弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 削除請求
    法人
    2022年12月15日更新
    GoogleやSNS、掲示板の書き込みを削除依頼する方法について解説

    GoogleやSNS、掲示板の書き込みを削除依頼する方法について解説

    「SNSで自社の誹謗中傷が書かれた投稿がされている」「自社商品に関して、いわれのない悪評が流されている」など、ネット上の書き込みによる被害にお困りのときには、書き込みの削除、書き込み主の特定、損害賠償などの対応を考えましょう。

    ネット上の書き込みを対応せずにそのまま放置してしまえば、企業の価値を損なうなどのネガティブな影響が出てしまう可能性があります。

    本コラムでは、SNSやGoogleなどのネット記事、掲示板で削除したい書き込みがある企業に向けて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が対応方法を解説します。書き込みした人を特定する開示請求や、誹謗中傷にあたる書き込みについても紹介するので、削除依頼を検討中の方は、ぜひご一読ください。
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1、書き込みを削除してほしいときに知っておくべき削除依頼と開示請求

ネット上の書き込みに対応するために、まずは削除依頼と開示請求の理解を深めましょう。以下では、削除依頼と開示請求とはどういうものなのか、また、誹謗中傷などの書き込みによる刑事罰について解説します。

  1. (1)削除依頼・開示請求とは

    削除依頼とは、誹謗中傷や名誉毀損などを内容とする書き込みを削除するために、サイト管理人や運営者、弁護士などに対応依頼をすることです。
    違法な書き込みなどを消したいと考えるときには、炎上や拡散などによる風評被害を防ぐために、まずは削除依頼を行うことが一般的な方法になります。

    ただし、削除依頼はあくまでも当該書き込みを削除するだけのもので、それ以上の対応を期待することはできません。
    たとえば、書き込みによって企業側に被害が発生しており、相手に対する法的措置を取りたいという場合には、削除依頼のほかに、開示請求(発信者情報開示請求)の手続きを取る必要があります。
    また、削除された後に改めて同じ内容の書き込みがされてしまう可能性もあります。

    開示請求とは、投稿を行った書き込み主が利用しているプロバイダ(ネット回線をつなげる接続事業者)から、書き込み主の氏名や住所などの開示を受けて、書き込んだ人は誰なのか、身元を特定することをいいます。
    開示請求などで書き込み主を特定することができれば、発生した被害についての民事責任を問う損害賠償請求をすることが可能です。

    また、開示請求に関しては、令和4年10月1日にプロバイダ責任制限法の改正が行われ、新たな裁判手続きの創設・開示請求の対象となる範囲の拡大が実施されました。

    従来は、開示請求のために2度の裁判手続きを取る必要がありましたが、改正法では、ひとつの裁判手続きだけで開示請求を行えるようになります。また新たに、定められた要件を満たすことでログイン・ログアウト時のアカウント情報などの開示を受けることも可能になりました。

  2. (2)誹謗中傷の書き込みは名誉毀損罪や侮辱罪などの刑事罰にあたる

    他人を誹謗中傷するような書き込みは、名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪などの犯罪に該当する可能性があります。また、被害者が企業などの場合には、威力業務妨害罪・偽計業務妨害罪・信用毀損罪などの成立も考えられます。

    犯罪に該当する可能性のある書き込みを発見した場合には、証拠を確保したうえで、被害届の提出や告訴などの刑事上の手続きを取ることも検討すると良いでしょう。

    該当する刑事罰の種類にもよりますが、加害者である書き込み主に対し、懲役や禁錮、拘留、科料に処することが可能です。書き込み主が判明していない場合には、開示請求をするところから始めましょう

  3. (3)マイナスな書き込みを放置しておくことのデメリット

    企業にとってマイナスな書き込みを発見した場合には、直ちに、削除依頼や開示請求などの検討に入るべきです。

    その理由は、マイナスな投稿に対して何もせずにそのまま放置していると、SNSやブログ記事、掲示板などの場合には瞬く間に拡散・炎上してしまい、風評被害による企業への影響が発生するケースが考えられるからです。

    たとえば、以下のような影響が起こり得ます。

    • 自社商品に対するマイナスな投稿により、商品の購入者が減少する
    • 企業の採用活動において、ネガティブな投稿を見た応募者が辞退したり、面接を受けなくなったりする
    • ニュースや報道に取り上げられ、企業イメージが低下する


    Google検索のサジェスト(検索候補としての関連ワードが表示される機能)についても、企業のことを誹謗中傷するような語句が表示される場合には、ネット上でネガティブな書き込みがされている可能性があるといえるでしょう。

    このような場合には、書き込み元を探して削除依頼を行うだけでなく、Googleに対しても、サジェスト表示の削除依頼を行う必要があり、取るべき手続きが多くなります。

    マイナスな投稿に関しては、認識できていないところで良くない話が広まっている危険性がある点に留意してください。

2、削除依頼をするための具体的な4つの方法

実際に投稿の削除依頼をする場合には、4つの方法で対応を進めていくことが可能です。
以下、ひとつずつ紹介します。

  1. (1)サイト管理者や運営元への削除依頼

    ひとつ目に、サイト管理者や運営元に対して削除を依頼する方法が挙げられます。
    たとえば、TwitterであればTwitter社に、ブログや掲示板であれば当該サイトの管理人に、お問い合わせフォームや削除依頼掲示板などを通して、資料や説明とともに書き込みの削除を依頼するという流れです。

    問い合わせを行った後にサイト管理者などが応じてくれさえすれば、これがもっとも早く削除を実現できる方法であるといえるでしょう。

    削除に応じてもらえるかどうかは、当該書き込みが、サイトポリシーや利用規約で定められている違反・禁止事項に当てはまるかどうかで決められることとなります。これは、サイト管理者の側で判断することとなりますので、被害者が期待したとおりの結果にならないことも少なくありません。

    この方法は、個人で行えることはもちろん、弁護士への依頼により、弁護士から管理者や運営元などへの削除依頼をしてもらうことも可能です。弁護士からの依頼ということで、書き込みに対してより迅速な対応をしてくれることが期待できます。

  2. (2)送信防止措置の申請

    サイト管理者などが書き込みの削除に応じてくれない場合や、そもそもお問い合わせフォームが設置されていない場合などには、一段階強い方法として、「テレコムサービス協会ガイドライン書式(侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書)」をサイト管理人やプロバイダに郵送するという方法が考えられます。略して、「テレサ書式」とも呼ばれる方法です。

    これは、プロバイダ責任制限法に基づく請求であり、書き込み主に通知(意見照会)がなされることもあります。そうすると、今後の書き込みをけん制して再発を防止する効果が期待できるだけでなく、削除を実現できる可能性が高いといえるでしょう。

    しかし、裁判手続きとは異なり、あくまでも任意の削除を依頼するものに過ぎず、強制することはできません。

    また、この書式の作成には法的知識が必要だったり、難解で困難な事項も多かったりします。当然ながら、書式は正確に作成しなければ適切な結果を得られません。そのため、書式作成の段階から弁護士の関与が必要となることが多いのも特徴です。

  3. (3)法的措置

    上記2つの方法をとっても結果が出ないというような場合は、法的措置による強制的な削除を検討しましょう。

    法的措置としては、民事保全法第23条2項に基づき、裁判所を利用した「削除仮処分の申し立て」を行います。仮処分を申し立てれば、1か月程度で書き込み削除に対する結論が出て、削除を実現することが可能です。

    仮処分命令が発令されれば、これに従って削除が行われるケースがほとんどで、削除された記事が再び復活するということもほぼありません

    これらの手続きは弁護士に依頼することで、弁護士が代理人として行うことができます。法的知識を必要とするため、法的措置を取る場合には、弁護士に相談することがおすすめです。

  4. (4)技術的対応

    最後は、これまでの方法とは異なる観点からの方法をご紹介します。それは、逆SEOなどの技術的な対応です。

    逆SEOとは、名前のとおり、意図的に特定のウェブサイトの検索結果を下位にすること、もしくは、サジェストで表示されるネガティブな関連ワードを表示されないようにする方法です。

    逆SEOは、他人のウェブサイトの検索結果が下位に表示されるようにする行為ですので、トラブルやクレームの原因にもなりかねません。また、関連ワードや記事が上位に出てくるたびに対応することになるため、根本的な解決にはなっていないという点に注意が必要です。

    この方法を取る場合には、事前に十分検討したうえで行う必要があるといえるでしょう。

3、削除依頼のときに注意したい5つのこと

これまでの内容を踏まえて、削除依頼のときに注意すべき5つのポイントをお伝えします。

<要チェック! 削除依頼前に確認すべき5つのポイント>
  • ① 損害賠償などの法的措置を取るなら、削除依頼のほかに、開示請求をして発信者の身元を特定する必要がある
  • ② サイト管理者などに削除を依頼することもできるが、利用規約などで削除対象が定められていることが多いため、規約の確認が必要(必ず削除してもらえるとは限らない)
  • ③ TwitterなどのSNSでは、個人DMなどで発信者に直接削除を依頼することも可能だが、連絡内容を晒される・炎上するなどのケースもあるため、慎重に行うべきである
  • ④ 逆SEOなどの技術的対応は、一時的な措置であり、継続的な対応が求められるケースがある
  • ⑤ 削除代行業者を利用するときは、非弁行為にあたるリスクがあるため、十分に調査したうえで判断する必要がある


上記のチェックリストを確認したら、実際に削除などの依頼に向けて行動に移していきましょう。開示請求を行うか、削除代行業者を利用するか、それとも逆SEOなどの技術対応に頼るのか、削除依頼に関してどう対応を進めていくかは個人の考えだけでなくその時の状況によります
もし方針の選択に不安があるようであれば、弁護士に相談することがおすすめです。

4、削除依頼を弁護士に相談するべき理由

以上、違法な書き込みやマイナスな書き込みへの対応方法をお伝えしてきました。実際に、書き込みに関する削除依頼をするとなったときには、弁護士へ相談することがおすすめです。

  1. (1)個人で違法な書き込みかどうかの判断をすることが困難

    たとえば、企業への嫌がらせや営業妨害のようないわれのない書き込みがなされれば、会社への影響などを考えて削除をしたいと思うのが自然でしょう。しかし、それが権利利益を侵害するものでなければ、違法な書き込みには該当せず、対応が困難となります。

    どのような書き込みが違法に侵害している内容となるのかということに関しては、過去の判例などを考慮して判断することになります。

    そのため、個人で「違法な書き込みである」と判断するのは難しく、ITや削除請求に詳しい弁護士への相談をすることが推奨されます。

  2. (2)迅速な対応による被害の最小限化

    違法な書き込みへの対応には、スピードが求められます。
    なぜならば、該当の書き込みを見た人が増えれば増えるほど、被害は増大すると考えられるからです。

    前述のとおり、「企業に関するいわれのない書き込みを見た人が、その企業の商品を購入しないようにする」というようなケースも出てくるでしょう。このような消費者の数が増えれば増えるほど、書き込みによる損害が発生していくといえます。

    削除依頼は書き込み先ごとに対応を行う必要がありますが、削除依頼までに時間がかかり、その間に書き込みが拡散してしまえば、すべてに対して削除依頼を行うのが不可能となるリスクが生じてしまうでしょう。

    そのため、削除したい書き込みがあった際は、迅速に対応を進めるためにも、直ちに弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

ネット上で企業に関する誹謗中傷などの書き込みやネガティブな投稿を見つけたときには、今後の悪影響の発生を考えて、削除依頼を検討する必要があるでしょう。

実際に書き込みによる被害が発生しており、書き込み主に対する損害賠償も請求する場合には、削除依頼に加えて、開示請求も行わなければなりません。
また、名誉毀損罪や侮辱罪にあたるなどとして告訴することも考えられます。

削除依頼の手続きは、ご紹介したように専門的な知識が求められることもあります。拡散や炎上による悪影響を防ぐためにも迅速に対応することがおすすめです。

悪質な書き込みや誹謗中傷などにお悩みがある企業担当者さまは、削除依頼や開示請求などに詳しいベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2022年12月15日)の法律をもとに執筆しています

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