削除依頼・投稿者の特定に関する
用語集

プロバイダとは

読み方 ぷろばいだ

インターネットサービスプロバイダとは 〜保有している情報と情報開示を請求する流れ〜

インターネットサービスプロバイダとは、インターネットに接続するためのサービスを提供する通信事業者等のことをいいます。
このインターネットサービスプロバイダは、ISPと省略されたり、アクセスプロバイダ、経由プロバイダなどと表記されたりすることもあります。これに対して、インターネット上の色々なコンテンツ(SNSなど)を提供している事業者等のことを、インターネットサービスプロバイダと対比して、コンテンツプロバイダと呼びます。

私たちは、インターネットに接続する際は、このインターネットサービスプロバイダと契約してそのサービスを利用しなければなりません。そのため、インターネット上の違法な投稿を行った犯人(発信者)についても、その投稿をする際に、このインターネットサービスプロバイダと契約を行い、色々な情報を提供していることになります。

プロバイダが保有している情報

インターネットサービスプロバイダの保有情報は多岐にわたりますが、発信者情報開示請求において重要になるのは、発信者情報(アクセスログ)です。発信者情報とは、人の権利を侵害する書き込み等を行った発信者に関してプロバイダが保有する情報のことをいいますが、総務省令(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令(平成十四年総務省令第五十七号))にその内容が定められています。

具体的には、次の通りです。

  • 発信者・侵害情報送信者の氏名または名称
  • 発信者・侵害情報送信者の住所
  • 発信者の電話番号
  • 発信者の電子メールアドレス(ショートメッセージサービスのアドレスを含む)
  • 侵害情報に関するIPアドレス・ポート番号
  • 携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号
  • 侵害情報に係るSIMカードの識別番号
  • 携帯電話端末等から侵害情報が送信された年月日・時刻

なお、発信者情報がインターネットアクセスプロバイダ等の支配下に置かれている状態のことを、法律上は「保有」といいます。
そのため、インターネットサービスプロバイダが情報を開示する法的な権限を有していれば、情報の事実上の管理自体を第三者が行っていたとしても、インターネットサービスプロバイダが情報を保有しているものといえます。

ただし、情報の管理が不十分で開示すべき対象が不明な場合や、確認に大幅な時間がかかるような場合は、保有しているとはいえないと捉えられます。

プロバイダに情報の開示を請求する方法

名誉侵害や誹謗中傷の書き込みをした相手を特定したい、特定後に損害賠償請求等をしたい場合などには、インターネットサービスプロバイダに対して、相手の情報の開示請求をすることになります。

その前提として、犯人(発信者)がどのインターネットサービスプロバイダ業者と契約をしているのかを特定する必要があります。
そのため、問題の書き込みや投稿がなされたウェブサイトの運営者・管理者(=コンテンツプロバイダ等)に対して、発信者情報開示請求の仮処分を申し立てます。これが裁判所で認められれば、発信者のIPアドレスや識別番号、侵害情報の送信年月日や時刻(タイムスタンプ)がわかります。
開示されたIPアドレスなどによって、インターネットサービスプロバイダを特定することができます。
なお、通常の訴訟ではなく、仮処分という迅速な手続きが認められる=「保全の必要性」が認められる理由は、このコンテンツプロバイダに対する裁判に長く時間を費やしてしまうと、インターネットサービスプロバイダが発信者情報を削除してしまう可能性があるからです。

次に、インターネットサービスプロバイダに対し、発信者情報の開示請求訴訟を提起します。なお、早期対応が見込める仮処分ではなく訴訟の提起が必要な理由は、インターネットサービスプロバイダへの請求が原則として最終段階の請求であって、早く開示がされないと発信者情報が失われてしまうという事情がなく、仮処分を利用するための要件である「保全の必要性」がインターネットサービスプロバイダへの請求においては認められにくいためです。

インターネットサービスプロバイダに対する裁判において発信者情報の開示が認められれば、インターネットサービスプロバイダの契約者である発信者の住所や氏名、メールアドレスなどが開示されます。

お役立ち情報

弁護士Youtuber × 削除請求チーム 誹謗中傷の削除請求について動画で解説! どっちに頼めばいいの 削除代行業者と弁護士の違い 用語集 削除請求の知識を学ぼう