弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 口コミ投稿
    法人
    2023年05月08日更新
    EPARKに掲載された口コミは削除できる? 対処法と確認すべきポイント

    EPARKに掲載された口コミは削除できる? 対処法と確認すべきポイント

    飲食店、歯医者、病院、リラクセーションサロン、ヘアサロン、駐車場など、さまざまな施設の予約や順番待ちができるのがEPARKです。毎月40万人以上の新規登録があるとされており、店舗側にとっては、集客効果が期待できるほか、受付業務の効率化や、機会損失回避なども見込むことができるとされています。

    その一方で、EPARKでは口コミの投稿が可能で、そこに誹謗中傷や事実と異なることを投稿されてしまうと、風評被害を受けて業務に支障が出るリスクがあります。このような口コミが投稿されたとき、店舗側は削除できるのでしょうか。また、削除するために取れる方法はあるのでしょうか。

    この記事では、EPARKの口コミを削除する方法、削除されなかった場合の対処法、悪質な口コミを投稿した加害者への対応法などについて、弁護士が解説します。
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1、EPARKに掲載された口コミは削除できる?

  1. (1)投稿者も店舗も勝手には削除できない

    EPARKに一度掲載された口コミは、店舗側だけでなく、投稿者自身も削除・再編集することができないとされています。

    投稿された口コミについては、掲載前にEPARKの運営側で審査を行い、問題がある口コミは非掲載とする運用を取っているということが、投稿者であっても自由に削除・再編集することができない理由のようです。

  2. (2)利用規約違反の口コミは削除の対象になる

    EPARKの利用者向け利用規約では、次の記載があります。


    当社は投稿者により投稿された内容が本規約に違反する内容またはそのおそれがあると判断した場合、当社は投稿者に対して予告なく、投稿内容の不掲載または全部もしくは一部削除または修正します。(6条2項)
    (参考:「口コミ利用規約」(EPARK))


    したがって、掲載後であっても、利用規約に違反する口コミは、EPARKの運営によって削除してもらえる可能性があるといえます

    運営による削除の対象となる口コミにはどのようなものであるかについては、次の章で詳しくお伝えします。

2、EPARKの口コミ利用規約に違反するケース

EPARK利用規約では、利用規約に違反する口コミは削除の対象となるとされています。
では、どのような口コミが利用規約違反となるのか、具体的に確認しましょう。

・権利を侵害する違法な投稿
「この店はぼったくり」「産地を偽装している」「店員が犯罪者、クソ」など、従業員の名誉を毀損したり、侮辱したり、会社の評価を低下させるような口コミが該当します。

このような口コミは、利用規約違反だけでなく、刑法の名誉毀損罪・信用毀損罪・侮辱罪などに当たる可能性もあります。

・なりすましによる投稿
店舗の従業員になりすまして、「ちゃんと掃除をしていない」「食材を使いまわしている」「職場でセクハラ・パワハラが横行している」などの口コミを投稿することが該当します。

業務に支障が出れば刑法の業務妨害罪に該当する可能性や、口コミの内容が事実でなければ、後述の「事実と異なる投稿」にも該当する可能性があります。

・店舗を利用していない者の投稿
「料理に店員の髪の毛が入っているらしい」「新人が適当にカットするらしい」などの口コミが該当すると考えられます。

EPARKの口コミは、店舗を利用した人の実体験に基づいた評価しか投稿できません。
そのため上記のような、実際に店舗を利用していない人による口コミ投稿は、たとえ実際の利用者から聞いた内容でも、利用規約違反とされる可能性が高いでしょう。

・評価をマイナス操作する投稿
競合店舗の評価を下げるための口コミが該当します。

正当な口コミと明確な区別が難しいですが、利用規約では、「他の投稿と同一または類似の内容の投稿、一定期間内の同一投稿者による同一施設への複数回の投稿、文字数の少ない内容、意味のない文字の羅列」などが該当するとされています。
(参考:「口コミ利用規約」(EPARK))

・事実と異なる投稿
事実と異なる口コミのほか、具体的な根拠のない口コミも利用規約違反となります。
このような口コミも、正当な口コミとの区別が難しく、混乱を招きかねません。

3、口コミの削除依頼方法と口コミに対して店舗側ができること

  1. (1)運営に対して削除依頼をする

    利用規約違反に当たる口コミを発見したときは、店舗側からEPARKの運営に通報し、削除を依頼することも可能です。

    運営への削除依頼は、次の流れで行うことができます。


    【削除依頼の流れ】
    • 削除を依頼したい口コミをクリックする
    • 画面を下へスクロールし、「この口コミを通報する」をクリックする
    • お問い合わせフォームから、削除依頼の詳細を記入する


    ただし、実際に削除をするかどうかを決めるのはEPARK運営ですので、削除を依頼したからといって必ず削除してもらえるわけではないということには注意が必要です。

    少しでも削除してもらえる可能性を上げるためには、削除依頼を行う際に、該当の口コミが、利用規約のどの記載に違反しているのかなどについて、詳細かつ具体的に説明することが重要です。

  2. (2)弁護士に依頼して削除請求をする

    EPARK運営への依頼では削除してもらえず、法的に削除を請求したい場合には、法的な手続きを取って削除請求を行うこととなります。

    削除を請求するための法的な手続きとしては、次のものがあります。


    ・送信防止措置の申請
    EPARK運営が削除依頼に応じてくれない場合には、運営に対してテレコムサービス協会ガイドライン書式(侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書)を郵送するという方法があります。

    侵害情報とは悪質な口コミのことで、送信防止措置とは、その悪質な口コミを閲覧できなくなるようにすること、すなわち、投稿を削除することを意味します。

    この申請を行えば、口コミの投稿者に通知や意見照会がなされることもありますので、けん制による再発防止を期待することもできます

    プロバイダ責任制限法という法律に基づいた手続きではありますが、あくまでも、運営による自主的な削除を求めるものですので、必ずしも削除されるとは限らないという点には、注意が必要です。

    ・削除仮処分の申し立て
    削除依頼や送信防止措置の申請でも削除を実現できなければ、裁判所に対して削除仮処分を申し立てることになります。

    仮処分の審理に必要な期間は1か月程度で、通常の訴訟よりも迅速に削除を実現することができる点に特徴があります

    裁判所から仮処分命令が発令されれば、ほとんどの運営がこれに従って口コミを削除しますし、一度削除された口コミが復活するということもほとんどありません。
  3. (3)ネガティブな口コミにも真摯(しんし)に対応する

    削除の対象とまではいえないけれども、低評価を付けるネガティブな口コミを投稿されることもあるでしょう。そのような口コミが投稿されたときには、耳が痛いからといって放置するのではなく、真摯(しんし)に対応して、店舗側の誠実な姿勢を示すことが得策といえます。

    具体的には、何が低評価の理由となっているのか検討し、具体的な改善策などを返信すると良いでしょう。

    低評価を付けた口コミであっても、改善の余地がある点を具体的に指摘している場合には、課題に気付かせてもらうことができたと考えるべきです。
    また、お金を払って利用してくれたのに、顧客の期待に応えることができなかったことについては、素直に謝罪するという心構えが必要です。

    このような考えで口コミに接し、それを言葉で表現して丁寧に返信することを地道に積み重ねることで、信頼や高評価につながっていくといえるでしょう。

4、悪質な口コミが掲載された場合、削除依頼を弁護士に相談すべき

EPARKでは、一度投稿された口コミは削除しないのが原則とされていますので、店舗側の思いどおりに削除をすることができないケースもあるでしょう。
しかし、事実と異なる口コミや、誹謗中傷などの悪質な口コミが放置されたままになってしまうと、風評被害が発生し、業務にも大きな支障が生じるリスクが想定されますので、放置できない悪質な口コミに対しては、裁判手続きを取って削除を強制する方法が有効です。

ネットトラブルの解決実績が豊富な弁護士に依頼すれば、削除仮処分の申し立て、運営への削除依頼、送信防止措置の申請などの中から、個別具体的な状況に応じたもっとも適切な手段を取ることが期待できます。

また、発信者情報開示請求や開示命令という手続きによって、悪質な口コミを投稿した加害者の身元を特定することも可能ですし、損害が発生している場合には、加害者に対して損害賠償を請求する民事訴訟を提起することも可能になります。

悪質な口コミを発見したときには、情報が拡散して被害が拡大する前に、弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

EPARKの利用規約に違反する口コミは、EPARK運営への削除依頼を行うことができますが、必ずしも削除してもらえるものではありません。

悪質な口コミに対しては、被害が大きくなる前に、裁判手続きによって強制的に削除してしまうことが重要です。削除請求を行うには、ネットトラブルに関する専門的な知識が求められますし、個人で裁判手続きに対応することには限界もあります。

EPARKでの誹謗中傷などの悪質な口コミでお困りの場合には、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。削除請求専門チームの弁護士が、初回相談料60分無料、平日夜間・土日相談可能でご依頼者さまをサポートいたします。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害などのトラブル対応への知見が豊富な削除請求専門チームの弁護士が対応します。削除してもらえなかった投稿でも削除できる可能性が高まります。ぜひ、お気軽にご相談ください。

※記事は公開日時点(2023年05月08日)の法律をもとに執筆しています

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