削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
まずは、気軽に短い動画を投稿できるTikTokで問題となりうる動画やコメントについて解説するほか、それらを削除できるかどうかについて確認しましょう。
インターネット上への投稿で問題となりうる代表的なものは、違法といえる投稿であるケースは少なくありません。
ひとくちに違法な投稿といってもさまざまなものがあります。典型的なものとしては、以下の3つが挙げられるでしょう。
TikTokにおいても、これらに該当する投稿がなされれば、投稿者のみならず、運営会社であっても法的な責任が生じる可能性があります。このほか、違法かどうかは別として、運営事業者(サービス提供者)の利用規約に違反する内容の投稿がなされた場合にも、問題となりえます。
TikTokの利用規約では、利用規約に違反する投稿に対しては、「理由の有無および如何を問わず、当社の裁量により、事前通知なくしていつでもコンテンツを削除またはコンテンツへのアクセスを無効化する権利を有します」と定められています。
つまり、TikTokから一方的に、アカウントを停止されたり、該当の投稿を削除されたりする可能性があるということです。
TikTokの利用規約が禁止している投稿のうち、企業運営に関係しうる事項については、次のようなものあたると考えられます。
利用規約違反の場合には、違法とまではいえなくても、不適切であるものも削除の対象になるということがおわかりいただけるでしょう。ただし、実際に削除するかどうかはTikTok側の判断によることとなります。
もし、問題のある投稿を自分のアカウントで投稿してしまい、気づいた時点で削除するケースでは、比較的簡単に削除することが可能です。
大まかにいえば、削除したい対象の動画やコメントを選択して「削除ボタン」を表示させ、これを押すことで削除が完了します。詳しい手順は、TikTokのサイトをご確認ください。
また、「プロフィール」内の「アカウント管理」のページから、自分のアカウントそのものを削除してしまうということも可能です。ご自身のアカウント削除についても、詳しい手順はTikTokのウェブページに掲載されています。なお、この場合には、自分がTikTokに投稿したすべてのデータを消去することが可能です。
ただし、動画やコメントを消す場合でも、アカウントそのものを消す場合のどちらでも、すでにインターネット上で拡散・炎上している場合には、そのデータをすべて削除することは非常に難しくなることを知っておきましょう。
インターネット上でデータが拡散・炎上すると、対応が手に負えなくなるリスクがあります。自分の投稿は簡単に消去できると安易に考えず、投稿するボタンをクリックする前に、いま一度冷静に考えていただければと思います。
これに対して、他人の動画・コメントやアカウントを削除したいというケースでは、自分の投稿のように自由に削除することはできません。
削除のためには決められた手順を踏まなければならず、削除が実現するまでには時間もかかります。
次項では、他人の投稿を削除するにはどうすれば良いか、方法と流れをご紹介します。
TikTokに限らず、インターネット上の他人の投稿を削除するには、3つの方法があります。
1つ目にだれもが思いつくだろう方法は、投稿者に直接連絡をして、削除を依頼・請求する、というものです。確かに、投稿者がすぐに応じてくれさえすれば、この方法が最も早く削除を実現できる方法であるといえるでしょう。
ただし、悪意を持って投稿しているケースであれば特に、スムーズに対応してもらえるとは限りません。また、伝え方によっては削除依頼の内容なども含めさらされてしまう可能性もあり、さらに火に油を注いでしまう可能性が出てきます。
なお、本人からの申し出の場合は無視をしたりさらなる炎上材料にされてしまったりすることがありますが、弁護士からの依頼であれば素直に対応してもらえるケースが多々あります。迷ったときは弁護士に相談することをおすすめします。
2つ目は、サイト管理者であるTikTokの運営会社に依頼をして、当該投稿を削除してもらうという方法が考えられます。実際に、TikTokにも、問題のある投稿やアカウントの通報を受けつける仕組みが用意されています。
いずれも原則は、当該投稿ごとに報告する必要があります。問題のある投稿を見つけたら、長押しすると「報告する」を選択できるため、表示された手順に沿って報告していく流れとなります。なお、コメントのみ一括で複数コメントの報告が可能となっているようです。
具体的な報告方法は、TikTokサイト内にある「問題の報告」ページに、コメント、ダイレクトメッセージ、ハッシュタグ、LIVEコメント、LIVE動画、楽曲、自動おすすめの報告、TikTok NOWと、それぞれの機能ごとの報告方法が記載されています。
ただし、前でも少し触れましたが、通報して削除を請求しても、実際に削除するかどうかはTikTokの判断によるものとなります。通報者の請求どおり削除が実現するとは限らないという点は知っておくべきでしょう。
なお、TikTokに通報しても期待した対応がとられない場合には、「テレコムサービス協会ガイドライン書式(侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書)」を郵送するという方法もあります。この方法は、プロバイダ責任制限法という法律に基づいた削除請求です。TikTokに通報して削除を請求する場合と比較して、削除の実現をより期待することができるといえます。ただし、この書式は難解で困難な点も多いですので、弁護士に作成を依頼することをおすすめします。
3つ目は、法的措置をとる方法です。
講じる必要のある法的措置は、(投稿者ではなく)TikTokに対する投稿の削除請求(削除の仮処分)です。
仮処分は、通常の訴訟とは異なり、迅速な判断を受けることができ、通常は1~2か月程度で結論が出て、削除を実現することができます。拡散・炎上の範囲を最低限に抑えるため、訴訟ではなく、この仮処分という手続きを選択する必要があります。
裁判所から仮処分命令が出れば、ほとんどのサイト管理者がこれに従いますし、削除された投稿が再び復活するということもほとんどありません。この削除の仮処分を利用するにあたっては、仮処分を申し立てる前に、問題のある投稿についての証拠を確保しておく必要があります。
証拠の保存は、① 問題のある投稿の掲載されたウェブページをプリントアウトする(URLが「http://」も含めてすべて表示された形で保存)か、② アドレスバーにURLをすべて表示させてプリントスクリーンを残すという方法が代表的です。
TikTokに投稿された動画やコメントで誹謗中傷されたり、個人情報をさらされたりした結果、就業中の仕事や事業などに影響が出るなどの実害が出てしまうことは少なくありません。そのようなとき、加害者に対して損害賠償を請求できることがあります。
投稿によって損害を被っている場合には、加害者に対して損害賠償を請求することも可能です。
損害賠償を請求するためには、違法な投稿によって被害が生じたことが必要です。単に投稿の内容が気に入らないとか、内輪もめにすぎないとか、自社に都合の悪い評価をされたなどといったケースでは、違法性がなく損害賠償が認められないという可能性が高くなります。
それでは、損害賠償請求はどのような流れで行うことになるのでしょうか。損害賠償を請求するためには、加害者の住所・氏名を特定しなければならず、以下の3つの手続きを経る必要があります。
1つ目は、問題のある投稿をした加害者がだれであるかを特定するための手続きです。その第1歩として、サイト管理者であるTikTokの運営会社に対して、問題のある投稿の通信に用いられたIPアドレスの開示を請求します。これも、削除請求と同じく仮処分を申し立てます。
なお、削除請求によって投稿が削除される際に、IPアドレスに関する情報も同時に削除される可能性があります。したがって、削除請求とIPアドレスの開示請求は、同時に行うのが一般的です。なお、裁判所の管轄が同じであれば、1個の手続きで削除と開示の両方を請求することができます。
2つ目は、プロバイダに対して、判明したIPアドレスを使用した方の住所・氏名などを開示するよう求める手続きです。ここでは、仮処分ではなく通常訴訟を利用します。
プロバイダに対する開示請求は、1~2回の口頭弁論で結審するケースが多いものの、そこまでに5か月前後を要します。他方で、プロバイダが保管するIPアドレスなどの記録は、当該書き込みのための通信時点から3か月で消去されるケースが一般的です。つまり、プロバイダによるIPアドレス割り当ての記録は、訴訟の結論が出るまでの間に消去されてしまうおそれがあるということです。
そのため、訴訟を提起する前に、プロバイダに発信者情報の保存を請求しておく必要もあります(プロバイダは、契約者情報の開示には極めて慎重ですが、発信者情報の保存には比較的応じてくれます)。
ここまで行い、相手を特定できたら、法人の場合は信用低下によって実際に受けた損害額、個人の方の場合は慰謝料などについて請求する手続きを行うことになります。なお、損害賠償請求では、損害賠償を行うために必要な情報を集めるための手続きに要した弁護士費用などを請求することが可能です。
TikTokへ投稿された誹謗中傷や業務を妨害する内容、個人情報などを見つけたとき、早期に削除を依頼する必要がありますし、損害賠償請求を見据えた対応が必要となるでしょう。
誹謗中傷などを行う相手に対し、無策で交渉しようとすると、さらなる炎上を引き起こそうとされたり、より問題が大きくなってしまったりする可能性が出てきます。少しでも早く削除してほしいとお考えであればなおさら、弁護士に相談してください。
弁護士に相談・依頼すべき理由は以下の通りです。
他人の投稿を削除したい場合には、自分の投稿のように自由に削除することはできず、削除が実現するまでに時間がかかります。
その一方で、一度TikTokに投稿されたデータは、自分の投稿も他者の投稿も同じように拡散・炎上する可能性があります。
データがインターネット上で拡散・炎上すると、すべての拡散・炎上先それぞれに対して、削除請求などの手続きをとらなければならないこととなり、完全に削除を実現することは、もはや現実的に不可能となってしまいます。
そのため、拡散・炎上が予想される投稿を発見した場合には、拡散・炎上の範囲を最低限に抑えて完全な削除を可能とするために、速やかな対応をとらなければなりません。
また、削除の仮処分から損害賠償請求までの一連の法的手続きを行う場合、早期の対応が必須です。それだけでなく、証拠の確保やプロバイダに対するIPアドレスの保存の請求など、法的手続きを講じる前の適切な事前準備も極めて重要となります。なぜなら、これらの事前準備に不備があれば、せっかく法的手続きをとっても満足する結果を得られない可能性が高くなるためです。
そのため、自社を誹謗中傷する事実無根の投稿をTikTokで見つけたというような場合には、早期に弁護士に相談し対応を依頼することをおすすめします。
以上、問題のある投稿の削除と、加害者に損害賠償を請求するための方法を解説しました。投稿の削除と損害賠償の請求という2つの事項を請求するためには、削除請求・開示請求2回・損害賠償請求といった4つの法的手続きをとらなければならず、それには、専門的な知識は当然のこと、スピードも事前の適切な準備も必要です。
削除請求・発信者情報開示請求・損害賠償請求に要した弁護士費用については、加害者に対する損害賠償請求訴訟で請求することが可能ですし、繰り返しになりますが、インターネット上の問題のある投稿については、スピードが極めて重要ですので、問題のある投稿を見つけた場合には、ためらうことなく速やかに弁護士に相談なさることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。
誹謗中傷や風評被害などのインターネットトラブルでお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。
※記事は公開日時点(2022年12月01日)の法律をもとに執筆しています