると考えられます。

    しかし、企業に関する虚偽の情報や企業又は社員に対する誹謗中傷が投稿されており、企業の機密情報を漏洩する内容の口コミ等が投稿されてしまうケースもあります。そのような場合には、企業側の担当者としては、「キャリコネに投稿されている情報を削除したい」と希望されることでしょう。

    本コラムでは、キャリコネに投稿の削除依頼をする方法や、キャリコネが削除を認めてくれない場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、キャリコネの削除は利用規約の違反が基準

  1. (1)キャリコネの運営会社に削除を請求する

    キャリコネに限らず、Webサイトや掲示板などインターネット上に問題のある投稿がなされた場合には、以下のいずれかの相手に削除を請求することを検討できます。

    • 書き込んだ人(投稿者又は発信者)
    • サイト管理者
    • サーバー管理者


    書き込んだ人(投稿者又は発信者)、サイト管理者又はサーバー管理者に削除請求を行う手段は、「任意請求(任意削除)」と呼ばれます。

    キャリコネには「削除依頼フォーム 」が設けられており、サイト管理者である株式会社グローバルウェイ(キャリコネの運営会社)が、任意請求に応じることを表明しています。
    したがって、まずは、株式会社グローバルウェイに対して削除を請求することとなります。

    ただし、任意請求をしても必ず削除されるとはいえません。

    キャリコネ運営会社のウェブサイト上には「基本的には利用規約に反していなければ、掲載を取り消すことはいたしません。」「利用規約に反していると弊社が判断した場合のみ、削除対応をとらせていただきます。」等と記載されています。

    つまり、キャリコネの利用規約に違反している投稿でなければ、原則として、任意請求に応じてもらうことができないということになります。
    また、対象となる投稿が利用規約に違反しているか否かについての判断は、株式会社グローバルウェイが行うことになります。

  2. (2)利用規約に違反する投稿の具体例

    以下では、キャリコネの利用規約に違反する投稿の内容について解説します。

    キャリコネの「企業に関するアンケートの利用規約」第3条では、利用者の禁止行為が細かく定められています。
    具体例としては、下記のようなものがあります。

    • 虚偽の内容の投稿
    • 他人の著作権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害する或るいはそのおそれのある内容の投稿その他の行為
    • 他者を差別もしくは誹謗中傷する行為
    • 理由が書いていない批判(なお、評価のみの投稿はこれに該当しないものとします)や、意図的に特定事業者の名誉又は信用を毀損する行為
    • 法令や公序良俗に反する行為
    • 犯罪行為、又は重大な危険行為に結びつくおそれのある行為
    • 上記に準ずる行為及びその他の弊社が不適当と判断した行為


    利用規約に違反することが客観的にも明らか内容である場合には、削除が認められる可能性があるため、運営会社に任意請求を行う手段は有効といえるでしょう。

    ただし、キャリコネ運営会社のウェブサイト上に「投稿の削除を依頼される際は、弊社が利用規約に反していると判断できる理由・根拠のご説明、資料のご提出をお願いしております。」と記載されているように、利用規約違反については削除を請求する側が説明する必要があることに注意してください。

2、キャリコネへ削除を依頼する手順

キャリコネに任意請求を行う場合、前述した削除依頼フォームを利用して削除を依頼することになります。

また、テレコムサービスの協会ガイドライン書式(侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書)を株式会社グローバルウェイに郵送するという手段もあります。
なお、上記手段は、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律が根拠になります。

3、キャリコネが削除を認めてくれない場合

削除依頼フォームの利用、ガイドライン書式の郵送を行っても削除の対応に応じない場合には、法的措置を講じることを検討しましょう。
具体的には、株式会社グローバルウェイに対して、投稿の削除請求(削除仮処分)を行うことになります。

仮処分は、通常の訴訟とは異なる手続であり、訴訟よりも迅速な判断がなされる点が特徴です。
仮処分の場合、通常であれば1か月程度で結論が出されますまた、裁判所が削除の必要性を認めて仮処分命令を行った場合には、ほとんどのサイトの管理者は仮処分命令に従います

ただし、記事削除仮処分を申し立てるためには、当該申立ての前に証拠を確保しておく必要があるという点に注意してください。
問題のある投稿がなされた場合、その記事の削除を求めるだけでなく、後述するような発信者情報開示請求や損害賠償請求を行うこともあります。
しかし、これらの手続を行うためには、投稿された内容が証拠として必要になります。
投稿を削除されると証拠が無くなってしまうため、削除される前に、各種の請求を行う側が投稿の内容を保存しておく必要があるのです。
また、投稿の内容とあわせて、投稿のURLも保存する必要がある点にも留意してください

具体的には、下記のような方法で、投稿の内容を保存することができます。

  • 問題のある投稿が含まれるウェブページをプリントアウトして、印刷物で保存する。
  • (ex.)URLが「http://」も含めてすべて表示されるように保存する。
  • アドレスバーにURLをすべて表示させた状態で、プリントスクリーンの画像データとして保存する。

4、損害を被っている場合は損害賠償請求も可能

誹謗中傷が含まれた内容を投稿によって会社に対する風評被害や社員の精神的苦痛が発生したり、機密漏洩を通じて具体的な損害が発生した場合等には、投稿の削除を依頼するだけでなく、投稿者に対して損害賠償を請求することも検討しましょう。

以下では、投稿者に対して損害賠償を請求するために必要な手続について解説します。

  1. (1)サイト管理者に対するIPアドレスの開示請求(発信者情報開示仮処分)

    損害賠償を請求するためには、対象となる投稿をした投稿者が誰であるのかについて特定することが必要になります。
    まずは、サイト管理者である株式会社グローバルウェイに対して、投稿の際の通信に用いられたIPアドレスの開示を請求しましょう。

    なお、投稿が削除される際にはサイト管理者の保有する発信者情報も削除されるおそれがあります。
    そのため、投稿の削除請求とIPアドレスの開示請求は、同時に行うことが一般的になります(管轄する裁判所が同じであれば、削除請求と開示請求の両方を同時に行うことが可能です)。

  2. (2)プロバイダに対する投稿者の住所及び氏名の開示請求(発信者情報開示訴訟等)

    投稿者のIPアドレスが判明した後には、プロバイダに対して、判明したIPアドレスを使用していた投稿者(契約者)の住所及び氏名の開示を請求しましょう。
    通常は、プロバイダに対する発信者情報開示訴訟の結論が出るまでには、数か月の期間がかかります。

    一方で、プロバイダが保有するIPアドレスをどの契約者に割り当てたかという記録は、通信のあったときから3か月ほどで消去されてしまう場合があります
    したがって、プロバイダによるIPアドレス割り当ての記録が、訴訟の結論が出る前に消去されてしまうおそれがあるのです。

    そのため、プロバイダに対する発信者情報開示訴訟を提起する前に、プロバイダに対する発信者情報消去差止請求を行う必要があります。プロバイダが任意で協力してくれる場合には問題ありませんが、協力してもらえない場合には発信者情報消去禁止仮処分を申し立てることになります。

  3. (3)投稿者に対する損害賠償請求(損害賠償請求訴訟)

    発信者情報開示訴訟によって投稿者の氏名及び住所を特定することができれば、投稿者に対して損害賠償を請求する訴訟を行うことが可能になります。

    損害賠償の内訳としては、下記のような項目が含まれます。

    • 精神的苦痛に対する慰謝料(自然人の場合)
    • 信用低下による無形損害(法人の場合)
    • 削除請求又は発信者情報開示請求に要した弁護士費用
    • 損害賠償請求に関する訴訟に要した弁護士費用
  4. (4)弁護士への相談を

    上述したように、問題のある内容を投稿した者に対して損害賠償請求を行うためには、発信者情報開示請求等も含めた、法的手続を実施する必要があります。
    投稿の内容の保存等を抜かりなく行いつつ、手続を問題なく進めるためには、法律の専門的知識は不可欠となります。

    削除依頼フォームの利用、ガイドライン書式の郵送等によっても、対象となる投稿が削除されなかった場合には、弁護士にご相談ください。
    弁護士であれば、問題の投稿について客観的及び専門的な観点から確認したうえで、削除請求や損害賠償請求が必要な場合には、法的手続をサポートすることができます。

5、まとめ

自社に関する誹謗中傷や機密漏洩等を含んだ投稿がキャリコネにされた場合、投稿を削除するために、任意請求又は法的措置等の手段を検討しましょう。

任意請求は、投稿の内容がキャリコネの利用規約に違反するか否かが判断のポイントとなります。また、利用規約に違反するか否かの判断は、キャリコネ側に委ねられます。

法的措置では、裁判所による客観的な判断に基づき、仮処分命令等の実行力のある判断がなされます。
また、投稿者に対して損害賠償を請求する場合にも、法的措置は実施しなければなりません。

ただし、発信者情報開示請求又は損害賠償請求等を行うためには法律の専門知識が不可欠であるため、法的措置を検討する場合には、まずは弁護士にご相談ください。

ベリーベスト法律事務所の弁護士は、法的手続をサポートいたします。
問題のある投稿を発見して、法的措置を検討する際には、まずはベリーベスト法律事務所までご連絡ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2022年11月02日)の法律をもとに執筆しています

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