削除依頼・投稿者の特定
5ちゃんねるや2ちゃんねるなどへの
悪質な書き込み削除のご相談は弁護士へ
弁護士コラム
グーグルマップ上で最大限までズームインすると、対応エリアでは「ストリートビュー」に切り替わります。サービス開始当初は、大都市圏だけの対応でしたが、対応エリアは順次拡大しており、現在では撮影車が走行できる限り、住宅街でも対応エリアになっている場所が増えています。
道路に面する住宅では、無断でストリートビューに自宅が写っていたり、なかには表札や車、庭やベランダなどにいる自分や家族の容貌などが写っていたりするケースもあるでしょう。
プライバシー保護や犯罪被害の予防などの観点から、削除や非表示を希望した場合、Google社は応じてくれるのでしょうか?
ストリートビューの右下にある「問題の報告」をクリックすると「不適切なストリートビューを報告」というページが表示されます。自宅が写っている場合は、このページから、画像を報告する理由を「自宅」と選択すれば申請完了です。自宅のほかにも、次の理由でリクエストを送信できます。
ただし、この機能からGoogle社へと申請できるのは「ぼかし」のリクエストだけで、ストリートビューから完全に削除されるわけではありません。
しかし、「ぼかし」のリクエストを送信したからといって、必ずぼかし加工が入るわけではなく、リクエストの内容をGoogle社が確認したうえで、加工が必要かどうか判断されます。Google社が「ぼかし加工の必要がない」と判断した場合は、何の対応も得られないという点は知っておきましょう。
なお、リクエストを送信する際は、フォーム内にメールアドレスを入力する必要があります。
ぼかし加工の要否を判断するうえで追加情報が必要になった場合や調査状況を知らせるための連絡手段になるので、連絡を取りやすいメールアドレスを設定しておきましょう。
メールアドレスの設定が正しくないと、追加情報があればぼかし加工を入れられるのに、連絡がつかないためリクエストを拒否されたといった事態になりかねません。
グーグルマップのストリートビューは、出張や観光などで初めて行く場所を事前に確認するにはとても便利な機能です。
日本だけでなく世界中の都市の情報を見ることができるので、興味本位で使うだけでも楽しめるでしょう。
しかし、機材を搭載した車を走らせて景色を撮影するという方法を考えれば、当然、道路に面する住宅や店舗、すれちがう車、歩行者のすべてに撮影許可を受けることなど不可能です。無断で撮影する行為は、法的に問題ないのでしょうか?
ストリートビューには、肖像権やプライバシー権の侵害にあたるのではないかという意見が少なくありません。
肖像権とは、本人の許可なく自分の容姿・容貌を撮影されたり、公表されたりしないという権利で、これは有名人や著名人だけでなく、一般の人にも平等に認められています。
プライバシー権とは、個人の私生活や公開されたくない事柄など、公開されていない情報をみだりに公開されない権利です。プライバシーにあたる情報には、氏名・住所・電話番号・職業・年収なども含まれますが、人の外見もこれに含まれると解するのが一般的なので、肖像権はプライバシー権の一部と考えられます。
ストリートビューには、沿道を歩く人や自宅から出入りしようしている人、庭先にいる人、窓際に立っている人など、さまざまな人の姿が映っていますが、これらは基本的に無許可で撮影されたものです。このように考えた場合、撮影行為やストリートビューで公開する行為は肖像権・プライバシー権の侵害にあたるといえるでしょう。
しかし、ストリートビューの撮影や公開する行為が直ちにすべて違法になるとはいえません。
肖像権やプライバシー権にはある程度を許容すべきという「受忍限度」という考え方があります。
無許可での撮影とはいえ、風景の一部として、個人を特定できない程度で写っているだけだったり、周囲に元々多くの人がいる状況で「見られたくない」という意思がそもそも否定されていたりすれば、肖像権・プライバシー権の侵害とは認められにくいでしょう。
ストリートビューの撮影・公開は、直ちに違法になるわけではありませんが、撮影方法によっては違法となる可能性があることも覚えておきましょう。
ストリートビューの撮影・公開がある程度許容されているのは、車を走行させて公道から見える風景を撮影したものを公表しているからです。そのため、立ち入り禁止の意思が表示されている私有地や私道に無断で立ち入って撮影していた場合は、刑法の住居侵入罪や建造物侵入罪が成立する余地があります。
しかし、Google社は「公道からに限る」という方針で撮影を進めているので、私有地や私道に立ち入って撮影されるケースはまれでしょう。
Google社を相手にプライバシー権侵害で損害賠償請求を訴えた事例を紹介します。
本件は、居住していたアパートがストリートビューとして撮影され、その画像には下着を含む洗濯物が写りこんでいたという事例です。
アパートの住人は、従前から精神神経科で受診していた経歴がありましたが、自宅のベランダがストリートビューで公開されたことで持病が悪化してしまいます。撮影・公開が原因で精神的苦痛を感じたこと、通院や転居を余儀なくされたことなどを理由に、Google社の子会社である日本法人を訴えました。
本件について裁判所は、次のような理由で訴えを退けました。
第一審の地方裁判所で訴えを退けられた住人は、高等裁判所への控訴、最高裁判所への上告で争いましたが、いずれも棄却されました。
ただし、これは「ストリートビューは適法だ」ということを認定した事例になるわけではありません。
裁判所の判断に照らすと、公道に近い住宅である、ベランダに干している物が鮮明に確認できる、個人の特定につながる情報が公開されているといった状況があれば、訴えが認められる可能性もゼロではないでしょう。
参考:
福岡高裁 平成23年(ネ)第439号
最高裁 平成24年(オ)第1813号
最高裁 平成24年(受)第2248号
グーグルマップのストリートビューに、個人として知られたくない画像が掲載されていた場合は、Google社へのリクエストによる「ぼかし加工」を申請することになります。しかし、リクエストを送信したからといってGoogle社が必ず応じてくれるとは限りません。
Google社の判断次第では、リクエストに応じてもらえず、そのまま公開が続くおそれもあります。
ストリートビューの撮影・公開に関してお悩みなら、以下のような対応ができる弁護士への相談がおすすめです。
Google社がぼかし加工のリクエストに応じてくれない場合は、法的手続きによる削除請求を考えることになります。
裁判所への申し立てが認められた場合は、裁判所からGoogle社に対してぼかし加工や公開停止などの措置が命じられるので、見られたくない、公開されたくない画像が不特定多数のユーザーに閲覧されてしまうという事態を改善できるでしょう。
しかし、裁判所に訴えを認めてもらうためには、ストリートビューの撮影・公開について違法性を指摘しなければなりません。肖像権やプライバシー権など、法律に関する深い知識や経験が求められるため、弁護士に依頼することをおすすめします。
ストリートビューの撮影・公開によって精神的苦痛や個人情報の漏洩などの損害が生じた場合は、裁判所に対して損害賠償請求訴訟を提起することになります。
損害賠償請求をする場合も、撮影・公開の違法性を指摘したうえで損害額を請求しますが、先に紹介した事例のように、権利侵害を認めてもらうためのハードルは高いというのが現実です。
個人で損害賠償請求訴訟を起こすことも不可能ではありませんが、法的なサポートがないまま争うのは難しいため、損害賠償請求を検討した場合は、訴えが認められる可能性があるのかの判断を含めて、弁護士への相談をおすすめします。
グーグルマップのストリートビューは、地図情報に実際の360度画像を加えた機能で、さまざまなシーンで便利に活用されています。しかしその反面、無許可で個人宅や個人の姿が撮影されるため、思いがけずプライバシーが侵されてしまうこともあります。
自宅や表札、自分の車やナンバープレートなどが写りこんでいる場合は「ぼかし加工」のリクエストが可能ですが、その可否はGoogle社側が判断するため、申請したからといって必ず応じてもらえるわけではありません。
グーグルマップのストリートビューに、他人には見られたくない、公開されたくない情報が写りこんでしまったのに、Google社がぼかし加工などの対応をしてくれずお困りなら、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
ベリーベスト法律事務所では、インターネット上のトラブル解決に特化した削除請求チームがお客様をサポートいたします。
Google社がぼかし加工のリクエストなどに応じてくれない場合の法的なサポートも可能なので、まずはお気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。
※記事は公開日時点(2023年04月20日)の法律をもとに執筆しています