削除依頼・投稿者の特定に関する
用語集

プロバイダ責任制限法とは

読み方 ぷろばいだせきにんせいげんほう

プロバイダ責任制限法とは 〜プロバイダの責任範囲と請求できること〜

プロバイダ責任制限法は、正式には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」といいます。

この法律は、その名のとおり、誹謗中傷といった特定人の権利を侵害するような情報がウェブサイトなどに載せられた場合について、次の2点を定めた法律です。

  • プロバイダ等の損害賠償責任が制限される要件
  • 発信者の情報の開示を請求する権利

プロバイダ等は、情報を削除すれば発信者から表現の自由を侵害したとされ、削除しなければ被害者から名誉毀損やプライバシーを侵害したとして、それぞれから訴えられる可能性があります。
そこで、この法律は、プロバイダ等の責任の範囲を明らかにすることによって、投稿によって権利が侵害されたとする「被害者の権利の救済」と「発信者の表現の自由」という重要な権利のバランスに配慮しつつ、プロバイダ等が削除や発信者情報開示を行いやすくすることを目的としています。

プロバイダ責任制限法が規定する「発信者情報の開示」

次に、発信者の情報開示請求について、確認していきましょう。
発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法 第4条に規定されています。権利を侵害するような書き込みを行った者の情報については、同条を根拠として開示を請求することができます。

発信者情報とは、総務省令(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令(平成十四年総務省令第五十七号))によれば次の通りです。

  • 発信者・侵害情報送信者の氏名または名称
  • 発信者・侵害情報送信者の住所
  • 発信者の電話番号
  • 発信者の電子メールアドレス(ショートメッセージサービスのアドレスを含む)
  • 侵害情報に関するIPアドレス・ポート番号
  • 携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号
  • 侵害情報に係るSIMカードの識別番号
  • 携帯電話端末等から侵害情報が送信された年月日・時刻

発信者情報の開示請求を行うにあたっては、書類の準備のほか、権利を侵害されている根拠や証拠を用意しなければなりません。しかし、インターネットサービスプロバイダがアクセスログ(発信者情報)などを保存している期間は数か月程度ともいわれており、時間との勝負といえます。
発信者情報の開示請求を行う場合は、削除請求の対応実績が豊富な弁護士へ依頼するのがよいでしょう。

電子メールによる誹謗中傷は適用対象外?

インターネットに関する権利侵害という点で気をつけたいのが、電子メールによって誹謗中傷等を受けた場合です。電子メールの送信者に関する情報は、プロバイダ責任制限法による開示請求の対象外です。

プロバイダ責任制限法では「特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合」(第1条)が対象とされています。特定電気通信とは、「不特定の者」により受信されることを目的にした送信を指しています。
電子メールは送信相手が特定されているので、特定電気通信にはあたらず、対象外となっているのです。

そのため、電子メールによって誹謗中傷や著作権侵害などが行われていても、プロバイダ責任制限法を根拠に送信者の情報を開示させることはできません。電子メールによる被害をうけている場合は、弁護士へ依頼して弁護士会照会によって情報を開示するという手段を検討するとよいでしょう。

お役立ち情報

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