弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 削除請求
    個人
    2023年03月09日更新
    爆サイに対する削除依頼! かかる時間と費用を成功例から解説

    爆サイに対する削除依頼! かかる時間と費用を成功例から解説

    「爆サイ」は令和4年11月時点で総投稿数9億件を超える地域特化型の掲示板サイトです。日本国内15エリアと海外にわけて、ローカルニュースや地域ごとの話題で盛り上がることができるコミュニティとして根強い人気をもっています。しかし、誹謗中傷や個人情報の晒しといったトラブルも後を絶ちません。

    爆サイに投稿されたコメントは、爆サイ側のルールに従って、あるいは法的手段によって削除できる可能性があります。ただし、要求通りにすぐ削除されるとは限らず、削除そのものが叶わないケースもあることも心得ておかなければなりません。

    また、自分で手続きを進めるのが難しい場合は弁護士によるサポートが可能です。本コラムでは「爆サイ」に対する削除依頼について、成功例をもとに削除までにかかる時間や費用について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、爆サイへの削除依頼方法と成功例からみる、削除にかかる時間

「爆サイ」に対して削除依頼するルートは、大きくわけると「自分で申請する方法」と「弁護士に依頼する方法」の2つにわかれます。

どのような申請をすれば削除してもらえるのか、申請から削除の実現までにはどのくらいの時間がかかるのかについて、知っておきましょう。

  1. (1)爆サイへの削除依頼の方法

    爆サイに投稿されたコメントや、一連のコメントをひとまとめに表示する「スレッド」の削除を依頼する方法は次のとおりです。


    • 自分で申請する場合
      爆サイ内の「削除依頼フォーム」から申請する
    • 弁護士に依頼する場合
      弁護士が爆サイ側との任意交渉を進める、または爆サイを相手に裁判所の「仮処分」を申し立てる


    どちらの方法を選択するのかによって、削除を実現できる可能性や削除できるまでにかかる時間が異なります。より迅速・確実に削除するには弁護士への依頼をおすすめしますが、その際は弁護士費用の発生が避けられません。

    まずは「優先すべきは削除の実現か、それともコストか?」を自分自身のなかではっきりと決めておきましょう

  2. (2)自分で申請した場合の流れとかかる時間

    爆サイ内の各スレッドを一番下までスクロールすると、スレッドのURLの下に「削除依頼」のタブが置かれています。

    ログイン後に削除依頼のタブをクリックすると「削除依頼フォーム」が開くので、スレッドNo、スレッドタイトル、レス番号、通報区分、名前、メールアドレス、削除依頼の理由を入力したうえで送信すれば、申請完了です。

    申請内容に問題がなければ、3日前後を目安にコメント・スレッドが削除されます。ただし、必要事項を満たしていない場合は削除されないうえに、その確認にもおおむね3日前後の時間が必要です。

    申請内容の修正や資料の追加などの対応を考慮すると、削除が実現するには最短で3日前後、場合によっては数週間の時間がかかることになります。

  3. (3)弁護士に依頼した場合の流れとかかる時間

    削除依頼の対応を弁護士にまかせた場合は、さらに2つの選択肢があります。

    まずは「任意交渉」という方法です。任意交渉とは、その名のとおり、弁護士がサイト運営者側に連絡をとって削除に関する話し合いを進める方法で、裁判所の手続きを必要としません。任意交渉を行う場合、通常は、弁護士名義で削除を要請する文書を作成し、要請内容を証明する各種の資料を添えて送付するという方法で進められます。

    他方、爆サイの場合は、弁護士などの法務関係者が申請する際に利用できる専用の「削除依頼フォーム」が用意されています。したがって、ほかの掲示板サイトと比べると申請がスムーズです。

    弁護士が正式に受任した後、早ければ3日以内、内容が難しかったり削除依頼が殺到しており対応が遅れたりといったケースでも2~4週間前後で削除される可能性が高いでしょう。ベリーベスト法律事務所の弁護士が実際に受任した案件でも、多くが3日程度で削除されています。

    もうひとつの方法が、裁判所に対して削除の「仮処分」を申し立てる方法です。この方法は、爆サイ側が任意交渉による削除に応じてくれなかった場合に選択することになると考えておけばよいでしょう。「裁判所の手続き」と聞くと面倒に感じて気が引けるかもしれませんが、あなたにとって必ず削除すべき投稿であれば、検討する必要があります。

    仮処分とは、訴訟を提起して争っていると不利益な状態が続く時間が長引いてしまう場合に、勝訴したときと同様の状態を迅速に確保できる手続きです。あくまでも正式な訴訟で勝訴するまでの「仮」の処分ですが、裁判所から命令を受けるとほとんどのサイトが削除に応じるので、改めて正式な訴訟を起こす必要はありません。

    正式な訴訟を起こすと数か月の時間がかかりますが、仮処分申立てを利用すれば1~2か月で削除が実現します。任意交渉と比べ、より法的な対応が必要となり一定の時間がかかりますが、「爆サイが削除に応じなかった投稿であっても、より確実に削除を実現したい」と考えるケースにおいて、有効な手段です

2、削除を依頼した場合の弁護士費用

爆サイに限らず、弁護士に削除を依頼した場合は費用が発生します。依頼を決断する前にどのくらいの費用がかかるのかを確認しておきましょう。

ただし、本章で紹介するのは一般的な金額であり、案件の難易度によって大きく異なります。また、弁護士への法律相談には30分~1時間につき5,000円程度の相談料がかかることがあるほか、実際に依頼を遂行する際は事務手数料や諸雑費の負担も発生することも覚えておきましょう。

なお、ベリーベスト法律事務所であれば、初回相談料は60分まで無料です。まずは削除が可能な投稿かどうかや費用感を含め、お気軽にご相談ください。

  1. (1)ひとつの投稿削除を依頼した場合

    特定のひとつのコメント投稿について削除を依頼した場合の弁護士費用は5万5,000円程度が相場です。

    任意交渉で削除に応じてもらえた場合は比較的に安価で済みますが、裁判所に仮処分を申し立てる必要がある場合は案件の難易度が飛躍的に上がってしまいます。裁判所での手続きが伴う場合は、50万円前後の費用が発生するケースが一般的です。

  2. (2)スレッドごと削除を依頼した場合

    スレッド丸ごとの削除を依頼した場合の弁護士費用は、すでに書きこまれている件数や内容、交渉のみで削除できるか否かなどによって大きく異なります。念のため、依頼をしたい弁護士に見積もりを依頼したほうがよいでしょう。

    ひとつの話題が多くのユーザーに注目されてしまうと、特定のコメントを削除するだけでは誹謗中傷が止まらなくなり、スレッド丸ごとの削除を求めざるを得ない状況になることがあります。

    しかし、スレッド丸ごとの削除となると、それ自体は問題のないコメント投稿も含めて削除するため、爆サイ側も対応に慎重です。スレッド丸ごとの削除が必要であることを証明しなければならないので、削除の難易度も高くなり、弁護士費用も高額になります。

3、自分で申請する際は気を付けたい、爆サイへの削除依頼の失敗例3つ

爆サイへの削除依頼は、必ず弁護士に依頼しないといけないというものではありません。費用を節約したいと考えるなら、自分での申請も可能です。

自分で申請すれば弁護士費用はかからないし、爆サイ側から削除費用や手数料などの請求も受けません。ただし、自分で申請する際はすべての作業や対応を自分でこなす必要があります。

また、ここで挙げるようなケースでは削除に応じてもらえなかったり、削除までに時間がかかってしまったりする可能性があるので注意が必要です。

  1. (1)爆サイ側のルールに該当していなかった

    自分で削除依頼をして失敗するケースでもっとも多いのが、爆サイ側が設けた削除のルールに該当していなかったというものです。

    爆サイの利用規約には、第3条の「禁止事項」において、他人の名誉や社会的信用、プライバシーなどの権利を侵す投稿を禁止しています。これらの投稿は削除の対象ですが、一方で厳しい意見や正当な批判の域を超えない内容であれば、当事者が不快に感じたり不利が生じたりしても削除対象にはなりません。

    爆サイをはじめ、ネット掲示板は自由に意見や主張を交わせる場であり、日本国憲法が保障する「言論の自由」の適用を受けます。ネット掲示板の運営者は不当な権利侵害にあたらないよう細心の注意を払っているため、明らかな権利侵害が発生していないと削除には応じてくれません。

    また、同じスレッド内に複数の問題となる投稿があった場合でも、レス番号ごとに削除依頼を申請する必要があります同時に複数の投稿については申請できないので注意しましょう

  2. (2)削除のために必要な情報を提示できていなかった

    爆サイに対して削除依頼を申請する際は、スレッドNo・スレッドタイトル・レス番号などの必要事項を明示しなければなりません。情報が不足していると、運営者も「どの部分が問題なのか」を特定できないので、削除に応じてくれないか、あるいは確認のための連絡が必要となって削除が遅れてしまいます。

    もちろん、匿名での削除依頼も不可です。爆サイでは「荒らしの報告」という機能もありますが、こちらはスレッドの乱立や意味のない文字の羅列、空白など、通常のレス進行を妨げる投稿に対して利用できる機能です。

    匿名通報も可能ですが、削除依頼の目的で利用すると書き込み禁止措置を受けるおそれがあるので注意しましょう。

  3. (3)爆サイ側から業務妨害と判断されてしまった

    爆サイでは、72時間以内における同一内容の削除依頼や、威圧的な削除依頼を「業務妨害行為」として禁止しています。

    これらの行為があると、爆サイ側の禁止リストに登録されてしまい、その後の削除依頼には応じてもらえなくなる可能性があるのです。早く削除してもらいたいというお気持ちは理解できますが、一度削除依頼を申請したら最低でも3日間は静観しておきましょう

4、加害者に損害賠償請求したいときの手順

爆サイにおける誹謗中傷や個人情報の晒しといった行為は、攻撃対象となった人に対してさまざまな不利益をもたらしてしまいます。精神的苦痛だけでなく、仕事への影響や個人・法人のブランド力低下などの損害を被ってしまった場合は、賠償を求めたいと考えるのが当然です。

では、加害者に対して損害賠償を請求する際は、どのような点に注目すればよいのでしょうか?

  1. (1)いつの投稿なのかを確認する

    なによりもまず確認するべきは、問題となる投稿が「いつ」のものなのかという点です。

    爆サイには、過去のものも含めて莫大なスレッド・コメントが公開されていますが、加害者を特定するために必要な「ログ」の保存には限りがあります。詳細な保存期限は公開されていませんが、一般的に投稿から3か月を過ぎたあたりからログの削除が始まると考えたほうがよいでしょう。

    爆サイ内で公開されていても時間が経つと加害者を特定するための情報が失われてしまうので、一定の期間が過ぎたら相手を特定することはできなくなります。被害に気づいたら素早くアクションを起こさなければなりません。

  2. (2)損害賠償を請求するべきなのかを慎重に検討する

    法律の考え方では、他人から受けた損害について賠償を求めるのは当然の権利です。

    損害賠償請求といえば、数百万円、数千万円といった巨額の事例ばかりが目立つので、爆サイで誹謗中傷などを受けたら「自分にも高額な賠償金を請求できるかもしれない」と考える方がいるかもしれません。しかし、実際には、芸能人やスポーツ選手などの有名人、大手の企業でもなければ、期待するほどの金額には至らないケースが多数です。

    高額を請求しても、裁判所が認める金額が極めて低く、加害者の特定や交渉・訴訟にかけた時間と手間に照らすと満足できないという結果に陥りやすいでしょう。アクションを起こす前に、どの程度の賠償が期待できるのかをしっかりと予測しておくことが大切です。事前に弁護士に相談することを強くおすすめします。

  3. (3)法的手続きによる加害者の特定が必要

    損害賠償を請求するには、加害者がどこに住んでいる誰なのかを特定する必要があります。もしあなたに心当たりがあったとしても、絶対にその方が書き込んだという証拠が必要となります。

    しかし、爆サイ側はユーザーの個人情報を詳しく把握していないうえに、特定につながる断片的な情報でも個人情報として開示には応じてくれません。そこで、加害者を特定する際は「発信者情報開示請求」もしくは「発信者情報開示命令」と呼ばれる法的手続きをとる必要があります

    発信者情報開示請求や発信者情報開示命令とは、裁判所への申し立てによって投稿者を特定する手続きです。まず、爆サイ運営者に対してログを開示するよう請求し、そこで得られたIPアドレスなどの情報から加害者が利用しているインターネット回線を特定したうえで、インターネットプロバイダに対して契約者情報の開示を求めます。ただし、サイト側が投稿に対する情報を保管していないケースがあるなどの問題点があることを知っておきましょう。

    なお、発信者情報開示命令は令和4年10月1日に施行された「改正プロバイダ責任制限法」より利用できるようになった新制度です。裁判手続きを簡潔化することで早期開示を実現できると期待されていますが、実際の状況によっては従来の制度である発信者情報開示請求を使ったほうが早く開示できる可能性があります。どのように進めるべきかは、弁護士に相談したほうがよいでしょう。

    従来通りの手続きである発信者情報開示請求はもちろん、新設された発信者情報開示命令のいずれも、個人で進めることは可能です。しかし、裁判所への申し立てには客観的な資料の提出や訴訟対応といった煩雑な作業が多く、個人での対応には不安が残るでしょう。

    損害賠償請求を見据えるのであれば、弁護士に一任したほうが安全といえます。まずはお気軽にご相談ください。

5、まとめ

「爆サイ」で誹謗中傷や個人情報の晒しなどの被害を受けてしまうと、実生活においてもさまざまな不利益が生じてしまうおそれがあります。サイト内の削除依頼フォームを利用すれば自分でも申請可能ですが、爆サイ側の削除ルールに従っていなかったり、何度も申請して業務妨害として扱われてしまったりすることもあるので注意が必要です

確実かつ安全に削除を実現するには、弁護士への依頼を強くおすすめします。爆サイへ書き込まれた攻撃的なコメントの削除や加害者の特定は、インターネットトラブルの解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所におまかせください。削除専門チームが一丸となって、あなたのネットトラブルに対応します。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2023年03月09日)の法律をもとに執筆しています

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