弁護士コラム

この記事の
監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
  • 口コミ投稿
    法人
    2023年05月11日更新
    ホットペッパーの口コミは削除できる? 可能なケースと方法を解説

    ホットペッパーの口コミは削除できる? 可能なケースと方法を解説

    ホットペッパーは、株式会社リクルートが提供しているサービスです。飲食店を掲載する「ホットペッパーグルメ」とヘアサロン・ビューティーサロンを掲載する「ホットペッパービューティー」があり、集客ツールとして活用している経営者の方も多いのではないでしょうか。

    一方で、ホットペッパーには一般の利用客から批判的な口コミが投稿されることも珍しくありません。特にホットペッパーは多数のユーザーが利用しているので、口コミひとつが大きな悪影響を及ぼしてしまうおそれもあります。来客数が減るなどの悪影響を危惧し、特定の口コミを削除したいと思った場合、実際にホットペッパーの口コミは削除できるのでしょうか?

    本コラムでは、ホットペッパー側が設けているルールに注目しながら、口コミが削除される基準や、口コミの削除に応じてもらえなかった場合の対策について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、ホットペッパーの口コミは削除が難しい?

口コミサイトは実際の利用客の実体験を尊重し、さまざまな感想・意見を公表することでユーザーにとって、有益な情報を提供するという目的があるため、一般に、サイトで公開された口コミの削除は難しいといわれています。
また、公開された口コミは、日本国憲法の考え方からみれば「表現の自由」によって保護されるものであるため、たとえサイト運営者であっても安易に削除できません。

ホットペッパーも例外ではなく、公開された口コミの削除は難しいというのが現実です。

  1. (1)ホットペッパーに投稿された口コミの削除が難しい理由

    ホットペッパーグルメ・ホットペッパービューティーでは、投稿された口コミがそのまま即時に公開されるわけではありません。

    まず、口コミを投稿できるのは、登録済みのリクルートIDからホットペッパーにログインし、ネット予約を使って実際に対象の店舗を利用したユーザーのみで、口コミの投稿は「口コミを投稿したい予約履歴」からのアクセスに限られています。
    対象の店舗を利用していない、あるいは利用したがホットペッパーを介していない場合は、口コミを投稿することはできません。

    また、ユーザーが投稿した口コミは、運営会社であるリクルート側で事前審査を行い、運営で定めているルールに反していないことが確認されたうえで公開されるシステムになっています。口コミが公開されるまでには投稿から2~10営業日の時間がかかるとされているので、慎重な審査が実施されているようです。
    審査結果によっては非掲載または一部を編集したうえで掲載という措置も取られるため、すべての口コミがそのまま公開されるわけではありません。

    このように、ホットペッパーでは、口コミの内容を慎重に判断し、問題のある口コミは排除したうえで公開する仕組みが整備されています。そのため、基本的にルール違反や法令違反が起きる可能性は低いので、削除は難しいでしょう。

  2. (2)ホットペッパー側が認める口コミの削除基準

    ホットペッパーの口コミが削除されるかどうかの基準は、ホットペッパーグルメの「利用規約」やホットペッパービューティーの「口コミの掟」に示されています。

    特に、次のような内容の口コミは、ホットペッパーグルメ・ホットペッパービューティーのどちらでも投稿が禁止されており、削除の対象となります。

    • 事実と反する内容・虚偽の内容
    • 投稿者の体験に基づかない内容
    • 著作権・商標権・プライバシー権・名誉など、他社の権利を侵害する内容
    • 個人のプライバシーにかかる内容
    • 誹謗中傷・差別表現・わいせつ・卑猥な表現など、不適切な表現
    • 他人を威圧・脅迫する旨の内容
    • 粗暴性・残虐性または犯罪を誘発助長する内容
    • 法令・公序良俗に反する内容
    など

2、どんな口コミなら削除できる? 具体例を紹介

ホットペッパーに投稿された口コミで削除できる可能性のあるものについて、具体例を挙げながら紹介しましょう。

  1. (1)削除される可能性が高い口コミの具体例

    ホットペッパーグルメの「利用規約」や、ホットペッパービューティーの「口コミの掟」に照らすと、次のような口コミは削除される可能性が高いと考えられます。

    • 「飲食代金のぼったくりに遭った」などとする事実とは異なる虚偽内容の口コミ
    • 「写真を見る限り、思いどおりのスタイルにしてくれそうにない」など実体験に基づかない口コミ
    • サロンの従業員について「〇〇さんは低学歴だ」など個人を中傷する口コミ
    • 店員の対応が気に入らなかったことを理由に「今度行ったときは店内をめちゃくちゃに荒らしてやる」などとする脅迫的な口コミ


    ホットペッパーでは「必要以上に感情的」「独断的・断定的」にあたる口コミも掲載不可の対象となっています。
    たとえば「あの店は最悪だから絶対に行かないほうがいい」など、独断的・断定的で、店舗やサービスを利用した実体験を述べるのではなく、感情ばかりを表現した投稿は削除される可能性が高いでしょう

    また「公序良俗に反するもの」「品位に欠けるもの」も掲載不可の対象で、たとえば、わいせつな単語を用いた登録ニックネームを用いた投稿も削除されると考えられます。

  2. (2)悪い口コミでも削除が難しい具体例

    掲載店舗側にとって都合が悪い口コミでも、次のような内容であれば削除は難しいでしょう。

    • 「スタッフの手際が悪く、料理の提供が遅かった」
    • 「提供された料理が写真とまったく違っていた、盛り付け方も雑でおいしそうに見えない」
    • 「予約していたのに手配が漏れていて、カットの開始が1時間遅れた」
    • 「イメージ写真を見せたのに思いどおりのヘアスタイルにしてもらえなかった」
    など


    このような口コミは、掲載店舗側にとって不利益な内容であり、口コミを閲覧したユーザーが利用を敬遠する原因になってしまうかもしれません。
    しかし、実際に利用したときに起きた事実や実体験に基づいた感想・意見を当該店舗まだ利用したことのないユーザーに伝えることこそが口コミの大きな役割でもあるため、公開されてしまった場合は受け入れるしかないでしょう。

    また、このようなネガティブな口コミが公開されてしまった場合は、削除を求めるのではなく、誠実な姿勢で投稿者にコメントを返信したほうが賢明です。
    改善すべき点があれば改善策や改善結果を示す、従業員に指導すべき点があったならその結果を報告するなど、誠意ある対応を心がけて再度の利用をお願いできれば、再来店へのチャンスへと変わるかもしれません。

3、事実と異なる口コミを投稿された! どうすれば削除できる?

口コミサイトでは、単なる商品やサービス、従業員の対応への不満に関する口コミのみならず、嫌がらせや妨害目的で、事実とは全く異なる口コミが投稿されてしまうことがあり、ホットペッパーも例外ではありません。

ホットペッパーでは独自のルールに従って口コミを慎重に審査していますが、実体験に基づくものか、書かれている内容が事実なのかを確認されないまま公開されてしまうこともあります。事実と異なる口コミを投稿されてしまい困っている場合は、口コミの削除依頼を検討しましょう

  1. (1)ホットペッパー内のフォームから削除を依頼する

    ホットペッパーのルールに違反する口コミは、ホットペッパー内のフォームから削除依頼を申請できます。ただし、ホットペッパーグルメとホットペッパービューティーでは削除依頼の方法が異なるので注意が必要です。

    ① ホットペッパーグルメへの削除依頼
    ホットペッパーグルメでは、削除依頼を申請したい口コミを「すべて読む」で開いたうえで、下部にある「違反レポートを報告する」をクリックします。「不適切なレポートを報告」という画面が表示されるので、ボタンをクリックすれば削除依頼は完了です。

    報告済みの口コミは「違反レポートを報告する」のリンクが「違反レポートを報告しました」に変わります。

    ② ホットペッパービューティーへの削除依頼
    ホットペッパービューティーには、ホットペッパーグルメのような報告ボタンはありません。

    サイト画面右上の「ヘルプ」から「上記に該当しない内容について」をクリックすると「PC・スマートフォンおよびアプリの利用方法・操作等のサポート」という項目があるのでそこにアクセスし、ページ下部の「メールで問い合わせる」のボタンをクリックします。そうすると、問い合わせフォームのページが開くので、必要事項を入力して「次へ」をクリックしてください。

    登録メールアドレス・電話番号・ご利用サービスを入力したのち「お問い合わせ内容」に詳しい状況を記載して、プライバシーポリシーを一読したうえで「上記に同意して問い合わせる」をクリックすれば削除依頼は完了です。


    なお、急な対応を要する場合は電話番号「0570-005-603」でも対応してもらえますが、土・日・祝日・年末年始を除く午前10時から午後7時までの対応となっているので、時間外の問い合わせはメールフォームを利用するしかありません。

  2. (2)弁護士に相談して削除を依頼する

    ホットペッパーグルメの「違反レポート」やホットペッパービューティーの「問い合わせフォーム」は、いずれも削除を約束するものではありません

    ホットペッパービューティーのヘルプページでは「口コミの内容や評価の書きなおし・修正・削除はおこなえません」と明記しており、たとえ自分の口コミ投稿でも修正や削除は認めないという姿勢を示しています。
    そのため削除依頼を申請しても、運営会社であるリクルートが削除に応じる可能性は低いでしょう。

    ホットペッパーでは、審査結果の通知や削除依頼に応じられない理由の説明はおこなっていません。自力で削除依頼を申請し、7~10日ほどたっても口コミが削除されていなければ、弁護士に相談して対応を求めることをおすすめします

    弁護士に削除依頼を任せれば、運営会社に対して法的な見解から口コミが削除されるべき理由を説明できます。削除を実現する可能性を高めたい場合には、弁護士への相談を検討しましょう。

4、ホットペッパーの口コミ削除で弁護士に期待できること

これまで解説したように、一度公開されてしまったホットペッパーの口コミは、基本的に削除されません。しかし、ホットペッパーの運営会社であるリクルートの審査をかいくぐってルール違反の口コミが公開されてしまうこともあります。
そのまま放置してしまっていると、多くのユーザーの目に触れてしまい、利用客の減少、売り上げの低下といった事態を招きかねません。

ホットペッパーには、自力で削除依頼する方法がありますが、運営が削除に応じてくれる可能性は低いので、弁護士からの削除依頼を考えるべきです。掲載店舗・個人からの削除依頼には応じなかったとしても、弁護士からの依頼であれば、さらに詳しく削除の可否を検討することになるでしょう。

弁護士に相談することで、次のような対応にも期待ができます。

  1. (1)法的措置による削除も依頼できる

    弁護士からの依頼であっても運営側が削除に応じなかった場合は、法的措置による削除という方法を考えることになります。

    口コミの削除では、その内容から法的な権利侵害の有無や、公共の利害に関する事実であるなど口コミが適法となる事情がないことを確認したうえで、裁判所に仮処分の申し立てを行うのが一般的です。
    事実とは異なる内容を書き込み、店舗や商品・サービスの信用をおとしめる口コミは違法であり、証拠を示せば裁判所が仮処分を認める判断を下す可能性が高いでしょう。裁判所からの命令であれば運営側も無視するわけにはいかないので、仮処分後の正式な裁判を経なくても削除が実現できます。

  2. (2)投稿者の特定や損害賠償請求の対応も任せられる

    事実とは異なる口コミによって営業不振に陥るなどの損害が発生している場合は、口コミの投稿者に対して損害賠償を求めることにもなるでしょう。しかし、ホットペッパーでは登録したニックネームしかわからない仕組みになっており、訴えを起こすための氏名や住所といった個人を特定する情報は不明です。

    このような場合、「発信者情報開示請求」という手続きを取る必要があります。

    発信者情報開示請求とは、ログイン時や口コミ投稿時に記録されたIPアドレスなどの情報をサイト管理者に開示させたのち、その情報をもとにインターネット回線を提供しているプロバイダから契約者に関する情報の開示を受けて個人を特定する手続きです。

    口コミの投稿者の情報を特定できたら、そこからその相手に対し、損害賠償請求を行い、交渉を行っていくことになります。弁護士を代理人として示談交渉を進めることで、有利な条件での決着が期待できるでしょう。投稿者が支払いに応じない場合は訴訟など法的措置の対応も一任でき、店舗経営に支障をきたさないように解決を目指すことも可能になります。

5、まとめ

「ホットペッパー」では、口コミの投稿に厳しいルールが設けられているうえに、運営会社が慎重に審査したうえで口コミが公開されています。そのため、悪い口コミが公開されていても、削除依頼に応じてもらえる可能性は低いでしょう。
口コミ削除の可能性を高めるには、削除請求に関する法的な知識と実務経験を豊富に持つ弁護士のサポートが欠かせません。

ホットペッパー上で事実と異なる口コミや店舗の営業に悪影響を及ぼすような口コミを投稿されてお困りの場合、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
ホットペッパーのように削除請求が難しいケースでも、ご相談を担当する弁護士が、弊所の専門の削除請求チームで連携して口コミ削除の実現を目指し、全力でサポートします。また、口コミ削除だけでなく、投稿者の特定や損害賠償請求も対応可能です。

悪い口コミが公開されている状態が長引くと、利用客の減少や売り上げの低下などを招くおそれがあるので、口コミの削除を検討している場合は、ベリーベスト法律事務所へ一度ご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※記事は公開日時点(2023年05月11日)の法律をもとに執筆しています

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