弁護士コラム

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監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
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    個人
    2023年03月23日更新
    PayPayアプリのレビューは削除できない? 事業者はどう対応すべきか

    PayPayアプリのレビューは削除できない? 事業者はどう対応すべきか

    バーコード決済の代表格であるPayPayには、ユーザー(利用者・顧客)が自由にレビューを投稿できる、レビュー(ストア評価)機能が付属しています。

    店舗にPayPay決済を導入した後で、自店舗のレビューを見てみたところ、評判を落としかねない低評価を付ける書き込みがなされていた……このようなケースでお悩みではないでしょうか。

    本コラムでは、レビューを削除したいときにどのように対応すればよいか、そもそもレビューしてほしくないというケースも含め、名誉回復を目指すための方法についてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、PayPayのレビュー(ストア評価)が削除できない理由

PayPayのレビューは、決済完了画面、アプリ内の「近くのお店」の地図、「取引履歴」の明細などから投稿することができ、投稿したレビューは、公開されてユーザーなら誰でも見ることができるようになります。

しかし、一度投稿されたレビューは、店舗側はもちろんのこと、投稿したユーザーであっても、原則として削除することができません

PayPayがレビューを削除できない仕様としている理由については、運営が明確に示しているわけではありませんが、次のような理由によるものであると考えられます。

  1. (1)そもそもアプリ運営側による承認制を取っている

    PayPayの運営によれば、投稿されたレビューはすべて審査を行い、投稿内容の反映までには時間がかかり、「サービス利用規約」に違反するレビューは非公開等の措置が取られるとされています。

    このように、レビュー公開前の審査によって、規約に違反するなど不適切な投稿を排除する承認制が取られているということが、投稿後の削除・編集を認めない運用の理由の1つであると考えられます。

  2. (2)表示名の設定が必須になっている

    また、レビューには、ユーザーの「表示名」が表示される仕様となっており、「表示名」が未設定(匿名)の場合、レビューの投稿ができない仕様とされています。

    公開されるレビューには必ずユーザー名を表示する運用によって、匿名による無責任な投稿を未然に防止しているということができます。

    これらのほかにも、1店舗に対するレビューの投稿は1回だけとされていますので、無責任・無秩序な投稿がなされるおそれが小さいということも、理由として挙げることができるでしょう。

  3. (3)承認時の基準となっている規約

    PayPayでは、何を基準にレビューの審査が行われているのかは明確に示されていません。しかし、ユーザー向け・加盟店向けの規約には、次のような投稿は削除の対象となると定められています。

    利用者向け「PayPayサービス利用規約」
    • 「さくら」的な行為等、故意に商品やサービスを優良と誤認させるような内容を投稿などする行為
    • 競合する商品やサービスの信頼を低下させる目的で中傷する内容を投稿などする行為

    加盟店向け「PayPay加盟店規約」
    • ユーザーは、加盟店またはその商品等について感想、評価、画像その他の情報を投稿することができます。
    • 当社は、当社の判断により、いつでも前項の投稿その他のPayPay内における加盟店コンテンツの全部または一部を削除または変更することができるものとし、これにより加盟店に損害が生じた場合であっても、当該損害につき一切責任を負わないものとします。
  4. (4)どうしても削除したい投稿がある場合は?

    PayPayで一度投稿されたレビューは削除できませんし、そもそも不適切な投稿は公開前の審査で排除されるようになっています。しかし、店舗側としては、事実とまったく異なるなどの理由でどうしても削除したいと考える投稿が出てくる可能性があることは否定できません。その場合には、「お問い合わせ」から運営に削除を依頼することとなるでしょう。

    しかし、不当な評価を受けて納得できないという場合には、削除することができないと明確に記載されていますので、この理由で削除を依頼しても応じてもらうことはできません。

    運営で削除をするケースとして挙げられているのは次のようなものです。

    以下のような事例に該当しない場合には、削除してもらうことはできないと考えておく必要があるといえます。

    • レビューに個人情報が含まれている場合
    • よい評価を付けるつもりが、間違って悪い評価にしてしまった場合

2、自店舗のレビューを確認する方法

投稿後のレビューは削除や編集ができませんから、店舗側としては、定期的に自店舗に対するレビューを確認し、それを踏まえた対応をすることが適切であるといえます。

自店舗へのレビューは、次の方法で確認することが可能です。

  • 「PayPay for Business」のトップページを開く
  • 対象店舗の「マイストア」ページに移動する
  • メニューの中から「分析」をクリックする
  • 「総合評価」の「詳しく見る」をクリックする
  • 表示されたレビューを確認する


個別のレビューに変身したい場合には、各レビューの中に表示される「返信する」をクリックすれば、返信内容を入力する画面が表示されます。

3、レビューを付けられないようにする方法は?

レビューを確認するのは面倒だ、そもそも自店舗にはレビューを投稿できないようにしたいなど、レビューの対象外にしたいと考える場合もあると思われます。

本章では、レビューの対象外とすることができるかどうか、できる場合にはどのような方法ですればよいのかなどをお伝えします。

  1. (1)レビューの非公開はできない

    まず、PayPayアプリ内で自店舗を掲載してPRはするけれども、レビューだけを対象外とするということは、できません。

    PayPayアプリ内に店舗情報を掲載すれば、必ずレビューの対象となり、投稿されたレビューは、ユーザー全員向けに公開されることとなります。

  2. (2)「近くのお店」(地図)から自分の店舗を非表示にする方法

    どうしてもレビューを投稿されたくないという場合には、PayPayアプリのユーザーが店舗検索に使う「近くのお店」(地図)への店舗表示を非表示にする方法が考えられます。

    「近くのお店」(地図)への店舗表示をやめるには、「加盟店様・パートナー様向け問い合わせフォーム」から運営に連絡すれば、対応を進めてもらうことができます。

  3. (3)非公開にするメリットとデメリット

    レビューの対象外とすれば、アプリ内の店舗検索の候補からも除外され非公開となります。アプリ内の店舗検索に表示されないということになるため、メリットだけでなく大きなデメリットもある可能性があることは否定できません。


    非公開とするメリット
    • 事実に反する投稿や不都合な投稿によって評価を落とされる可能性が低くなる
    • 投稿の内容を確認する手間や負担がかからない
    • 店舗運営に専念できる

    非公開とするデメリット
    • 店舗検索候補から除外され、PR効果が薄まる
    • 顧客の取りこぼしが懸念される
    • 正当な意見を聞く機会もなくなってしまう

4、レビューによる低評価や名誉回復を目指すためにできること

投稿されたレビューは、店舗だけでなく、利用者であっても削除や変更は不可能です。

そのため、レビューで低評価を付けられないためや、すでに低評価のレビューがついてしまった不名誉を回復するためには、高評価/低評価いずれの意見も聞き入れ、反映した対策を講じることが重要といえます。

  1. (1)付いたレビューに返信する

    まずは、投稿されたレビューに対しては、どの点が高評価/低評価の具体的な理由となっているのかを確認し、真摯に返信するということが挙げられます。

    高評価を付けてくれたレビューには感謝するとともに、高評価を受けた点を今後も維持するという姿勢が重要です。

    一方、低評価を受けたレビューであっても、改善すべき点を具体的に指摘してくれている場合には、気付かせてもらうことができたと考え、せっかく利用してもらったのに期待に沿えなかったことを謝罪するという心構えが必要といえるでしょう。

    このような考えで各レビューに臨み、それを言葉にして丁寧に返信することで、高評価につながるものであると考えられます。

  2. (2)店舗対応を適切に行う

    日々の店舗対応においても、利用者の一人一人がレビューを投稿する可能性があると考えて運営することが大切です。

    その上で、レビューで書かれた正当な意見も取り入れていけば、顧客からの確かな信頼や評価の構築につながることが期待できるといえるでしょう。

5、まとめ

PayPayアプリで投稿されたレビューは、店舗側もユーザー自身も削除や編集ができません。その一方で、承認制やユーザー名の表示などにより、投稿の適切さが担保されています。
「近くのお店」(地図)で非表示にすれば、レビューの対象外にすることができますが、その代わり、PR効果が薄まったり、正当な意見を聞く機会も失われてしまったりする点は、大きなデメリットとなり得ます。

具体的な理由の示されているレビューについては、それを真摯に受け止め、実際の店舗運営に反映させていくという姿勢を持つということが、今後の事業に対する信頼の回復には欠かせない要素であるといえるでしょう。ベリーベスト法律事務所では、事業者の業務を妨害したり信頼や名誉を毀損したりする投稿への対応に長けた弁護士が中心とした削除チームを結成し、お客さまの名誉回復をサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2023年03月23日)の法律をもとに執筆しています

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